待ち伏せレア種と4個目の虹色の果実2
本当に酷い攻撃力だ、通常の薙ぎ斬りでさえ当たれば痛いのに。ここは盾と短槍にチェンジするべきか、取り敢えず《Dタッチ》を決め込みつつ悩んでみたり。
敵のHPだが、ようやく半減に差し掛かったところ。敵の種類によっては、体力半減で急にハイパーモードに移行する奴もいるけど。
ひょっとしてコイツもそうなのかも、急に特殊技を使い始めて来たし。何にしろ厄介には違いない、さて武器の交換はどうしよう?
結局は武器チェンジする事無く、そのまま棍棒で攻撃する事に。曲がりなりにも両手棍は、武器スキル8Pも振り込んだ俺のアバターの最強武器だ。
武器スキルも2つ覚えてるし、パワーにはパワーで対抗だ。取り敢えずは《Dタッチ》で少しだけ回復出来たが、再びあのパワー技を喰らったらとても不味い。
取り敢えず俺は安全策を取って、足止めにと《風の茨》をばら撒きに掛かる。巨体相手にどうかなと思ったけど、何とか奴の動きは緩和してくれた。
その隙にベルトのポーチを漁って、ポーション瓶を取り出して一気飲み。回復ついでに、ポーチに入ってた闇の水晶玉での投擲攻撃も行なう。
これは結構効いた模様……こちらは一応全回復したし、これで負けの目はなくなったかな? いやいや、油断は大敵だが回復を挟めたのはかなりデカい。
後はとにかく果敢に攻め込んで、大カマキリの息の根を止めるだけ。とか思っていたら、思わぬしっぺ返しが襲い掛かって来た。
これも多分だけど、相手の体力が減ったから発動した特殊技かも。レア種カマキリの皮膚の色が急変して、周りの風景に溶け込むように《保護色》が発動したのだ。
うぬっ、そうは言っても完全に消える訳は無……げえっ、目の前から敵がいなくなったよ! これにはビックリ、不意打ちであの攻撃を受けたら正直ヤバいかも?
取り敢えずは他力本願で、俺はファーに居場所を確認してみる。
驚いた事に、ファーは呆気無く敵の特殊能力を見抜いてしまっていた。アッチと指差した方向に目を遣ると、なるほど何となく景色が揺らいで見える。
焦って殴り掛かるも、手にした武器には何の衝撃も感じない。手応えを求めて周囲を闇雲に殴ってみるも、時既に遅しで敵の手掛かりは消えていた。
ナニやってんのとの、従者の筈の妖精のジトッとした視線が主の俺に注がれる。いやだって、透明な敵と戦うって無茶でしょ!?
その返答は、重い斬撃としてすぐに返って来た。ムキーッとなって適当な方向に攻撃を繰り出すが、やはり手に反応は全く無しの結果に。
全くやり難い能力持ちのレア種である、パワーがある敵だけに最悪だな。幸い、ファーは律儀にも敵の方向の指差しを続けてくれている。
腹が立った俺は、これでどうだと踏み込んでの《ブン回し》の範囲攻撃を敢行。しかしこれも大外れ、スキルの空振りって初めてかも?
そして反撃の辻斬りに遭遇、またまたHPを減らして何とも苛つく攻防の繰り返しに。堪忍袋の緒が切れた俺は、ベルトのポッケから水晶玉の残りを取り出す。
そしてファーの向けてる指先へと、まとめて放り投げると言う暴挙に出てしまった。後で思えば、相当勿体無い事をしちゃったなとも思う。
とにかくこれが功を奏して、敵のHPが久し振りに激減してくれた。そしてダメージによる効果が表面に噴出、空間が揺らいで大カマキの姿がようやく出現した。
このチャンスを逃すと、もう後が無いかも知れない。その焦りと怒りを乗せた一撃を棍棒に乗せ、俺は思い切り敵の脳天へと撃ち降ろす。
見事にヒットした久々の感触が、脳天を痺れさせるほどの快感へと変わって行く。それに驕らず、俺はすぐに次の攻撃へと移行する。
撃ち降ろした棍棒を、今度は真上へとカチ揚げる軌道へと修正する。つまりは《撃ち上げ花火》のスキル技で、大カマキへのトドメの一撃!
これが文字通りに闘いの終止符となって、意外と長かった戦闘も終了へ。いやいや本当に苦労した、パワー型なのに特殊能力も持ってるって反則だろ。
とにかく終わってホッとした、そしてレベルが10に上がると言う快挙。ようやく2桁への到達は、過去の冒険を鑑みてちょっと嬉しいかも。
おっと、忘れない内に4個目の『虹色の果実』も回収しておかないと。そう言えば、ファーの気にしてた収集ポイントもあったっけ?
