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ミックスブラッドオンライン・リメイク  作者: 鳥井雫
始まりの森編

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合成の取得は後の金策になる



 なるほど、本当に一瞬で製品が出来上がって魔法みたいだ。そこには緑色の矢尻で出来た矢束が、綺麗に整頓されて6本ほど並んで出現していた。

 もちろん完全に無から有を作り出す魔法では無いので、素材の数が足りないと合成自体が不可能だ。そこら辺は合成の師匠に付いてレシピを教えて貰ったり、或いは自分で探す必要があるみたい。


 へえっ、奥が深いな……そしてかなり面白そうではある。基本的な合成は、素材の大元が2~3つと、接着素材が1つあれば出来てしまうみたい。

 例えば矢の製作なら、矢尻と矢羽根と切り出した木の棒が必要。


 接着素材は、(にかわ)でも芋虫の粘着糸でも何でも良いそうだ。もちろんそれらの質が良い方が、ダメージ力の高い良品が出来上がるって寸法。

 まずは素材選び、それは工作の基本でもあるみたい。当然だが、レシピが分かってないと合成自体が不可能なのでそちらも必ず必要になって来る。


 それからレア素材の扱いとか、魔石の良品(微少~特大まであるらしい)での合成術とか。更には、スキルの上昇に伴う雑多な性能の付与術とか。

 本当に色々あるらしいので、そこら辺は街に出て正式な師匠について学べとの言葉を貰ってしまった。さすがにこの短時間では、全てのノウハウを語り尽くせないみたい。


 それもそうか、とにかく試しに師匠に聞いたレシピを何度か挑戦してみる。エフェクトは魔法と一緒で、少々の溜めの後に製品が普通に出来て来る。

 それを眺めるだけで、なかなか面白くて興味深い。そして最初のチャレンジで、ちゃんと出来てしまった師匠と同じ緑色の矢尻の6本の矢弾。


 そんなモノなのだろうか、多分冒険者のシステム上これが正解なのだろう。システム管理の上での予定調和、それでも多少の優越感は身の(うち)に存在するのは否めない。

 まるで子供の頃に、いきなり補助無し自転車に乗れた時の様な感動。


 この魔石合成にもちゃんとスキルは存在して、これは割り振りでは無くて熟練度形式っぽい。つまりは励めば励むほど、上達して行く仕組みらしい。

 試しにステータス欄を覗いてみると、なるほど0.1ほどスキルを取得していた。コンマ刻みとか、ちょっと気が遠くなりそうなんですけど。

 まぁいいや、師匠も残りは全部俺に作らせてくれると言ってるし。



 そんな訳で、残りは合成の練習で素材を一気に使い切る勢いで行なった結果。魔石を使い切る前に、素材の風の水晶の欠片が尽きてしまって終了の運びに。

 お陰でスキルは、無事に2.8まで上昇を見せた。琴音にメールで尋ねたところ、どうも合成もスキル技っぽいのが修得出来るとの情報も得た。


 これも武器や魔法と同じく、4P毎に自動取得するらしい。どんなのを覚えるかは、これもある程度運が絡んで来るとの事でちょっと楽しみ。

 俺としては、短槍や両手棍を自分で造ってみたい気持ちはあるんだけどね。とにかく要領は分かったと思う、失敗も何度かあったのには驚いたけど。


 ちなみに失敗すると、素材や魔石をロストしたりと(ろく)なことが無い。失敗は自分の技量より上の合成に挑戦すればする程、確率は多くなる模様。

 そこら辺も木工の師匠と相談して、レシピを決めて行くように言い渡された。


 色々と決まり事も多いけど、まぁ面白そうだと思った当初の予想は大当たりだったな。また素材を集めて、色々と挑戦してみたいと思う。

 ウチには収集チャンピオンのファーもいるし、モンスターを狩れば魔石も集まると分かっている。問題は時間だ、何しろ4時間縛りと言うキツい制約が存在する。

 取り敢えず、時間延長の香木は重宝しそうな予感。


 ――風の矢(-) 攻+8、風属性


 出来上がった矢はこんな感じ、属性が付いているので夜に出没する人魂にも効果はありそうだ。干し肉造りをしていた師匠に見せると、出来を確認してくれた。

 そして見事合格を貰えて、出来た奴の半分は持って行って良いそうだ。合成の授業代に、もっと持って行って欲しいけどそんなにはいらないそう。


 欲の無い人だな、その分他の事で役に立ちたいと思ってるんだけど。何か無いかなと色々と考えるも、良い案は一向に思い浮かばない始末。

 この森を卒業する時も近付いてるのに、何とも情けない事だ。




 さて、合成は一段落ついたし、お酒の酔いも完全に()めた。合成に掛かった時間は30分程度、4時間の制限時間的には実はまだ余裕がある。

