待望って程でも無いけど、5つ目の果実ゲット
それはともかく、短槍スキルに次いで風魔法が10超えの快挙を成し遂げた。そう言えば風魔法は、もう1つ《ウインドアロー》が選択可能だったんだけど。
MPコストが21と、割と重たい魔法だった事が判明して。悩んだ挙句に諦めた次第、何しろ同列に炎魔法の《キャノンB》の前例があるからね。
その点《風疾り》はMP消費8の便利魔法である、効果は5分でお得♪ この広いソロエリアの、単に移動の際には時間短縮に使えそうな予感が。
装備に関しても、良い腕輪をゲット出来てなかなかに良くなって来た。特に筋力と敏捷の補正が嬉しい、その代わり防御力と耐久値は落ちたけど。
強い武器(片手斧&片手剣)も手に入ったけど、またまた使ってる系統じゃ無いと言う例のパターン。そこで今回、この安全地帯である仕掛けを施してみた。
これはまた『手合せ』系のクエ依頼が、ひょっとしてあった時用の為である。少し頭を捻ってみたが、その作戦が上手く行くかは全くの不明。
まるで無駄かも知れないし、そこら辺はダメで元々的な感じだ。期待はしてないし、その仕掛けが嵌まってもその次には勝利と言うハードルもある。
だからこの件は忘れても大丈夫、安全地帯参りは忘れちゃ駄目だけど。
さて、後はこのエリアを出て湖へと向かって、各種クエを遂行するだけだな。その後の余った時間は、それなりに有効利用をするつもり。
そんな感じで再び安全地帯から飛び出したのは、インして約2時間後だった。とにかく新しいクエ依頼も貰えたし、クリア出来た依頼も無事に報告出来た。
それから武器や防具の修繕と、ポーション類の補充も出来たし良かった。難を言えば、こことクライフ師匠の隠れ家との物理的距離かな。
具体的に言うと、歩いて20分以上は掛かってしまう。しかも間に、ゴブリンの集落と騎士団のキャンプ基地が存在していると言う。
とにかく邪魔で仕方ないこの2大勢力、お陰で大回りを強いられる破目に。そう思うと、新取得の《風疾り》の魔法は思ったより役立つかも。
それでもやっぱり、中央に陣取る騎士団のキャンプは邪魔で仕方ない。それから、広い範囲を徘徊しているゴブリンの群れも同じく邪魔。
出来れば両方ともいなくなって欲しいけど、それを言えば大元の野党の砦も同じ事。未だこのエリアでは見た事無いけど、戦うとしてどの位の強さなのかな?
師匠はちょくちょく、砦に侵入して盗みを働いているそうだけど。
それを考えると、セキュリティ的にも強さ的にも大した事は無さそうに思えてしまう。とか考えている内に、目的の湖エリアに到着した。
ここまで何と戦闘ゼロ、アクティブな敵には出遭わず終い。湖エリアは相変わらず広かった、そして敵の分布もさっきと変わらず。
さて、師匠のクエもこなさなきゃだけど、まだ確認出来ていない大ワニとかヒドラの存在が不気味だな。割と広い湖とは言え、対岸が見えない程じゃない。
どこかに隠れているんだろうか……そう思ってたら、ファーがココが変と濁った水面を指差した。確かに他の場所と較べて、そこだけ妙な雰囲気かも。
おやっ、ひょっとしてそこに何か隠れてらっしゃる? 警戒しながら近くに落ちていた木切れを拾って、その場所に投げ込んでやると。
物凄い勢いで、水中から巨大な尖った口が飛び出して来た。これが噂の大ワニかぁ、確かに大きいけど精々が2メートル程度かな?
