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星の詩と君の指

桜並木が春風に揺れる星稜大学の図書館。桜井美咲、20歳、文学部生は、窓辺で詩集を手に静寂に浸る。先天性両側感音性難聴の彼女は、補聴器でかすかなページの擦れ音を捉え、手話と唇読みで。星野陽花、20歳の音楽学部生が現れる。「桜井さん! 詩、書いてるんだ!」と笑顔で話しかける。中学の同級生だ。陽花の笑顔は、揺れる髪と少し乱れたスカーフ越しに光る。美咲の補聴器が彼女の声を拾い、手話で答える。「星野さん、元気ね。」陽花がたどたどしい手話で返す。「詩、読みたい!」美咲の瞳が揺れる。陽花の唇がゆっくり動く。「夢、応援するよ。」彼女の心に、音が灯る。

中学時代、陽花は美咲の手話を真似てクラスを笑わせ、孤立を溶かした。高校で離れ、女子高の美咲は囁きに傷ついた。「声、変だね。」笑顔の裏の冷たさ。優しい友人もいたが、陽花の笑顔が特別だった。大学での再会、陽花の手話が上達。「美咲の詩、すごいね!」美咲の指が滑らかに動く。「ありがとう、陽花さん。」頬が熱くなる。

文学サークルの朗読会が迫る。美咲は詩で心を届けたいが、過去の傷が胸を締める。「私の声、笑われるかな。」陽花が図書館の机で手話。「美咲の詩、絶対届く。私、そばにいる。」陽花の指が「星」を表現、広げて光を掴む。美咲が真似ると、指が触れる。陽花の顔が赤い。「あ、ごめん!」美咲の手話が微笑む。「心、ドキドキしただけ。」陽花のスカーフが風で揺れ、二人で笑う。

練習の日々。陽花は唇を大きく動かし、「ゆっくり話すよ。」美咲は補聴器越しに彼女の声を捉え、手話で返す。「『ありがとう』、きれいになった。」陽花の不器用な努力が、美咲の不安を溶かす。美咲は詩を書き、陽花に渡す。「君の笑顔は、星の歌。」陽花の手話が答える。「この詩、私の心に響くよ。」視線が絡み、美咲は思う。「陽花さんは、私の音。」陽花の指が震える。「美咲の笑顔、私の光だ。」

サークルの仲間、佐藤玲奈が現れる。陽花の幼馴染で、手話は知らないが、美咲に笑顔。「桜井さんの詩、楽しみ!」玲奈の明るさが、美咲の心を軽くする。だが、玲奈の声が響く。「陽花、昔から美咲のこと気にしてたよね!」陽花が慌てて手を振る。「ちょ、玲奈! 余計なこと!」美咲の胸がチクッとする。陽花の手話が急ぐ。「誤解! ただ…美咲の詩、好きだから。」美咲の指が小さく動く。「…うれしい。」

朗読会前夜、美咲は寮の屋上で震える。「また、囁かれたら…。」陽花が星空を見せ、手話で言う。「美咲の声、星より輝く。私、信じてる。」指が夜空を指し、力強い。美咲の目が潤む。彼女の手話が囁く。「陽花さん、いつも私の世界を照らす。」陽花が手を握る。「これからも、ずっとそばに。」美咲の心が、静寂で歌う。星が瞬く。

当日、講堂に学生が集まる。玲奈が最前列で手を振る。美咲は補聴器を外し、舞台に立つ。手話で陽花に囁く。「見てて。」震える声で、「星は、静寂で歌う」と朗読。発音は不完全だが、心が響く。陽花の手話が動く。「美咲、最高だ!」玲奈が拍手で跳ねる。振動が美咲の足に伝わり、涙が落ちる。客席の誰かが呟く。「声、変だけど…なんか、いい。」美咲の心が軽くなる。

桜並木で、陽花の手話が言う。「美咲、めっちゃ輝いてた!」美咲は答える。「陽花さんがいたから。」陽花の指が震える。「美咲、好きだよ。」美咲の手が動く。「私も…陽花さん。」桜の花びらが舞い、玲奈が遠くで笑う。「やっと! 二人とも鈍いんだから!」陽花と美咲が顔を見合わせ、笑顔が春の光に輝く。美咲の詩集に、陽花の指が触れる。「これからも、詩、書こう。」美咲の手話が頷く。「君と、星の詩を。」

END

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