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ミックスブラッドオンライン・リメイク  作者: 鳥井雫
始まりの森編

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36/77

待ち伏せレア種と4個目の虹色の果実1



 北の森は相変わらず歩くのに困難で、探索は色んな意味で大変だ。それでも他の冒険者より優位かなって感じるのは、妖精のファーの存在である。

 大変さの半分を(にな)っている、ダルマの不意打ちを綺麗に潰してくれている事実はとても大きい。こちらはダルマの落ちる音と、それから足元の待ち伏せ鎌鼬(かまいたち)に注意してれば良い。


 そのために割と探索は(はかど)って、俺たちはどんどん樹海の奥地へと踏み込んで行く。先ほどのトレントとサルの窮地を乗り越えた後、俺は残り時間を確認しながら探索は続く。

 それから更にポーションを半ダース確保、そしてマップを1時間かけて半分程度網羅する。歩きにくい地形に苦労しつつも距離を稼いだ結果、その内に明らかに変な場所に出た。


 開けた円形の空き地と、その中心にくねりながら伸びた樹木が1本。どうやら探していた虹色の果実の大樹らしい、それは間違い無さそう。

 その側には小さな泉と、岩が自然と組み合わさって出来た休息に良さそうな場所が。明らかに誘っていると言うか、こちらを油断させようと(はか)っているのが透けて見える。


 その理由の大半が、今までのパターンからの経験だったりする。ただし今回は、擬態しているモンスターがここから丸分かりと言う初のパターン。

 しかもこちらを戸惑わせる、黄色ネームのレア種がスタン張っていた。



 あれはカマキリ型のレア種モンスターだな、うん。カマキリはその強力な両手の鎌ばかりが有名で、待ち伏せして敵を捕らえるのは忘れ去られがちだけど。

 獲物が近付くまでは、じっと動かず擬態しているのが狩りの定番なのだ。今はその派手な名前掲示機能が、不憫(ふびん)にも邪魔してくれちゃっている。


 ちょっと哀れだなぁ、いや狩られる獲物は俺なんだけどね? しかしこの初のパターン、今までの脅かし役は大蛇とか大蛾とかノーマルの敵ばかりだったのに。

 ここに来ての法則無視は何でだろう、いやしかし敵も既にいるしやるしかない。茶色系の枝に(ふん)していたレア種カマキリとの距離は、約15メートルくらい。


 先制で斧を投げつけるには、やや遠いかなと思って考え込んでいたら。こちらの気配を感じ取ったのか、隠れていたレア種が動きを見せた。

 ……ってか、何故に更に隠れようとしてるっ!? 思わぬ動きに翻弄されて、俺もファーも戸惑っている中。完全に、樹の陰に姿を消してしまったレア種は少し哀れ。


 これはもう、こちらから(おもむ)いて戦いを仕掛けるしか手は無い様な。何しろ果実の採集は、第一に達成しないといけない目的である。

 危険が潜んでいるのを分かっている中、ファーを単独で向かわせるなど出来ない相談。だから単独で行かない様に、君の事だぞファーさん?


 フラフラと飛んで行こうとしている相棒に釘を差し、こちらは慎重に近付いて行く。不意打ちは喰らいたくないし、出来ればこちらから先手を打ちたい所。

 そんな事を思いながら泉へと接近する俺、しかしここは本当に綺麗な景色だな。澄んだ水と樹の落とす木陰、座って休むのにちょうど良さそうな岩場まである。


 そんな事を考えて気を抜いていた訳ではないが、頭上から不意打ちでの襲撃を受けた。うおっ、蟷螂(カマキリ)型のレア種だけかと思っていたら、普通の敵もいたんだなっ!

 いや、普通の敵にしてはかなりサイズ感が大きい様な? そいつはレッドヒルと言う名前らしく、普通車のタイヤ位には大きいヒルだった。


 それが一気に3匹も落下して来た、こいつ等は普通のモンスターらしい。ただし、先ほど遭遇した森ヒルなんて、子供(だま)しに思える程の体格を有している。

 むむっ、本来はコイツがここでの脅かし役だったのか? 蟷螂(カマキリ)型のレア種は、それなら実はイレギュラー的な立場だったのかも?


 何か待ち伏せに適した場所を偶然見つけて、そんじゃここで待ち伏せしようかなぁ的な感じ? ちょっと可愛……いやいや、敵に情けは無用!

 ってか、既に俺の周辺がカオス状態なんですけど? 投げ付ける用に持っていた大猪の牙の短槍で、地面に落ちた奴を突き刺してやって。


 それから散らばっている残りの赤ヒルに、すかさず《風の茨》をお見舞いする。要するに、今回は背中に貼り付きは許さずやり過ごす事が出来た。

 当然である、そう何度も敵の同じ手管(てくだ)には乗りはしないぜ! 妖精のファーは水晶玉を手にちょっと残念そう、だから何でだ!


 まずは投擲からスタートしようと、今手にしている武器は短槍なんだけどね。棍棒で無いと《ブン回し》が使えない……おっと、樹の後ろに廻ったレア種はどこ行った!?

