クラフト系のクエ完了
そう言えば同級生も、魔法の使い方もアイデア次第だと言ってたなぁ……そんな訳で案をひねくり返した結果、水魔法にも手を付ける事態に。
それはまぁいいや、必要経費と言うか便利は正義と言い換えてしまえるし。しかし宝珠って凄いな、スキル4P+魔法書のセットだもの。
そしてこの魔法の使用MPは、水2リットルに対してMP2消費らしい。これはコスト的にも凄く良いな、確かに現実世界なら超便利かも。
とにかくこれで、水汲みクエを速攻でクリアする事が出来た。エリアに置かれていた樽桶を水で満たすと、ネコの着ぐるみに報酬として聖水と万能薬のセットを貰えてしまった。
1本ずつだったけど、このクエは1日1回受けれるらしい。ただの水と交換……もとい、4MPと交換なら上々の部類だと言えよう。
しかも恐らくだが、水場と往復する時間を丸々得した感じである。ログインボーナスでも貰った聖水はともかく、万能薬はもっと欲しいな。
毒消し薬は交換チケットで少しずつ増えてるけど、使う機会も多いからストックはもう少し欲しい。冒険者だもの、保険となる薬品類は多いに越したことはない。
それは置いといて、さて次の工程に進もうか。ここを出るのはもう少し先、クラフト系の依頼を纏めてパッと済ませてしまいたい。
それから料理も進めてしまおう、鞄の中にどんな材料があったっけ? しまった、失敗したな……こんな事なら、ファーが見付けたあのヤバい色合いのキノコと蝸牛 、たんまり収穫しておけば良かったかも。
アレを具材に、キノコスープでも作れたかも知れないのに。多少はけったいな料理が出来ても、何しろ食べるのは俺じゃないんだし?
などと腹黒い思考をさり気無く隠しながら、壺に溜めた水を使って料理の下準備。ファーが横から、自信満々に食材の選別に協力してくれている。
そこはナリは小っちゃくても女性だけあって、テキパキと進行を指示して来る。こちらは鍋に水を張って、料理キットにあった簡易コンロに掛けた所。
調味料は少ないのが懸念点だが、何とかスープモドキを作れるかな? そこはファーがヤル気モードになったので、この鍋は全て彼女に任せる事に。
妖精に料理系のスキルがあるかなど、俺には関知の外である。
とにかく手が空いたので、こちらはこちらでクエ依頼の家具造りに挑戦する事に。テーブルで良いかな、ファーが作った料理を乗っける台が欲しいからね。
それではちゃぶ台程度の大きさの、テーブル製作にレッツ挑戦!
ちなみに形は、定番の丸では無く四角である。わざわざ難易度を上げる必要は無い、でもすぐ壊れるような手抜きは禁止、匠の意志だけは心に秘めて。
本番前の練習とは言え、ちゃんとしたモノは造りたい。4本の脚は均等の長さに、そこから失敗したらグラつく粗悪品になっちゃうからね。
そして枠組みが出来たら、後は机の台座に使用する良さげな板を用意する。ノコギリもトンカチも、このバーチャル世界でも普通に使えて面白い。
台座の板を同じ長さに4枚ほど切り分けて、貴重な釘で打ち付けて行く。貴重と言っても、祠を作る分くらいは充分に残っているし大丈夫。
そんなに大きいモノにする予定も無いし、時間もそんなに無いからね。とにかくそんな調子で、割とあっさり机のフォルムは出来上がり。
ちょっと物足りないので、収集品の中から柄布を取り出してテーブルクロスに使用。その出来にはファーも満足そう、グーと指で可愛い合図を送って来る。
ちなみに鍋からは、ほんのり良い匂いが漂って来ていた。腕前を邪推してたけど、これは謝らないといけないかな……しかし普通の大きさのスプーンが、ファーが持つとボートの櫂程の大きさに見えるな。
妖精あるあるだな、本人がご機嫌だから良いケド。
料理の完成までにまだ時間が掛かりそうなので、こちらももう少し工作に勤しむ事に。鞄の中から海賊の長槍を取り出して、何とか短槍に加工出来ないか挑戦してみようと思う。
って言うか、持ち手の柄の部分をノコギリで短くするだけなんだけど。今使ってる木の槍の長さを参考に、変に能力ダウンしない様に祈りながらの作業。
ノコ引きはすぐに終わり、俺はすぐに新武器の性能チェック。
――海賊の短槍 耐久6、攻+10
おおっ、数値は多少下がったけど、普通に今使ってるのよりは良品が出来たぞ! これは凄いな、早速装備して今日の冒険から使うとしようか。
それにしても、冒険のスタート時点で既にかなり装備が替わったなぁ。これは今日も、敵との戦闘が楽しみで仕方が無いよ。
