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ミックスブラッドオンライン・リメイク  作者: 鳥井雫
始まりの森編

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ログイン5日目



 バイト終わりに琴音の部屋に直行して、そのままインすると言う自堕落な生活。もとい、琴音が喫茶店にまで迎えに来ての、何と言うか部屋まで連行されてのログインである。

 今日の夕食だが、実は妹たちも一緒に喫茶店で済ませている。こちらとしては、妹達がちゃんと夕食を食べたのも確認出来て一安心だ。


 多少は過保護な気がしないでも無いが、気を揉んで時間を過ごすよりずっと良い。それと言うのも、我が家の通信事情が全ての元凶である。

 つまりはスマホを持ってるのが、長男で家長である俺だけなのだ。妹達にも持たせたいのだが、節約のために我慢させている次第。


 そもそもウチの地元の中学は、校内へのスマホ持ち込みが禁止となっている。日中の大半で所持出来ないのに、通信費を払うのはとても業腹(ごうはら)である。

 家族割りとかを天秤に掛けつつも、家族で相談した結果所持するのは高校からに決まった。そんな感じで、姉妹と離れていたらお互いに相手の現状が分からないのだ。


 一応パソコンが家族用に1台あるので、メールを家に送る事は可能だ。そこら辺はマメに連絡を入れていて、楓恋(かれん)杏月(あんず)も定期的にチェックしてくれている。

 やっぱり心配だからね、お互いの動向とかも常に気に掛けてるし。ただしそんな兄妹のコミュニケーション過多も、琴音の焼き餅精神に火をくべる要素になるので注意が必要。


 琴音にも本当に困ったモノだ、いやもう慣れっこだけどね。取り敢えずはスマホからラインで、俺は妹達にあと1時間したら戻る(むね)を伝えておく。

 明日は日曜日なので、妹たちは家でゆったりしてくれれば良い。それよりあまりイン作業に時間を掛け過ぎると、琴音に叱られてしまう。


 それでもゲーム前に、お兄ちゃんとしてはやり残した準備が無いかを確認したい。何しろこれから1時間は、意識を完全に異世界に飛ばす訳だから。

 そう言う意味では、バーチャルゲームの筐体(きょうたい)って考えたら少し怖い。それでもゆっくり、ゲーム世界でリフレッシュ出来る時間は嬉しいご褒美かも。


 今では割と贅沢に感じる時間でもあり、提供してくれる琴音には素直に感謝。そんな幼馴染と、俺は念入りにイン前の最終確認をこなす。

 何しろ相手は、このゲーム機のスポンサーでもあるからね。


「こっちは今日中にクリアしようと思えば出来るけど、そっちはどんな? 恭ちゃんの方が手間取りそうなら、こっちも待つけど……?」

「こっちはバリバリ日数の掛かりそうなクエ受けちゃったから、今日と……少なくとも、明日以降までは間違いなく掛かりそうかな?

