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第1話貧乏領地の令嬢は毎日が激務です。①

「――やっと終わった……」


 朝からずっとペンを走らせていた甲斐もあり、ようやく机の上にタワーのように積み重なっていた書類が片付いた。


 グーっと手を組んでのけ反っていると、目に入った時計は三時を回っており、外もいつの間にか真っ暗なことに気が付く。

 どうりで体がだるい訳だ、と指にできたペンだこ見ながら呟くと髪を留めていたリボンをほどいてズキズキする頭を解放する。


「明日は絶対に昼まで寝てやるんだから」


 その日締め切りの仕事を当日に押し付けて来るとか、本当にバカ。私を超人だとでも思っているのだろうか。


 顔も洗ってないし、寝巻にも着替えてないけど立ち上がるのが億劫すぎて、明日きっと後悔するなと思いながら、そのまま重い瞼を欲望のままに閉じてしまった。



 


「――起きてください、リーティ」


 名前を呼ばれ、うっすら瞼を開けると、外が明るくなっており、徹夜明けの瞳が感電したかのように痛くなった。

 声で起こしに来た人物が誰なのか分かったため、顔を上げたり、口元の涎を拭いたり、ぼさぼさの髪を整えたりすることなく、机に突っ伏したまま寝起きのかすれ声で質問をする。


「……ん、何時?」


「朝の六時です。それより、またベッドにも入らないで寝ていたのですか? 顔がむくんでますよ」


「うっるさいわね! 昨日は三時まで仕事してたのよ、まだ寝かせて」


 女性にそんなことを言うなんて、なんて失礼な奴だ。朝なんだからむくんでるのは当たり前だろう。

 

 まだ夢現のままイラついた衝動で机をダンと叩いて顔を上げるが、寝不足な頭がくらくらして、また寝落ちしそうになる。

 後ろにかくんと頭が落ちそうになったのを支えられると、ぺちぺちと頬を叩かれ、強制的に疲労困憊な脳を覚醒させられた。

 

 眉に皺を寄せながら瞼をゆっくり開けると、しっかり磨かれた細渕の眼鏡を挟んで、紺色の瞳と目が合った。上から見下ろされる形で、逆さまになった冷淡な顔が映し出され、なんとも最悪な目覚めだ。


「それは無理です。今日はアザクレア様が急な出張に行くことになりましたので、代わりに残っている仕事をしていただきます」


「……はぁ!?」


「農作物の収穫高の計算、王都に送る領地状態の報告、北にある病院の老朽化の苦情への対処、あとは以前から問題になっていた鉱山近くの工場への訪問ですね」


「そ、そんなに……?」


 今日やるべき仕事をぺらぺらと告げられて、思わず苦笑い。呆れて反論の声も出てこない。


「最初の二つは移動中に俺がやっておきますから、リーティはとにかく対談だけして下さい。それだけは、バーガランド家の誰かがしなければいけませんから」


 絶望的な顔をしたのを見かねてか、やれやれと書類作業は受け持ってくれた。

 

 しかし、だからと言って仕事が日中で終わる量になったかというとそうでもない。


 対談というのはお偉いさんとお話をして終わりというものではなく、正式な書類をもとに現状把握、問題点の提示、今後どうしてほしいのかを何時間も聞き続けなければならない。しかも、結局どう改善するのか納得する結論を出すまで終わらないため、半日は掛かる。

 

 絶対途中で居眠りする予感がする。


「とにかく、外出の準備をしますよ。はい、立って立って」


 二日酔いみたいに頭は痛いし、石みたいに肩は凝ってるし、おじさんみたいに目の下のクマが酷い。仕事に対するモチベーションがゼロを通り越してマイナス方向に下落しているのに、無理やり手を引っ張られ、強制的に化粧台の前に連行されながら子供みたいにリテネロエは泣き喚いた。


「もう……もう……仕事なんて、したくなーい!!!」



☆★☆★☆★



 はじめまして。好物は頑張る可愛い女の子とみかんな緑山実です。

 ご覧いただきありがとうございます!


 本日は十分おきに三話連続更新です。

 次回は明日午前七時十分より二話連続を予定しています。

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