表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミックスブラッドオンライン・リメイク  作者: 鳥井雫
始まりの森編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/134

歓待の間



 こっちの提案に渋い顔の提灯(ちょうちん)アンコウの着ぐるみNPCだったが、ファーの声無き援護もあってオッケーが出た。わ~い、これは超嬉しい取り決めだな!

 何せ鞄2つ持ってても、既に中身がパンパン状態だったし。入って来るばかりで、売れるお店が全く無い始まりの森仕様は色々と大変である。


 構造に欠点がありまくりだよな、それはまぁ置いといて。向こうの着ぐるみNPCも、何故か数を増やして買い取り交渉に対応してくれる様子。

 負けじと相棒も前面に出て、価格交渉で一歩も譲るつもりは無いアピールを振り()いている。そんな中、俺のアイテム提示から白熱の価格取り付け合戦が始まった。


 それはまさに、ある意味熾烈な戦いだった……こちらも相応な値段が分からないなりに、高値を吹っ掛け過ぎたのも原因だったけど。

 俺が最初に取り出したのは、翡翠(ひすい)の指輪と翡翠の飾り。これらはモロに貴金属で、恐らくは綺麗なだけで換金用のアイテムである。


 数分に渡る長い交渉(主にファーによる)の結果、2つで62000モネーをゲット出来た。おっと、思ったよりも高値になってくれた、幸先良いな!

 続いて、断崖のダンジョンで拾った初心冒険者の服と帽子と、それから杖のセット。俺には全く必要ないし、鞄の容量(ふさ)ぎでしかない。

 でもこんなのでも、3000モネーになってくれた。


 同じダンジョンの出物、庭師のエプロンと枝切り(ばさみ)は、何故かフグの着ぐるみNPCが喰い付いた。ひょっとしたら、竜宮城の庭師的な役割なのかも知れない。

 こちらの2点は、合計で8500モネーの売り上げに……いいね、こちらも不要なモノを処分出来て大助かり。


 先にゲームを始めている京悟と美樹也に、こちらの余っている武器の融通を打診した所。こちらと合流するのはかなり先になるから、売った方が良いぞとのアドバイスを貰った。

 合流が先って事は、その間また強い武器を入手する可能性も高いって事だ。それなら確かに、売った方が鞄もスッキリするし上策だ。


 ちなみに京悟のアバターは、大鎌使いで育成しているみたい。本当はナックル拳士を目指していたけど、大型モンスターの多いバーチャル世界で妥協した結果らしい。

 美樹也はパーティのバランスを見て、素直に盾職とやらを選択したそうだ。使っている武器は片手斧だが、稼いだお金は装備に注ぎ込んでいるとの話。


 その辺は美樹也らしい、この面子ではバランス取り役にならざるを得ないし。そんな訳で、余っていた武器も装備も思いっ切り換金して行く事に。

 良い出物があっても、確かに連中と出逢えなければ渡す事も不可能だもんね。海辺の洞窟のドロップ品、海賊の大斧とサーベルは意外と高値が付き、セットで5400モネーで売れた。


 ダメージ高かったもんね……続けて安全地帯のドロップ品、野蛮なサーベルと野蛮な手斧だけど。こちらも筋力+3付きの逸品だ、ファーの交渉にも熱が入っている模様。

 その結果、2つで8000モネーとまずまずの価格に落ち着いた。



 なかなか好調ですな、今や相手の海産着ぐるみNPCズもアツくなっている模様。水の神殿の出物の、水切りの剣と水のマントは水属性のせいか妙に人気となった。

 色んな着ぐるみ達が欲しがった結果、何と12000モネーで売れてしまった。いつの間に()りになったんだろう、不思議だが儲かったからいいか。

 ってか、既に儲けの合計が10万に達しそうなんですけど!?


 後はそんな掘り出し物は無い、西の断崖近辺の死体から拾った護衛の盾や刀、それから腕輪が合計で3500モネー。耐魔の指輪と、蟷螂(かまきり)の大鎌が合計で4800モネー。

 自作の大猪の牙の短槍と丈夫な木の棍棒、それから研ぎ直した粗末な石斧が合わせて2800モネー。消耗品らしい、蛙の歌笛は結局使わず売って7個で6800モネーと儲けを出してくれた。


