真っ赤なアイツ
得たアイテムの内訳は、食料系で保存食×5個、お酒や乾燥野菜やドライフルーツ等が少々。そしてその中で、恐らくは当たりが体力の果実×1かな?
雑貨はもっと種類が豊富で、鍋や針金の束や動物の毛皮、売り物なのか鈴のセットやランタンとその油。自分的に当たりなのは、念願の工具セットだな。
取り出して確認すると、小型のハンマーやノミ、ノコギリや釘セットが入っていた。これは凄く助かるなぁ、祠や家具の工作には無くてはならないモノだし。
これで半分は、任務と言うか目論見は達成出来た。肝心の木材だが、一応は板切れ×5と棒切れ×2、それから破れた幌や薄い板金なども発見出来た。
色々と造るには、もう少し材料が欲しいんだけど……幸い、馬車はもう2台崖から落ちて中破している。収集ポイントもある筈なので、追加でまた採れるだろう。
そして当たりの保管箱の品の中身は、魔石(小)と鉄のインゴットだった。
魔石(小)はお金にもなる筈だから良いとして、インゴットは微妙だなぁ。重装備とか工具系の素材にはなると思うので、価値はそこそこある筈なんだけど。
そんな事を考えてると、琴音のメール返信が届いた。収集系のポイントだが、やっぱり一度採ると回復まで一定時間掛かるみたい。
一定と言うニュアンスが、何とも微妙で判断に困るんだが。やはり人が滅多に採らない場所は、回復が早いとかの法則もあるにはあるらしい。
それでも何度もそこでお世話になると、回復時間はどんどん伸びて行くのは間違いない。最終的には日を跨がないと、ポイントは復活しなくなるのだとか。
それもそうだと納得は出来る、ゲームバランス的にポイント採り放題とかある訳が無い。つまりさっきの瞬間復活は、最初の偶然が作用したのかな。
決して、妖精の不思議パワーが関わっていたんじゃないと思う……多分、きっと。何しろここは、ソロエリアで他の冒険者など立ち入る事も無いからね。
何だかファーの潜在能力が高いと判明すると、こちらとのパワーバランスが微妙になってしまう。今だって、現実では琴音に尻に敷かれているのに、架空世界でも相棒の妖精に能力的に上回られるとさすがに辛過ぎる。
こっちの男としての身の置き場が、無くなってしまうじゃないか!
そんな事はどうでもいいか、さっさと2台目に向かおう。今度の奴は幌が付いていなくて、その分さっきの馬車よりサイズが大きいみたい。
乗せていた荷物も、恐らくは多かったのだろう……護衛も多分付いていたのかな、もはや骨とボロの装備だけの姿となっているけど。
しかも、そこにもポイントが浮かんでいると言う、残酷な仕様はちょっと引く。そして懸念はもう1つ、洞窟との距離が近いのが怖い所。
多分そこは熊か何かの巣なんだろうけど、ひょっこり寝惚けて出て来ないとも限らない。念の為に覗いてみたいが、藪蛇にならないとも限らないし。
周囲を警戒しつつ、素早く収集に励んで去るしかないかな。数匹単位のゴブリンの群れも、さっきより近付いて来ているような……?
嫌だな、集中出来ないのでもう少し向こうに行ってくれないかな。そんなカオスな現状でも、ファーは元気にポイントを見付けてくれる。
それでもさっきの1台目より、ポイントの場所は多かった気もする。なかなかの品数ゲットに加え、レア物も数点入手出来てしまった。
ファーと一緒に喜び合いつつ、俺たちは敵に見付からないよう残骸の影に身を潜める。何と森の方から、新たにゴブリンの群れが2つ湧いてしまったのだ。
敵の集団に囲まれるのは不本意だが、さてどうするか……もう1台半壊馬車の探索が残ってるし、洞窟の中も少しだけ見てみたい気もする。
洞窟も3つあったし、1個くらいは当たりがありそうじゃない?
海辺の洞窟の成功体験で、ちょっと夢見がちなのは否めないけど。あの半分でも収穫があったら、それはそれで大したモノには違いない。
ちなみに今回の獲得物だが、割と品種が豊富だった。まずは食材だけど、定番の保存食と果実酒、瓶入りのジャムと穀物の種等々。
何故かそこに紛れ込んでいた、経験の飴玉も2個ほどゲット出来た。これは幸先良いよね、そして雑貨類に関しても割と凄かった!
