表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/22

第十八章:追う者の理由

夜の森は、異様なほど静かだった。

 葉擦れの音すら、張り詰めた空気に呑み込まれている。

 アリスは剣を下げたまま歩いていた。振り返れば、エリスが必死に足を運んでいる。暴走の後、彼女の力は不安定で、長く走ることもできなかった。


「……来る」


 エリスの声が小さく震えた。


 次の瞬間、木々の間から複数の人影が現れる。

 かつての戦友たちだった。


 同じ訓練を受け、同じ命令に従い、同じ恐怖を知った少女たち。今はそれぞれ異なる陣営の腕章をつけ、追跡者として立っている。


「投降しなさい、アリス」

 マリアの声だった。


 彼女の目は揺れていた。敵として命令を受けているが、感情までは消えていない。


「私たちは、逃げてるだけじゃない」

 アリスは答える。「選び直してる」


 だが、その言葉は届かなかった。

 追跡者たちの背後には、軍、研究組織、反政府勢力――無数の思惑が重なっている。彼女たちは“個人”ではなく、“役割”として動かされていた。


 戦闘が始まる。


 銃声、魔力、刃。

 アリスは防ぎ、退き、殺さないことだけを選び続けた。


 その姿に、追う側の動きが一瞬、鈍る。


「まだ……戻れると思ってるの?」

 誰かが叫ぶ。


「戻らない」

 アリスは断言した。「最初から、間違ってた場所には」


 その瞬間、遠くで爆発が起きた。

 別陣営同士の衝突――二人を巡る争奪が、制御を失い始めていた。


 追う理由は、もう崩れ始めている。

 それを、全員が薄々理解していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