奇襲に失敗したと見るや、ソイツはこちらを視認してのそのそと襲い掛かって来た。最初の奇襲に比べると、その動きは可哀想なくらいに遅い。
それでも戦った感触だが、割とタフで攻撃力も高かった。奇襲で向こうの得意な水中に引きずり込まれてたら、確かにヤバかっただろう。
個としての戦闘力は、恐らくこの森でトップクラスかも。それを踏まえてよく観察したら、湖のほとりに濁った箇所が幾つか存在しているみたい。
初見だとその不意打ちは怖いけど、ネタがバレたらさすがに警戒してしまう。いやでも、ゴブリン程度なら引っ掛かりそうだよね?
後はヒドラだけど、残念ながら発見する前に例の離れ小島の渡り口に到着してしまった。浮石が7つほど等間隔に並べられていて、小島に渡れるようになっている。
そしてこちら側は割と水深が浅いみたい、小魚が泳いでるのも確認出来た。湖の反対側は、割と深い場所も多くあったんだけどね。
歩いていたら、少なくとも人の背よりは深い場所も幾つか見掛けた。後は濁ってたり水草に覆われていたり、水の質はポイントによって様々。
とにかく渡ってしまって、まずは師匠のお遣いクエをこなす事に。俺とファーは、水の祠とその周囲を綺麗に掃除して、師匠に持たされたお供え物を祠の前に並べて行く。
こちらも自前のお酒を提供して、お供え物に華を添える感じに。ラマウカーンの時の様に、何か反応があるのかなとも思ったけど。
特に何の音沙汰も無く、ファーも変に騒ぎ立てたりせずの結果に。
精霊の事は良く分からない、ましてやゲームの設定上の事なので推測も無意味かも。別種族の存在にコンタクトを取れる程の力って、なかなか難しいのかも。
存在は何となく感じるのだろう、相棒は自分の鞄から木の実を取り出してお供え物に加えていた。最後に2人で手を合わせ、これで師匠のクエ依頼は終了。
さて、お次はメインの虹色の果実取りである。読みが当たっていたら、ここでもお邪魔虫のモンスターが出現して来る可能性が高い。
これでクエ依頼の5個に達するのだけど、特に満足感とか達成感は湧かない。師匠の家の裏庭で、弓矢の練習している方が、余程充実していると言うね。
果実の樹の下まで歩いて行くと、水ヒルと言う名前のモンスターが突然落ちて来た。おっと、また例のパターンか……警戒してたけど、まぁ今では雑魚だな。
貼り付かれる前に、4匹全てを殲滅してやる。
そう言えば、クエ依頼でコイツの討伐か何かがあった様な気が。まぁ後で確認しよう、師匠からもクエ依頼を受けれる現状、色々とごちゃまぜで覚え切れない。
おっと、地面にはスライムも湧いてらっしゃる。小さな窪地から湧き出た感じ、上ばかり気にしてたら足元を掬われるパターンかな。
そうなる前に、コイツ等も短槍で突いて成仏させちゃる!
3匹目の核に狙いを定めていた時、それは突如降って来た。一応は水ヒルの残りも警戒はしてたけど、それよりももっと大きなサイズで強面の敵だ。
一見するとサル型だけど、横幅は人よりごつくて広い。前傾と言うか長い手を地面に付いているが、真っ直ぐ立てば俺より高身長かも。
そして目立つのは、黒いヘッドホンを装着している所。うん、北の樹海に仲間がいたな……まぁ、コイツは“聞かザル”って名前だけど。
視ザルは割と小柄だったけど、コイツは体型からして武闘派らしい。特殊能力もあるよね、それを込みで警戒しつつ短槍で突っ込んで行くと。
やっぱり来ました、特殊技の《高周波啼き》と言う迷惑な大声が。それによって、こっちは耳キーン状態、ファーなんか地面に墜落しちゃってます。
踏むととっても危ないから、俺は咄嗟に戦闘区域を変える事に。それが実は、更なる伏兵の真下と言う嫌な待ち伏せサイクルと言う。