まずは通常品の、壺やら編み籠やらに混じって売り物らしき薬品類が数本。他にも松明やら麻布やら麻糸が出て来て、大物はマナポ(中)とかポーション(中)の薬品類。
中瓶はHPやMPを50回復だから、今の俺のステータスだとほぼ全回復である。大事にここぞと言う場面で、遠慮なく使わせて貰う事にして。
それらはベルトのポッケに、早速しまっておく事に。
木材に関しては、さっきと同じ木切れの類いが幾つか。大物は壊れた車輪……う~ん、何かには使えそうなんだけど微妙に使い道に困る。
今回のポイントで、初のお目見えの死体からの収集作業に関して言えば。何と言うか、どのポイントより冒険に役立ちそうな品物のオンパレードだった。
当然と言えばそうだよね、何故なら護衛していたのも恐らく冒険者だったから。そんな死体剥ぎ……言葉は悪いが、概ねそんな感じの結果。
得たのは盾やら胸当ての装備類に、弓矢と消耗品の矢束も2束出て来た。1束は20本セットらしく、弓矢使いならこの補充は嬉しい筈。
それから財布とお金が800モネー、ちょっと心が痛む。
――護衛の盾 耐久5、防御+5
――錆びた胸当て 耐久3、防御+4、器用+2
――護衛の弓 耐久5、攻撃+5
護衛の弓は、普通に最初に貰った初期装備のより1ランク強い感じかなぁ。いつか使ってみたいけど、その時が来るかは不明と来ている。
盾は良品なので、すぐにコボルトのドロップ品と交換して装着する。胸当ては……何と器用度+2が付いてる良品だ、ただし錆びついていて表面がごわごわして気持ち悪い。
少なくとも、気持ち良く装備出来るような状態では無いね。どうしようか、取り敢えず鞄に放り込んではおくけど修繕は可能なのかな。
結局、すぐに使用出来るのは盾だけと言う残念な結果だが仕方ない。それは置いといて、この馬車にも貴重品の保管箱がちゃんとあった。
そしてそのポイントからは、宝石が少々と土の水晶玉を3個入手。おっと、水晶玉は有り難い……ここに辿り着くまでに光系は使い切ってしまっていたし。
残るはさっき補充した闇系のみ、大事で強力な範囲攻撃の源だもの。すぐにベルトのポーチに保管して、これで一通りのチェックは終了かな?
これで心置きなく、次の探索へと迎えると言うモノ。
近付くゴブリンの群れがウザかったので、アイテム整理中に魔除けの香炉を使ってたんだけど。それを解除して、次なる行動に移ろうとした途端に異変は訪れた。
まず最初に、断崖の上から何かが転げ落ちる音が響いて来たのだ。落石かと驚いて身を竦めるも、落ちて来たのは何と大トカゲの死体だった。
少し離れた場所に落下して、既に絶命している様子で脅威にはならない。寝ぼけて足を踏み外したのかな、おっちょこちょいな奴もいたモノだ。
周囲のゴブリン達も、それに驚いて何やら警戒をし始めた感じ。群れ同士で警告の奇声を互いに発しているので、騒がしい事この上ない。
影が暗くなった、いや元から夜なので周囲は暗いんだけど。《Dビジョン》の視界では、少しの明かりを増幅してくれて、しかも生物のオーラを感知する感じなのだ。
ひょっとして、月明かりを何かが遮ったとか?
ワイバーンか何かだろうか、断崖の上で何か異変があったのかも知れない。それに驚いて大トカゲが落ちて来たのなら、一応さっきの異変の説明がつく。
そう思って空を見上げると、確かにそれはいた。巨大なオーラを纏った物体が、悠然とこちらに降りて来ようとしている。
何だコイツ、見た事の無い大きさだ……つまりは、警戒していたワイバーンどころか、それ以上の大物に見えるけど俺の勘違いだろうか。
その巨大モンスター、目に見えて異質な箇所はもう1つあった。
――それは俺が初めて見る、赤ネームの巨大な敵だった。