 分かんないけど、クエの進展次第だなぁ……」

「分かった、ちょくちょくメール入れるから、経過を知らせてね?」


 凄く満ち足りた表情の琴音にそう言われれば、こちらは否とは言えない。それじゃあ頑張ろうねと、お互いに確認し合って筐体を(かぶ)ってのログイン作業。

 ――そして異世界に降り立つ、俺のアバター分身なのであった。





 とまぁ色々あったけど、無事にログイン……うおっ、何だか暗いなと思ったら今は夜なのか! そりゃまあ架空世界とは言え、もちろん昼があれば夜も訪れる訳だ。

 ただ今までは、インしていた時間が規則的で、それが偶然ずっと陽のある時間帯だったと言うだけの話。こんな事態も当然ある、さてどうしようかと悩みつつ。


 すかさず飛んで来たファーに、取り敢えずこんばんはのご挨拶。そして琴音からもメールが飛んで来て、今は夜だから時間を置いてインし直すかとのお伺い。

 俺は少し考えて、このまま冒険を進めると返信する。何故なら俺の鞄の中には魔法の眼帯があるし、何よりファーと挨拶を交わしちゃったしね。


 仕切り直すまでも無い、このまま続行してイン状態を維持である。別に意地になってる訳ではない、勝算あってのこの返答だ。

 琴音からはしばらく後、こちらは通常サーバに接続してそっちで遊んでいるとの返事が返って来た。だから何かあったら、メールで気軽に質問してくれとの事。


 なるほど、琴音は元サーバに成長したアバターを持っているんだっけ。彼女は安全策で、朝になったら限定サーバに改めて入り直すらしい。

 それも正解だと思う、慎重になるのも1つの手だ。


 こっちは既に、今日と言う日の冒険へのテンションが上がりまくりである。それでも安全地帯を出る前に、こなす手順はちゃんと踏まなきゃね。

 まずはいつも通り、中央の大樹に張り出されたクエ依頼書のチェックなど。おっと、そう言えば依頼を達成したクエも幾つか持ってたんだっけ。


 視線を飛ばせば、どうやら新しいクエもチラホラと窺える。修繕券とポーションの交換券も、ちゃんと貼り出されていてまずは一安心。

 ポーションに関しては、昨日の冒険でかなりストックが増えてくれた。それでも貰えるモノはしっかり貰っ……そうだ、ログインボーナスも受け取っておかないと。


 いやいや、鞄がいっぱいで昨日から実体化させれていないんだっけ。何か初っ(ぱな)からバタバタしてるな、まずは落ち着いてクエの整理からしようか。

 まずは終わったクエの報告を、動物の着ぐるみに順次渡して行って報酬を貰ってと。その結果、またもや鞄が圧迫されちゃうと言うね。


 それでも一番嬉しいのが、狼の皮の交換装備である。これで壊れた穴あき靴から抜け出せる、ファーに笑われずに済むってのが何より有り難い。

 それから猪肉の交換品の肉の串焼きと、魚の切り身との交換で貰えたフィッシュチップス。今日の分の補給食は、恐らくこれで万全だろう。


 ちなみに俺の相棒の妖精は、肉も魚も嫌いで見向きもしない。彼女には、今日のログインボーナスにあったチョコをあげてみようかな?

 そう、今日のログインボーナスは、『経験の飴玉』と『一口チョコ』が数個ずつと言う品揃えだった。飴玉はどうやら特殊効果が付いてるらしく、1個で30分間の経験値取得率アップ効果と素晴らしい付与アイテム。


 チョコについては……何も記載されて無いから、恐らくはただの保存食なのだろう。妖精は甘味が好きだが、チョコを食べるかは知らない。

 まぁ、こちらも実体化させてしまったら、後はもう食べ切るしかないってだけだ。幸い果実系のストックも、まだ風呂敷の中にたくさんある。


 蝙蝠(こうもり)の討伐クエ報酬は、何とランタンと光の水晶玉×3個と言う夜間活動用のセットだった。どうやら光の水晶玉は、ランタンにセットすれば光源として使用可能らしい。

 もちろん投げ付けて衝撃を与えれば、爆発してダメージ源としても使える。俺に関して言えば、『闇の眼帯』を装備しているのでランタンは全く必要ない。


 つまりは光の水晶玉だけ、有り難く範囲攻撃用に使わせて貰う事に。他に受けていたクエだけど、クリア出来ていたのは実はこれだけだった。

 東と北のマップ完成クエは、全く完成には至らず未だ道半ばと言った感じ。


 このエリアはソロ仕様の筈なのに、やたらとマップが広いのが難点だ。そもそもこのクエって、クリアさせる気が向こうにあるのか(はなは)だ疑問である。

 そして新しいクエに、西のマップを完成させよってのが……。今からそっちに向かう訳だし、多少気にしながら進んでみようかな?


 東と北の地図だけど、マップを開いて確認すると5割も埋まっていない感じ。クリアで何が貰えるかが気になるが、まぁこのクエは探索のオマケ程度に考えて。

 ついでにNPC3人との会話クエも、まだ未クリア扱いとなっている。当然だ、このエリアで会話したのは、例の商人と精霊ラマウカーン位のモノ。


 あの(カラス)モドキの精霊を、果たして商人と同列に扱って良いのかが大いに疑問だけど。とにかく未クリなのだから、別のNPCを探さないといけない。

 果たしてこの広い森の中、近日中に出会えるのかは一切不明。



 それはともかくとして、新しく貼り出されたクエスト依頼書が数点。既に薬品類は交換チケットと交換して貰ったし、武器と装備の補修もバッチリ終了済みだ。

 クエスト内容も、前に受けたのと大差ない内容のモノばかり。例えば西の地図を完成させろとか、蜂蜜を3個取って来いとか鳥の羽根を4枚集めろとか。


 他にも大トカゲを4匹討伐とか、山羊の毛皮を2枚取って来いとか。うん、控えめに見ても、西の森関係のクエが多い気がするかな。

 その中でちょっと違うのが家具を自作してくれと言うクラフト系の依頼。精霊に続き、こっちでも遂に出たかってな感じである。


 ちなみに蜂蜜を3つ持って来てと言う依頼は、速攻受けてすぐにクリアした。包みの中に戦闘蜂のドロップで幾つかあったので、ヒツジの着ぐるみに渡してあげる。

 するとクリア報酬に、交換チケット2枚とパンを貰えた。


 おおっと、こっちも繰り返し受けれるタイプの依頼みたい。同じく鳥の羽根の収集依頼も、繰り返し交換が可能みたいである。

 ちなみにこれは、矢束×10本との交換らしいので弓矢持ちなら本来嬉しい筈。こっちは鞄の圧迫に、眉根がキュッと下がってしまった。


 ちなみに前回の実験で安全地帯の端っこに放置していた剥き出しのアイテム群だけど、8割方無事だった。つまりは2割程度、行方不明品が出た事になる。

 どの着ぐるみ野郎がガメやがったとか、推測を巡らせても全くの不毛なので。預け賃だと割り切って、今後もこの手法を取らせて貰う事に。


 いやいや、ファーを疑ったりはしてないよ? そもそも彼女は重たい武器など持ち去れやしない、果実の摘み食いならともかく……むっ、その可能性はあるな!

 でもまぁ、果実の半分以上は彼女の採集のお手柄だしね。





 ――こんな感じで、しばらく鞄の容量問題には悩まされそう。








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