樹の枝の中で身を潜めていたのは、お仲間の“言わザル”だったと言うオチでした。これで3匹揃って、特にめでたい訳でも無いんだけどね。
ただまぁスッキリはした気が、ってか今は喋れない状況けど。つまりコイツの特殊能力は、案の定の《無言の圧力》と言う弱体系の魔法だった。
推測通りの詠唱禁止技だ、つまりは当分の間は魔法が使えないらしい。後衛だと悲しいけど、俺は殴りメインだからあまり関係ないかな。
と言う訳で、さっきから地上のゴツいのと接近戦を展開してます。新たに出現した、樹の上の小柄な方のサルは、飽くまでサポートに徹する様子。
時折こちらに飛礫を投げて来たり、攻撃魔法を飛ばしてみたり。構っていられない俺は、目の前の聞かザルに全力で対峙する。
連続スキル技を浴びせて、大声でのダメージの非礼を詫びさせる勢い。おっと、ようやく相棒のファーが復活して、地面から飛び上がってくれたな。
彼女にタゲが向かないとは言え、やっぱり同じ戦場にいるのだ。ファーに不利な場所に居座られると、こっちの肝が冷えてやり難いったらない。
これでこちらも本気モードに移れる、大きく空いた口を《落とし突き》で強引に塞いでやる。初見の技は怖かったけど、体力や攻撃力は大ワニの方が遥かに上だったな。
動きもそんなに速くないし、それは樹の上の言わザルも同じ事。ただし、こちらの射程外に居座られるとこっちは攻撃手段が無いんだけど。
魔法はまだ使えないし、弓矢は当たるかどうか覚束無い腕前。何しろ未だに動き回る相手には、命中率は半分行くかどうかなのだ。
練習と思って試す……そうだ、投げナイフがあった!
手甲の裏に取り付けた骨のナイフを華麗に抜き取り、投擲補正込みでスローイング。その威力よりも、攻撃それ自体に驚いたサルは何故か樹から落下の憂き目に。
猿も木から落ちる、そしてそのままご臨終の流れに。厄介だったお猿軍団との縁は、これにて完全に切れたと思っていいのかな?
その頃には完全復活したファーが、用心しながら枝の密集地帯を飛び上がっていた。それから、見事に虹色の果実を採って来てくれた。
俺も投げたナイフを回収して、これで完璧にここでのお仕事は終了みたい。2人で喜びながら、次はどうしようかとこの後の計画の練り直し。
やっぱり南の地図埋めに、この辺を歩き回るのがいいのかな? 師匠の言ってた、ゴブリンの集落の場所も一応は確認しておきたいし。
新魔法の《風疾り》も試しておきたいしね、どの程度の移動力の上昇なのか。相棒がついて来れない程、早く走れるようになるとは思わないけど。
それだと逆に、便利魔法が使い辛くなってしまうかな。ファーの移動速度とスタミナの限界は、俺には良く分からないのが悩み処。
まぁ、いざとなったら相棒を懐に突っ込んで移動すればいいか。なるほど単純な解決法だ、頭を悩ませる必要も無かった気が。
とか思っていると、その本人が水際で挙動不審な飛行を見せ始めた。安全地帯で食事休憩を既にとってたので、ここでの休憩は不要かなとか思ってたんだけど。
流石のファーも、湖の中には飛び込む素振りは見せない。ってか、水の中に何か見付けた様子……それで騒いでたのね、良かった水浴びしたいとかじゃ無くて。
モンスターの徘徊するこんな場所で、それは余りに危険過ぎる遊び。そんな相棒のファーが見付けたのは、結果的には物凄い大物だった。
大ワニよりもっと凄い、てっきり役立つ素材か何かだと思ってたのに。それは新しいステージ、ってか隠し洞窟とかのパターンかな?
今までにない仕掛けなのは間違い無し、何しろ入り口が水中にあるんだから。もし冒険者が見付けても、そこに辿り着くのは容易では無い筈、きっと多分。
しかし見事な建物だね、確かにあれは柱だ……しかも何本もあるみたい。
――水中神殿は、ひっそりとそこで俺達を待ち構えていた。




