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第2幕⑵
「どうして私が近くにいたってわかったの?」
「2度目の人生の今日、君に会えるはずだった
でも会えなかった僕は少しだけみっともないことしたんだ
帰りに最初の人生で僕たちが好きだったあの本屋に寄ったんだ
君を懐かしみたくてね。
そしたら君の香水のかおりがした。君がいたってすぐにわかったよ」
香りだけで、私がそこにいたことを知っていた。
二度目の人生で交わされなかったほんの数秒が、こんなにも重く、心に深く刻まれるなんて。
私は避けた。
でも彼は諦めなかった。
覚えていた。
そして今、三度目の人生でまた目の前に現れた。
庭の木々の間に差し込む光が、ゆっくり揺れる。
風が吹くたび、過去の記憶がふわりと揺れる。
二度目の人生で作られた余白が、今の私の胸に小さな痛みとして残る。
自分の心に問いかける。
二度目では逃げた私が、三度目ではどう動くのか。
答えは、まだ決まっていなかった。