これは戦闘が終わっても、一息つく暇もありゃしない。
お楽しみのレア種の報酬だけど、まずはスキル3Pをゲット。強敵だったのでもう少し上でも良かったとも思うが、あまり贅沢は言うまい。
それからドロップは、まずは両手武器の大鎌が1つ。今までは素材系が多かったのに、今回はちゃんとした武器の形を成しての報酬である。
見た感じかなり強いんだけど、残念ながらスキルがナッシング。それから恒例の魔石(小)と『風の術書』、それから『器用の果実』と『剣術指南書』が一冊。
定番の2品はともかく、剣術指南書は指定の武器スキルを2P上昇してくれるらしい。風の術書と器用の果実はすぐに使うとして、大鎌の性能はこんな感じ。
――蟷螂の大鎌 耐久8、攻+14、時々風ダメージ追加
んをっ、これは……何か凄い性能な気もするけど、スキルゼロPで武器を使う気は未だに無い。必殺技の行使が面白いので、使うならガッツリとスキルPを振り込む算段になる。
一緒にドロップした剣術指南書を、大鎌スキル伸ばしに使うのもアリなのか? しかしそれだと、両手武器を2つも使い分ける魔法戦士が誕生してしまう。
魔法の並びももう少し増やしたいし、ここは取り敢えず保留の方向で。ドロップした大鎌は良い武器で勿体無いけど、仕方ないのでこれは鞄行き。
ファーがここも大事と、さっきから例のモンスターの巣跡のポイントを指し示している。おっと忘れる所だった、お楽しみの収集作業をしなきゃね。
結果は巨大生物の大腿骨や鎖骨部分が幾つかと、土や風の水晶の欠片が少々。毛皮とか変なキノコも採れたけど、キノコは動物の死骸から生えていると言う。
ファーがどこからか、丈夫な木の蔦素材を取って来て再び鞄がパンパンに。魔除けの香炉を焚きながら、鞄と風呂敷の整理に追われつつ。
ポイント収集で発見した大腿骨、棍棒素材に使えそうだなぁと思考に耽ってみたり。鋭利な骨素材も結構あるし、骨系の材料で両手棍を作れないかな?
何とかなりそうな気もするが、これはまた木工とは別種の難しさがありそう。接着素材とか工具があればいけそうだけど、それを探すのも一苦労と言うね。
とは言えレベルも上がったし、そろそろ棍棒系の新しい武器も欲しいかなぁ? そう言えば、ここの森の探索で新しい木の棒も入手したんだっけ。
夢は広がるが、肝心な合成能力が追い付かないんだよね。
それはともかく、念願の2桁に達した現在のステータス!
名前:ヤスケ 初心者Lv10 種族:ミックスB
筋力 20 体力 24 HP 79(+8)
器用 23 敏捷 21(+2) MP 62
知力 17 精神 17(-4) SP 59
幸運 15(+8) 魅力 7(+3) スタミナ**
職業(1):『新米冒険者』Lv10
武器(4):《ブン回し》《落とし突き》《撃ち上げ花火》《》
補正(3):《投擲威力20%up》《》《》
武器:弓矢1P
:短剣1P
:短槍4P《落とし突き》
:両手棍8P《ブン回し》《撃ち上げ花火》
:投擲4P《投擲威力20%up》
魔法:『闇』5P《Dタッチ》
:『風』5P《風の茨》
種族:『ミックスB』(幸運+2、魅力-1)
称号:『蝶舞』『猪突』
モネー:21、500
スキルP:13
***『新米冒険者』ヤスケ 装備一覧***
武器 :大猪の牙の木槍(4) 攻+5
武器2:粗末な木の棍棒(4) 攻+4(両手時+6)
予備 :研ぎ直した粗末な石斧 耐久3、攻+4(投擲可)
盾 :粗末な木の盾(3) 防+2
頭 :犬獣人の兜(4) 防+3
上着 :質素な狼皮ベスト(5) 防+5
指輪1:耐魔の指輪(2) 耐魔20%
指輪2:契約の指輪(-) 従者+3
腕 :粗末な革の腕輪(-) 防+0
ベルト:革の幅広ベルト(7) 防+5、ポーチ×4
下肢 :疾風のズボン(8) 防+7、敏捷+2
靴 :粗末な革の靴(-) 防+0
従者:妖精Lv1 幸運+6、魅力+4、精神-4
鞄:魔法の鞄(初心者用)
アイテム:ポーション(大)、ポーション(小)×21、毒消し×2、マナポ×3
:雷の術書、水の術書、潤いの蜂蜜×7、魔石(小)×5、魔石(中)
:蛇の皮、蛇の牙、大猪の毛皮、虹色の果実×4、海賊のサーベル
:料理キット、冒険者セット《地図形成》《水中呼吸》蟷螂の大鎌
:宝珠《清き水》、緋色の頭巾、闇の眼帯、海賊の大斧、海賊の長槍
:魔除けの香炉、金のメダル×3『初級海賊』薬品箱、松脂1瓶
:剣術指南書、巨大な大腿骨
今回は初のレベル2桁到達の恩恵なのか、幸運値と魅力値も上がってくれた。ステータス的には順調だが、装備に関しては残念なお知らせが続いている。
まず1つ目、せっかくここ2日間に渡って、良品武器ドロップが続いていると言うのに。使っているのは、相変わらず拙い自作の武器と言う事実。
愛着は湧くけど、攻撃力とか耐久値的には物凄く残念。それから2つ目、着ぐるみのクエ交換で貰っていた粗末な装備が、2部位も壊れてしまった事。
ファーには笑われるし、せめて穴あきの靴はどうにかしたい所。これは森の中央の安全地帯に戻れば、何とか直して貰えるのかなぁ?
もしくはクエ報酬で、新しいのを貰えるとか。
――いつまで経っても課題は山積み、そんな新米冒険者だったり。