 とは言え竜宮城で2時間近く過ごしてしまったので、いつもだとログアウトしている時間ではある。区切りも良いし、本当は落ちても良いのだが。


 少しだけやっておきたい事もあると思い直し、俺は裏庭に出てある作業へと備えてみる。ファーが(うるさ)いので、窓際のポジションに木編みの籠ごと移動させてやる。

 彼女はここに戻ってから、いつもの卵温め作業に従事している。余った時間を何に使うかって事だけど、取り敢えず魔法の訓練と新しく得た諸々のアイテム確認をしておきたい。


 何しろ新たな『称号』も得たし、“複合技の書”なんて大物も貰ったからね。ちなみにその存在は、やはり琴音には眉唾物だったみたい。

 メールでの確認では、散々ナニしたのとの疑問符の乱舞が。どうやらこれも『称号』と同じく、そんな簡単に手に入らない類いのモノらしい。


 ちなみに売れば、物によって50万~100万程度は軽くするそう。超貴重品なのは確かみたい、しかもマッチョ魚人の計らいで、こちらの使用武器のスキル技を貰えた奇跡。

 早速覚えてみようとしたところ、思わぬ落とし穴が。


 何と貰った“複合技の書”を覚えるのに、短槍スキルと水魔法スキルが両方20以上必要らしい。全然足りないので、残念ながらしばらくは保留と言う事に。

 強力なスキル技だと分かっているだけに、少々残念ではある。強引にスキルPを上げる事は可能だが、同じく貰えた称号の『竜宮の遣い』の効果を読んで思い留まった次第。


 この『竜宮の遣い』だが、レベルアップ毎に自動的に水スキルを+1取得してくれる素敵仕様らしい。凄く便利と言うか、アバター的には超強力ではある。

 行って良かった竜宮城、ありがとう(クジラ)モドキの精霊さん! そんな訳で、これで水魔法が自然に20になるのを待つ事に。


 エコと言うか、実は他にも伸ばしたい魔法は色々とあるからね。その候補としては、やはり光系とか雷系の攻撃魔法が凄く欲しい。

 土とか炎はどうでも良い、氷も術書とか香木で伸ばす手段があるんだけど……積極的に覚えようとは、今の所はあまり思わないかな?


 後は今日の冒険で得たあれこれだけど、生肉は取り敢えず触れない様にしよう。仮に調理出来たとしても、モンスターの肉など積極的に食べたくなどない。

 他には……そう言えば、修繕用アイテムを竜宮城で拾ったんだっけ。


 これは忘れない様にしないとね、装備を確認したけど幸いな事に壊れそうな品は無い。明日は安全地帯に寄る予定だから、それまで持てば良いだけの話。

 回数制限のある貴重な修繕道具を、緊急時でも無いのに使う愚策は取れない。そんな訳で、これもいざと言う時用に大切に保管しておく事に。


 これで諸々のアイテムチェックは終了、次は新魔法のチェックだ。まずは水魔法の《マナプール》だけど、これはいわゆる便利魔法系に分類される。

 マナとは魔力の事で、それを前もって貯めておく魔法みたいだ。試しに使用してみると、いきなりMPコストを尋ねて来られてビックリ。


 取り敢えず10MP消費にしてみると、ビー玉くらいの大きさの水の球が出現した。それがゆらゆら揺れて、俺の目の前で宙に浮いている。

 思わずファーが突っ込みそうな動きである、しかしコレは何だ? 意思を向けると、色々と確認画面が浮き出て来た。追跡とか待機とか、コスト使用とかそんな感じ。


 色々と試行錯誤した結果、コイツのスタンダードな使用法の確認が出来た。この水の球は30分持つので、その間はこれに注ぎ込んだMPを追加で使い放題と言う訳だ。

 つまりは、MPの予備タンクを前もって作っておく感じらしい。


 もちろんこれの使用にMPコストは掛かるけど、それは休憩なりマナポなりで回復しておけば良い話。戦いの前準備に作っておけば、極端な話MP2倍で戦う事も可能。

 ちょっと凄いと言うか、便利な魔法ではあるね……まぁ30分しかもたないから、その間に使い切らないとMPタンクを作っただけの損失になるけど。


 要は使い方次第かな、それでもMPをバンバン使う魔法職には有り難い魔法かも。さて、それではコイツの使用実験に移行しようか。

 あの老亀仙の話では、水魔法の《マナプール》と闇魔法の《影纏い》で面白いコンボが可能みたいな事を言っていた。これだけのヒントだが、そういう謎解きは俺も好きだ。


 ところで肝心の《闇纏い》だが、こちらは強化系に分類される魔法のようだ。ちょっと面白いのは、装備に(まと)えば防御力アップ、武器に纏えば攻撃力アップ効果との事。

 MPコストは、ちょっと高めの28だ。





 ――それじゃあ、今出現させた水魔法の《マナプール》に(まと)えば?








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