 とか思ってたら、ソイツも樹の枝を渡ってこちらの頭上から襲い掛かって来た! これは槍投げて先制攻撃なんて、言ってる場合じゃない。


 俺は何とかのけ反って、敵の大鎌の横()ぎを避ける事に成功。そしてため息交じりでの脳内思考、またもや2種類の敵の波状攻撃を喰らっている。

 種類が違うと、当然だが動きのパターンが違うから洒落(しゃれ)にならない。なのでどちらかを素早く片付けたいが、大カマキリはレア種だし赤ヒルは3匹もいるしで大変だ。


 一筋縄ではいかない状況だが、さてどうやってこの危機を乗り越えよう? 取り敢えず使用武器だが、短槍に固執するのは良くないな。

 そんな訳で棍棒へと持ち替えて、SP貯めに軽いジャブ攻撃。しまったな、こんな事なら支給品の闇の秘酒を飲んでおくんだった。


 後悔しても既に遅い、今は敵を両手持ちの棍棒でひたすら殴るのみ。そしてSPが貯まったら、範囲攻撃の《ブン回し》を敢行してやる。

 上手い事赤ヒルが全員範囲に巻き込まれ、均等にダメージが行き渡る。反撃もしかし、位置取りが悪くて均等に貰っちゃったけどね。


 レア種に殴られるよりはマシ、奴からは距離を取るように移動して行くのを忘れない。俺は上手い具合に岩場へと後退して、囲まれない様にと細心の注意を払う。

 プニっとした赤ヒルは足が遅いし、大カマキリも樹に登ったのが災いして足場はこの上なく悪いと来ている。さてこの隙に、赤ヒルには何匹か離脱して貰おうか。


 《風の茨》はもはや定番、不測の事態だったのは赤ヒル3匹とも茨に絡まった事。どん臭い連中だな、そんな奴らには遠慮なく二度目の《ブン回し》+範囲水晶玉をお見舞いする。

 この波状攻撃に、さすがの体格の良い赤ヒルも良い感じによたって来た。これでもう数撃加えれば、厄介な血吸いモンスターもお陀仏(だぶつ)してくれそう。




 そうこうしていると、戦況に新たな動きが生じた。待ち伏せは無理だと判断したレア種の大カマキリが、ようやく樹から降りて来たのだ。

 どうやらコイツ等は、さっきの連中みたいなコンビ攻撃とか連帯感は皆無の様子。こちらとしては都合が良い、個々で対峙すれば良い話なので。


 奴が来るまでにひたすらSPを貯めて、何かとぴょんぴょん小煩(こうるさ)い赤ヒルを駆逐して行く。微妙に岩の周りを移動しながら、ひたすら好機を待つ俺。

 囲まれない様に移動を繰り返していると、何かの巣が視界に入って来た。そこには連中の食べ残しなのか、変に干からびた大型動物の死骸が転がっていた。


 妖精はこっちの戦闘そっちのけで、その巣の中に興味津々の様子。どうやら収集ポイントがあるらしい、後で確認しておかないと。

 ってか、こっちをもう少し気にしてくれてもいいんだよ、ファーさん?


 気移りしやすい相棒の存在はともかく、SP貯めからの範囲攻撃の連発には成功した。お陰でようやく、赤ヒルの群れは壊滅の運びに。

 一度1匹の赤ヒルに引っ付かれて、HPを盛大に吸われた事はナイショだ。そいつは結局、体力回復から最後まで粘りに粘ってくれたけどね。



 さて、ようやくの事レア種のみとなった、果実の樹の下での戦闘である。一度思いっ切り鎌の攻撃を喰らって、出遭ったレア種の中ではピカ一のパワーを持ってる事が判明した。

 細い身体なのに筋力値が高いのかな、それにしても武器は短槍でなくて良かったよ。この体型で槍の攻撃を当てようと思ったら、それなりに大変そうだ。


 ただし盾は手放さないといけないので、防御には少し不安が残る。と言う訳で、棍棒の両手持ちでのゴリゴリ削り合戦の開始だ。

 そんな相手の攻撃は、やはり空振りでも肝が冷える威力を有している。ただし割と荒い()ぎ払いが大半なので、予測するのは容易ではある。


 しかも敵は3メートル以上の巨体なので、腕の位置も当然高くなって来る。この架空世界の敵は、だいたいそんなモノだと刷り込みは俺の脳に既になされている。

 とは言え、昆虫もここまで大きくなるとさすがに不気味かも。とか文句も言っていられない、さっさと目の前の敵を片付けなければ。


 パワータイプとの戦闘は、ちょっとした事故で倒される率がグッと上がってしまう。それを言えば、特殊技を絶妙に操る敵もかなり厄介ではあるな。

 例えばさっきの視ザルとトレントのコンビとか、視界を(さえぎ)られてタコ殴りとか嫌過ぎる。どっちが怖いかと問われれば、まぁどちらも等しく嫌だと言うしか。


 まぁそう言う情報は、自身のアバターの成長に反映させるとして。今はこのパワー系バリバリの昆虫系レア種を、倒してしまう事に全力を注がねば。

 とりわけ厄介な特殊技は、割とすぐにやって来た。《デルタシンフォニー》と言うとんでもない連続技、3段攻撃の()ぎ技でダメージ量が半端無い!

 一気に体力半減で、懸念していた脱落コースに危うく乗っかりそうに。





 ――ここは踏ん張りどころだ、落ち着いてこの窮地に対処せねば。







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