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第14話予想外の約束②

「聞いてよリテネロエ様ー、この前買ったアイシャドウがびっくりするぐらい似合わなくってー。結構高かったのに」


「そーお? 結構かわいい色だと思うけど。ミヤは赤毛だし、この色と合わせたらもっと馴染むんじゃない?」


「おー! 天才!」


 部屋の掃除をしていたはずだが、いつの間にかミヤはリテネロエの目の前のソファにどっしりと腰掛けている。


 別にミヤが少しさぼったくらいで困るほど大きな部屋でもないし、メイドの怠惰を注意することは全くせず、なんなら美味しい紅茶片手に女子会をおっぱじめていた。


「やっぱりミヤがいないと毎日が楽しくないわー。お父様たちに付いて行っちゃって、ルークと二人きりだった時はいっつもかっちりした空気で疲れちゃったもん」


「ルクシンドは真面目過ぎなんだよほんと! もっと人生勢いに身を任せて破天荒に生きないと!」


「ミヤは行き当たりばったり過ぎる気がするけど……」

 

 


 バーガランド家のメイド『ミヤ』は赤毛のおさげと赤い瞳、頬のそばかすがチャームポイントの十八歳の田舎娘だ。


 二年前、彼女の故郷のササ・ランデに訪れた際、


『一目ぼれしちゃった! 下僕にして!!』


 と唐突にリテネロエに抱き着いて来たのが彼女との初めての記憶。

 

 あまりにもしつこく「お願いっ!」と付きまとってくるものだから、そのまま持ち帰りしてしまったのだ。

 メイドとしての知識は皆無であったため、そこを一から叩き込むのは大変だった。――主にルクシンドが。


 しかし、リテネロエはタメ口でこうやってお茶をしてくれるミヤがお気に入りで、この世で数少ない『友達』だと胸を張って言える。


 


「リテネロエ様だって仕事ばっかりじゃなくて、もっと楽しく生きた方がいいよー。例えば……恋愛とか! 好きな人いないの??」


「へ? 好きな人なんかいな……」


 呆れ笑いをしながら、「いない」ってただそれだけを言おうとしたのに、突如に脳裏で銀色の長髪がなびいた。

 その人がこっちに振り返って、ニコッと微笑むと周りがキラキラし出す。


――あれは天使?


「――!? なにその顔! まさか……まさか……あの必殺仕事人リテネロエに春が来た!?」


「っえ、ち、ちがっ!? って顔熱!」


 うっきうきで瞳を輝かせるミヤの視線が恥ずかしくて顔を隠すと、頬がビックリするぐらい熱くなっていて、さらに動揺が止まらない。


「誰!? ウチが知ってる人!?」


「いやっ! だから違うって!!」


「――っ! 知らない人なんだ!! イケメン!?」


「……この世のものとは思えないくらいに綺麗な人、しかも優しい――――って何言ってんの私!?」


 こんなこと言うつもりはなかったのに……ミヤの瞳を見ていると、昔から不思議と嘘が付けないんだ。


 しめしめと笑みをこぼすミヤが悪ガキにしか見えない。


「何それ!? どんだけ顔良い!? 面食いのリテネロエ様がそんなに言う人なんて存在してたんだ……ッハ、まさかっ! 二次元の話じゃないよね? 実は想像の人物ですみたいな」


「もー! そうやってからかわれるから絶対に言いたくなかったのに!」


「ごめん! ごめんって!」


 リテネロエがミヤのこめかみをグリグリすると、泣き笑いながらミヤは謝罪を口にする。


「別にまだ顔見知りってだけだから。彼は酒場でバイトをしてて、少し前にたまたま知り合ったの」


「へー……そこまでリテネロエ様が言うなんてどんだけ良い男なのっ――よし!! 行くよ!」


「ふぇ? 話聞いてた? ていうか行くってどこに……」


「その酒場に決まってるじゃん! 『突撃! リテネロエの初恋』の巻だーー!!」

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