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ミックスブラッドオンライン・リメイク  作者: 鳥井雫
始まりの森編

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湖エリアの冒険



 そんな思考を挟みながら、俺と相棒は南の森をやや迂回しながら湖へと進んで行く。騎士団のキャンプ地を避けないといけないので、道選びと索敵が大変だ。

 しかし思い出すのも腹が立つ、奴らの最初の態度と来たら。一方的に敵認定されて、斬られそうになるわ矢衾(やぶすま)にされそうになるわ。


 こちらの言い分は一顧(いっこ)だにしない、権力を持つ者達の傲慢さ。次に出遭っても、恐らく対応は同じだろう……つまりここは、回避するに限る。

 慎重に進んだお陰で、幸いにも途中で騎士団の兵士に出遭う事はなかった。その代わり、この辺りが元から縄張りの、ゴブリン達には割と遭遇した。


 湖を見渡せる崩れた崖上に出るまで、合計10匹程度を討伐済み。こいつ等はクエ依頼の対象なので、倒すだけこちらもお得と言う。

 その他に道中で出遭った敵と言えば、大猪やオオカミ、大蜘蛛や山鳥が少々。ただし辿り着いた湖エリアのモンスター分布は、完全に違っている様子。


 目立って多いのは宙を飛ぶ大トンボと、水際に佇む大カエルだろうか。師匠の情報通りに、ゴブリンや水鳥や水蛇っぽいのも確認出来た。

 ただし双頭の大物や、ましてや三つ頭のヒドラは見当たらない。


 大ネズミは水際にはいない様子、恐らくだが周囲の藪の中に集団で隠れているのかも。それにしても、観た限り割と大きな湖である。

 感心しつつもマップを見ながら、俺たちは時計回りに地図を埋めて行く。その間に近付いて来た敵は、片っ端から経験値へと変えて行く。


 それから昨日おざなりだった、新魔法と新武器スキルの練習も少々……残念な性能の《キャノン(ボール)》は封印だが、《バグ(ボール)》は積極的に使って行く予定。

 そうそう、緋色の頭巾の《炎テンション》も使えるようになったんだっけ。


 これが実際、なかなかの使い心地で本人的にも驚いてしまった。説明文がやや不親切で、俺はてっきり攻撃力だけが上がるモノだと思ってたんだけど。

 どうやら戦闘用のステータスが、全体的に上昇してくれるっぽい。回避とかスピード系も上がっていて、戦闘の感触がまるで変わって来る。


 自分的にはスピードファイターを目指してるので、この魔法はかなり有り難い。両手棍を振り回してるのにね、目指すのはスピードタイプなのだ。

 これは戦闘毎に掛ける事に決定だな、つまりは《風属性付与》と同じパターンだ。この2つの魔法、全く干渉し合わないので重ね掛けは全然オッケー。


 レベルの上昇も手伝って、雑魚は本当に雑魚に成り下がってしまっている。こうなると新武器や新装備の検証が難しい、ゴブリン3匹相手で辛うじて実感出来るかなって感じ。

 うむぅ、そうなると大型水棲モンスターとやらが恋しいんだけど。



 そんな姿はどこにも見当たらない、仕方が無いので本格的にゴブリンを駆逐に掛かろうか。ファーはいつもの通りに、周囲を飛び回って収集活動に励んでくれている。

 お陰で依頼の木の蔦は、ほぼ満足の行く数量集まってくれた。相棒にちゃんとお礼を述べて、後で休憩の際に残ってるチョコでも振る舞おうと思う。


 そして俺だが、いよいよ実践形式で弓矢の練習に(いそ)しむ事に。その獲物だが、水鳥だったりゴブリンの群れだったり色々。

 基本、近付かれるまでに何とか標的に2連射を浴びせてやる。そいつが攻撃範囲に近付いて来たら、片膝立ちのまま横に転がって相手の攻撃を回避。


 それから短槍に持ち替えて、トドメを刺しに行く感じだ。最初の予定では、修得途中の弓矢は戦場では封印だなぁとか思ってたんだけど。

 冒険の途中から、何事も実践で技を磨くべきかなと思い直した次第。俺の(つたな)い技でも、ヒット率は半分程度はあるので何とか形にはなってくれる。


 まぁまぁの戦果ではある……この感じで、最初に持っていた初心者の矢束は使い切ってしまおうかな。ゾンビの落とした手入れの悪そうな矢束も、この際全部消費してしまおう。

 クエ依頼で交換も出来るし、ここは物資を惜しまず練習あるのみ。


 師匠の裏庭の練習場では、矢束はほぼ全部回収出来ちゃうんだけどね。こんな野外の草や水場だらけの場所では、外れた矢を探すのは手間が掛かり過ぎてしまう。

 そんな訳で、外れた矢は基本的に放置して(あきら)めるのが定番である。回収はしない……けど、たまにファーが拾って帰って来てくれる。


 凄いなっ、ファーさん……矢弾を自動回収とか、まさに夢の機能じゃん!? でも危ないから、先回りだけは絶対にやめてね?