時間も材料もまだあるので、今度は棍棒にもチャレンジするかな? ついでに料理を頑張ってくれてる相棒に、何かプレゼントを製作しようか。
棒の端材と鈴のちっこいので、杖的なモノを作れないかな。針金もあるので、杖のてっぺんに鈴をお洒落に付ける的な感じで良いと思う。
妖精は喋ら(れ)ないので、こちらの注意を惹こうと思ったら大変な時も多い。大抵は視界に急に飛び込んだり顔に張り付いたりと、こっちが驚く場合も多々ある。
その点、鈴なら鳴らしてくれればこちらも注意を向ける事が可能だ。
これも適当に形を整えるだけで、すぐに完成してくれた。シャーペンくらいの大きさで、飾りは上部に付けた小さな鈴だけだが見た目は良い感じ。
それは適当に放置しておいて、後でファーに渡すつもり。さて次は棍棒作りだ……素材の候補は2種類あって、どちらを元に作るか少々悩む。
その2つに関してだが、骨の大腿骨と樹海で見つけた丈夫そうな木の棒である。加工が簡単そうなのは、圧倒的に木の素材ではあるけどどうかな。
木の棒に関しては、ナイフで持ちやすい感じに削って行けば良い話。ただし、強い武器になりそうなのは骨素材だが、加工は圧倒的に難しそう。
大腿骨と鎖骨の尖った部分を組み合わせれば、凶悪な殴り武器が出来上がる気はする。ただし接着素材を多く使わないといけないし、耐久性にも難がありそう。
ここは無理せず、木の棍棒シリーズで行こうか。
――丈夫な木の棍棒 耐久6、攻+6(両手時+8)
うん、何とか棍棒の形にはなってくれた。そして性能も悪くは無いな……両手武器として使っても、さっきの短槍の攻撃力の方が高いのは別として。
使い心地はずっと使っていた棍棒と大差ないし、その点は安心だ。メイン武器2つの更新は、我ながらテンションが上がる出来事である。
このまま外に出て、すぐにでも手強いモンスターに挑みたい所ではあるが。残念ながら、まだファーのお鍋がグツグツいってる最中である。
散らかした道具の片付けをしていると、ようやく妖精からオッケーのサインが出た。これでまとめて、クエ依頼を2つ解決出来る……喜びながら俺は、着ぐるみNPCの元へ。
誰に渡すんだと思っていたら、何故か皆がぞろぞろと揃ってやって来た。少々不気味だ、更にこちらを煽るように、各々が手にフォークとナイフを持っている。
いや先に皿を持てよと、心の中で突っ込みを入れる俺。
結果だけ言うと、ファーの作ったスープも、俺の作ったテーブルも見事合格を貰えた。揃ってスープを平らげる着ぐるみについては、俺の口から感想を言うのは避けさせて貰いたい。
とにかく報酬は、それに関連したモノを貰えて大助かり。しかしこれって、普通は順番が逆じゃないのかなと思ってしまう。
つまり料理のお礼だが、何と調味料と食器のセットを貰えたのだ。これさえ先に持っていたら、ファーももっと手腕を存分に振るえていただろうに。
それから家具製作の報酬には、釘や中間素材に加えて工具セットを貰えた。こっちも貰えるのなら、先にくれれば苦労はしなかったのにと文句の1つも言いたくなる。
まぁ、工具に関してはダブってしまうモノもあるが、今回貰えた方が上物には間違いなさそう。だから造る前にくれよと、俺はジト目で着ぐるみを見遣るがそんな行為も全くの無駄みたい。
世の中って、得てしてそう言うモノなのかも……何となく悟った表情でそう思いつつ。そう言う意味では、ファーにあげた杖の報酬の笑顔が一番だったのかもね。
気障っぽく聞こえるけど、本当なのだから仕方が無い。
さてさて、色んな事で時間をかけ過ぎてしまったかな……クラフト作業や諸々込みで、安全地帯で30分以上も過ごしちゃったよ。
無駄な時間では無かったけど、早く新しく製作した武器の使い心地を試したい。とか思いつつ、これからするのもクラフト作業なんだよね。
それでも探索の途中の雑魚敵で、新しい武器の使い心地は体感出来るかな? 弱い敵が相手だと、イマイチ手応えを感じにくいかも。
それより、俺のお手製の杖を貰ったファーの、ご機嫌っ振りが凄まじい。ぴょんぴょん宙で飛び回って、興奮マックスな感じは見ていて可愛い。
そんな訳で喜んで貰って何よりだが、シャンシャンとやたら煩いのは如何なモノか。まぁ、落ち着くまで待ってあげるのも優秀な相方の務め。
それよりようやく安全地帯を出発だ、もう忘れ物は無いかな? 保存食もたっぷりあるし、装備の交換も既に終わってるし。
うん、忘れ物は無し……あとは目的地へと歩いて行くだけ。
――それじゃあ出発だ、今日も頑張って冒険を進めよう。