 ついでに他の不要な装備や収集した果実類、これがまとめて2500モネーになった。いやいや、売れた売れた……合計で、12万近くの儲けになった。

 鞄もスッキリしてくれて、本当に良い事だらけだ。ちなみに、旅人のマントは予備に持っておくつもりでキープ、マントは色々便利だからね。


 蛙の王笏(おうしゃく)も棍棒の予備で持っておく事に、他の素材類は何かの役に立つかもなので同じくキープ。呼び鈴や呼び水も、勿体(もったい)無いので持っておく。

 スキルの類いも滅多に出ないので、売り払わずにキープの方針で。そして売り上げのお礼に、蜂蜜ジュースをただで付けてあげたら喜ばれてしまった。


 それにしても、相棒のファーの交渉術は凄まじかったな。声は出てないけど、身振り手振りで着ぐるみNPC達を手玉に取っていた感じ。

 ファーには本当に感謝、俺の魅力値の低さを大いに補ってくれている。ちなみに豹柄のマスクを売ろうとしたら、タダでもいらないとダメ出しされた。


 こればっかりは、流石のファーさんでも換金は無理だった様子。これも着ぐるみのドロップだったのに、この不人気さは不思議でたまらない。

 ってか、俺もいらないので捨て値で売ってしまいたかったのに残念。



 続いて買い物だ、これは買い物券たった3枚で、全て貰うのはとても不可能……武器装備だけで、それぞれ10種類近くずつ揃っているのだ。

 その中で目玉なのは、間違いなく『竜宮の短槍』だろうか。何と攻撃力+15は、今まで見た武器の中でもピカ一の性能だったり。


 しかも片手武器でこの威力である、これを貰わない手は無い。そして残念ながら、両手棍は何故か商品の中には入っておらずの不遇振り。

 杖っぽいモノならあったんだけどね、それはまぁ欲しくないのでパス。装備では弱い箇所を交換したい、(かぶと)とかも普通に性能良いのがあるな。


 ってか皆凄い性能で、交換県が3枚じゃ全然足りないんだけど。武器を既に交換してしまったので、実質は残り2枚で大いに悩んでしまう。

 現状の装備品と較べると、やっぱりコレかな?


 ――竜宮の短槍 耐久12、攻+15、精神+3

 ――竜宮の兜 耐久10、防+10、精神+3


 さて、残りの買い物券は1枚のみ……他にも水と氷の術書とか、水の矢束とか呼び鈴や呼び水などなど。便利で欲しいアイテムは、交換品の中にいっぱいある。

 ファーの熱心な交渉の末、お金+甘味での交換に+5点余計に応じてくれるそうな。それじゃあ……買い物券との交換は、この『水と氷の香木』で決定かな。


 あって嬉しい香木シリーズ、それが商品の中に紛れ込んでたのだ。これの効能は、香炉にくべで20分その香りを浴びると、水と氷のスキルPが1つずつ増えると言う優れモノ。

 超貴重品では無かろうか、これがセットで2本ついて来る。つまりスキル4Pの価値である、20分については休憩なりクラフトに充てれば良い話。


 普通に凄いね、何故氷まで付いて来るかは謎だけど。とにかく後の5点を決めなくちゃ……そうだな、置いてある術書は水と氷が1冊ずつ、呼び鈴と呼び水も同じく1個ずつ。

 それを買い取るとして、あと1点は素材が良いかな?


 とは言っても『水中珊瑚』は、素材を生み出してくれる鉢植えみたいなモノらしいけど。主に骨素材の珊瑚の欠片とか、貝殻とかを1日何個か収穫出来るみたい。

 継続的な金策には良いかも知れない、この先もお金は必ず必要になって来る筈だし。矢弾を自作するにしても、その素材は自分で採れた方が断然お得には違いない。

 そんな訳で、これで買い物は終了かな。




 結果として、その5点を2万モネーと潤いの蜂蜜で(まかな)って購入に成功。でもまぁ、金は掛かったけど良い買い物だったと思いたい。

 特に武器と防具で、1点ずつだが良いモノが揃えられたし。その後は交渉用のテーブルが片付けられて、何故かお座敷遊びが始まってしまった。


 着ぐるみNPCが持って来た輪投げをやったり、何故か『叩いて(かぶ)って』で白熱したり。そして一番白熱したのは、何故かハンカチ落としだったと言う。

 とにかくそんなお遊びを一通りこなした結果、景品的なモノを幾つか貰えてしまった。特に輪投げでは高得点を叩き出して、経験値まで入って来る始末。


 ってか、俺は投擲スキルを持っているし、ファーに限っては飛翔出来ちゃうし(ずる)い感もあった。それでも銀のメダルやポーション類、水の矢束や保存食の追加は有り難かった。

 特に目薬が貰えたのは良かったな、戦闘中の暗闇は本当に厄介だし。


 そうこうして遊んでいる内に、着ぐるみNPCの楽団が『蛍の光』を(かな)で始めた。恐らくは、この宴会の終了を告げているのだろう。

 物寂しいそのメロディの中、俺と相棒を名残惜しそうに送り出す海産(かいさん)着ぐるみズの皆さん。こちらとしては、お土産に折詰まで持たされてしまって、何も文句は言えない立場である。


 しかしあの白熱したお座敷遊びの後だけに、ちょっぴり寂しい想いなのは一緒かも。見送る着ぐるみNPC達も、心なし物寂しそうな表情。

 そんな感じで、再び最初のホールへと戻って来た俺とファーである。スタミナに関しては、ご馳走を振る舞って貰って満タンで申し分無し。


 そしてガッツリ増えたお金と、綺麗サッパリと処分出来た鞄の中身。新しい武器と装備も購入出来たし、物凄く充実した歓待の席だったと思う。

 いやいや、連れて来てくれた(くじら)モドキには本当に感謝しなきゃね。それで、竜宮城からのお帰りはどちらかな?


 えっ、まだ扉……じゃなくて(ふすま)を選べると? 後のはもう、変なのしか残ってないんですけど。はあっ、どうしても選んでくれないと帰れないと。

 それは困ったな、微妙な選択を迫られちゃってるよ





 ――さてどうしようかね、ファーさん? 








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