 そんな感じで10分程度、湖の片方の湖畔を進みながらサーチ&殲滅(せんめつ)を繰り返していると。広い湖の中央あたりに、噂の浮島が見えて来た。


 ちっちゃい浮島を想像してたけど、教室2つ分程度はありそうだ。そしてそこの丁度中央に、もはや見慣れた虹色の果実の樹が生えていた。

 定番通りと言うか、目的の果実は遠目からも確認出来た。お次の問題は、どうやってあの島に渡るかって事だが何か手段はある筈。



 ついでに師匠の言ってた湖の(ほこら)も、浮島の端っこに見付かった。(つつ)ましい感じの造りだ、そしてそこに渡るのに飛び飛びの石の足場が作られているのを発見した。

 なるほど、あれを使えば水に濡れる事無く浮島に渡れるね……ただし、その石製の足場は思いっ切り湖の反対側に設置されている。


 そちらに廻り込むのに、結構歩かないといけないみたい。マップを開いて地形確認すると……おっと、意外と安全地帯(セーフエリア)が近い感じ?

 それならいっそのこと、先に安全地帯に寄って諸々の用件を済ませてしまおうか。それだと先に、装備の修繕とか薬品補充も出来てしまう。


 うんうん、良い案に思えて来たぞ……よし決めた、そうしよう。ファーにそう言うと、彼女はちょっと不思議そうな顔付きに。

 目的の物が見えているのだから、さっさと飛んで行けばいいのにみたいな? いやいや、人間には空を飛ぶ羽根なんてありませんから! 


 それならば、自分が採って来ようかみたいなゼスチャーのファーは本当に献身的。ただし、先読みするに今回も絶対に敵の待ち伏せ部隊がいる筈。

 危ないから一緒に行こうねと言うと、彼女も納得して笑顔で頷いてくれた。そんな感じで、目的地を前にして寄り道と洒落(しゃれ)込む事に。


 そして安全地帯に近付くにつれて、エリア内に懐かしのモンスターの姿が。ウサギと芋虫だ、コイツ等は今や新武器の一振りでやっつけられる。

 強くなったなぁと思わず感慨に(ふけ)る俺、たった一週間の成長振りだと言うのに。森の中央に近付くに従って、地面の起伏もほぼ無くなって来た。


 平坦な土地に、幹の太い樹木が等間隔で並んでいる景色は既に見慣れてしまった。長閑(のどか)で安らげる空気も同じく、いやいや、敵は出現するんだけどね?

 この森の中央付近は、オオカミや大蜘蛛みたいなアクティブな敵は近付かない。なので気も抜けようと言うモノ、いや本当に強くなったよ。


 そしてもう少しで、この『始まりの森』も突破出来そう。まぁ、もう少し粘るけどね、何しろ一期一会の出逢いの中でも素敵なモノを引いたのだ。

 ()いたと言い換えても良い……人と人の運命は惹かれ合う、至言だと思う。クライフ師匠から学ぶべき事は多い、それは弓矢の技術だけでは無い。


 出逢ってそんなに時間も経ってないのにと思うかもだが、人の情報は見た目だけでは無いのだ。その人の性格や生活空間、全てをひっくるめて“人”なのだ。

 あの隠れ家を目にした時、物凄い既視感と親近感を覚えたのは確か。ああ、この場所にずっといたいなぁと……居心地の良い場所を提供してくれる人は、大概は性格も良い人なのだ。


 そして独りで何でも出来てしまう器用さ、孤高の戦士は男のロマンでもある。自分も猛烈に憧れてしまう、もっともこちらのアバターは器用貧乏丸出しだけど。

 いつかはそうなりたいなって、そんな憧れは確かに俺の胸中にある。




 そんな事を考えていると、いつの間にか安全地帯に到着していた。この森の中心、物語の始まりの場所……そして黙して語らない、着ぐるみ動物NPCの連中。

 そして不意に思い出した、今日はログインボーナスを受け取ってない! 危うく忘れる所だったよ、まぁ別に絶対に今日取り出さなくても消える事は無いけど。


 それでも聖水の時みたいに、1日早く欲しかった! みたいな後悔はもう二度としたくない。あの時ばかりは、下手したらそのまま詰んでたもんね。

 自分の行動を乗っ取られる、『呪い』の(バッド)ステータスの災難とか特に酷かった。このバーチャル世界って、本当に何があるか分からない……まぁそれは現実も同じではあるけど。


 そして今日のお楽しみ、ログインボーナスチェックを行なう。今回はポーションパウダーと、それからマナポパウダーの各5個セットだった。

 これは本当に助かる、瓶はともかくパウダー系はとても便利で貴重なのだ。


 海岸の洞窟のボーナスで貰った薬品箱のポーションパウダーは、既に使い切って無くなっている。マナポPは余ってるけどね、そもそも戦闘中に魔力切れって事態が無いので。

 今後回復魔法を覚えたら、重宝するかもなので取っておくけど。後は後々、MP消費の激しい魔法を覚える機会があるかも知れないし。


 それから今回も、嬉しい事に甘味系のお菓子がくっ付いて来ていた。何と箱入りマカロンだ、これでスタミナを回復しろって事らしい。

 これはたくさん色があって綺麗だな、きっとファーが喜ぶだろう。





 ――それでは、軽食休憩とクエ依頼書のチェックでもしようかな?








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