第壱話:プロローグ的な展開。
ここは私立陽春学園の文化部部室棟、そこに今日この学園に編入してきたばかりの一人の女生徒がいた。
「えーと、たしか先生が2階の端っこだって言ってたからこの辺であってるよね?」
彼女はキョロキョロと辺りを見渡しながらつぶやく。
すると一番奥の部屋から人の声が聞こえてくる。
「あそこかな?」
ぱたぱたぱた…
「あっやっぱりそうだ」
彼女の見上げた先には一枚のプレートが貼ってあり、わりと綺麗な字でこう書かれていた『ミステリ研』と。
その扉を前に彼女は胸の前で拳をつくり『よしっ』と一言呟く。
今もなお部屋の中からは賑やかな声が聞こえてくる。
彼女ははやる気持ちをおさえ、そっとドアを押し開けた。
ガチャッ
「失礼しまー…」
「くらえ!バカ女ぁぁぁ!!」
「きかないよーだ!ぺっぽこ杏くんのぺっぽこ攻撃なんて屁でもないよ!あたしうまい事言った!」
「んだとコラァァ!」
「ちーちゃんもきーくんもがんばれ~」
「すぴー…すぴー…」
ぎゃーすぎゃーす
「…………え?」
ポカーン(◎-◎;)
「…あれ、どうしたの?あっ!ひょっとして入部希望の子かな?」
ニコニコ
背後で激しい戦闘が繰り広げられる中、彼は全く気にする様子もなく笑顔で話しかけてくる。
「あ…えと…な、なんでもないです…」
あまりの展開に頭がついていかずしどろもどろになってしまったが彼は気にした風もなくニコニコと笑いながら言ってくれた。
「そっか、でも興味がわいたらいつでも来てね?俺達ミステリ研はいつでも歓迎するからさ」
「は、はい…そっそれじゃぁ、失礼しました…」
パタン…
うん、新しい学校だからって無理することないよね…私は私らしくしよう…
バキィィ!!
肩をおとしながら来た道をトボトボと帰る彼女の背後でそんな鈍い音と『よっしゃぁぁ!』という女の子の雄叫びが聞こえた気がした…
この物語は陽春学園『ミステリ研』の個性的なメンバーたちの日常を書いた物語。