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ゴブめし!~ゴブリン料理の隠し味は異世界転生者~  作者: コル
第7章 3人のピクニック
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第53話

「よし……卵焼き いく」


 俺はフライパンをかまどの上に置き、器と卵を手に取った。


「たまごやき! どんなのかな~?」


「期待っスね」


 ミュラとコヨミが俺を期待の眼差しで見つめて来る。

 やめてくれ……卵焼きは本来、長方形の小さいフライパンで作る。

 しかし、ここにあるのはよくある丸いフライパンのみ。

 この丸いので作ったことが無いから、うまく出来るかわからないんだ。


 俺は卵を2個割り入れ、砂糖小さじ2、塩ひとつまみ入れてかき混ぜた。


 そして、出来た卵液を油を引いた丸いフライパンへと流し込んだ。


「おお……なんか、いいにおい……」


「……まさか、そのまま完成って事は……無いっスよね?」


 そんなわけが無い。

 この状態だと、オムライスに乗せる卵になってしまうだけだ。


「まだ だ……半熟 なったら……こう して……」


 無理やり端に寄せて無理やり一巻きして、芯を作る。

 そうしたら、その横にまた卵液を流して、芯の下にも入る様に軽く芯を持ち上げてフライパンを傾ける。

 卵が固まって来たら、芯の方から巻いていって、さっきの寄せた位置まで戻す。

 それを卵液が無くなるまで繰り返せば……。


「……完 成」


 形は歪になったが、厚みは十分ある。

 まぁこの世界では卵焼きは知られないみたいだし、形はどうでもいいか。


「おお! なんかたまごのぼうができたよ!」


「確かに、目玉焼きとは全然違うっス」


 俺は卵焼きをまな板の上に乗せ、包丁で一口サイズに切り分けた。


「味見 する。2人も 食べる?」


「いいの!? たべるたべる!」


「ウチも貰うっス」


 特に歪な部分の端を切り分け、ミュラとコヨミがそれぞれつまんで口へと入れた。

 そして、俺も同様に口へと入れた。


 ……うん、卵と砂糖の甘さがしっかり出ていて、おいしい。

 この味も懐かしいな。


「もぐもぐ……んっ! あまい! けど、おかしとまたちがう!」


「……本当っスね。これはこれで美味しいっス」


 2人の反応もいい感じ。

 よし、それじゃあ次はしょっぱい方を作るか。


 フライパンを洗い、もう一度かまどの上に乗せた。

 卵を2個割り入れ、昨日作っておいたあごだしを小さじ1、塩を小さじ4分の3を入れてかき混ぜた。


 そして、先ほどと同じ様にして巻いて行けば……。


「……しょっぱい 完成」


「ゴブ~......もちろん、それも……?」


 ミュラのあの目、まるで獲物を狙う獣のようだ。


「ああ もちろん」


 卵焼きをまな板の上に乗せ、包丁で切った。

 そして、2人に渡すためにまた端の部分を切り分けた。


 ......うん、卵にだしのうま味と塩気がマッチして、卵本来の甘みがほんのり感じられる。

 甘い方とはまた違う旨さだ。


「もぐもぐ……うわ~……こっちは、かんぜんにおかずみたい~!」


「……そうっスね。ウチはこっちのほうが好みっスよ」


 これでおかずの一品目、卵焼きの完成だ。



「次 唐揚げ」


「まってました! からあげ!」


 言葉を聞くなり、ミュラが飛び上がって喜んだ。


 この前の祭りの時とは違い、昨日の夜から鶏肉を漬け込んである。

 あの時以上に美味しい唐揚げになるだろう。


 深型のフライパンに、揚げる為の油をたっぷり入れ、この前同様に衣に必要な片栗粉と薄力粉を半々で混ぜて、皿の上に広げた。


 粉をまぶし、油に投入する。

 じゅわぁ、と唐揚げの音と匂いが食堂に広がった。


「うわぁ……いいにおい~……すんすん……」


「……ん? おわっ!」


 ふっと横を見ると、匂いに釣られたミュラの顔がフライパンの近くにあった。


「ちょっ! ミュラちゃん!!」


 コヨミが慌ててミュラを引き戻す。


「危ないっスよ!」


「――はっ! ミュラはいったい……」


「油が跳ねて、顔にかかったらどうするっスか!? まったくもう!」


「ごっ、ごめんなさい……」


 コヨミに怒られ、シュンとするミュラ。

 今の、無意識で近づいてしまったのか。

 これは今後気を付けていかないといけないな……。


 そう思いつつおかずの二品目、唐揚げの完成。



「次 ミニハンバーグ 焼く」


 すでに成形しておいたものをフライパンへ並べた。

 こちらも、肉の焼けるいい匂いが食堂に広がっていく。


「ふわ~……いいにおい~」


 ミュラが匂いに釣られて歩き出した。

 ……おいおい、さっき怒られたばかりなのに、もう忘れたのか。


「――うぐっ!?」


 コヨミがミュラの襟を掴んだ。


「駄目っスよ?」


「けほっけほっ! も、もうちかづかないってば!」


 いや、さっき明らかに近づいてきそうだったよな。


『はあ……まったく……よっと』


 俺はミニハンバーグをひっくり返し、もう片面を焼いた。

 しっかり焼き目がついたら、ミニハンバーグを皿に並べてケチャップをつければ……。


 おかずの三品目、ミニハンバーグの完成。



「次 たこさん ウインナー」


「ねえ~……それのどこがたこさんなの?」


 ミュラはまだこの姿に納得いっていないらしい。

 まぁ、驚くのはここからだ。

 俺は熱湯で消毒した針をウインナーの真ん中あたりに2ヵ所小さな穴をあけ、そこに黒ゴマを押し込んだ。

 そして、ウインナーをフライパンに入れて炒め始めた。

 すると切れ目が開き、タコの足が出て来た。


「おおおおおっ! たこさんだあああああ! ちゃんとめもあるよ!」


 たこさんウインナーのちょっとしたテク。

 この黒ゴマがタコの目になって、よりウインナーがタコっぽく見えるわけだ。


「すごいっス! 本物のタコみたいっス!」


「うんうん! ここまでたこになるなんてすご~い!」


 2人はここ一番の反応をするな。

 確かに、タコっぽくしたけど所詮はウインナー。

 そこまで本物って言うのは、おかし……あっ、そうだった。

 この世界のタコって……タコさんウインナーのような形をしていたんだった。

 つまり、2人からしたら本物そっくりに作った事になる。

 それは驚くわ。


「ゴブって、ほんとうにすごいね!」


「本当っスよ!」


「え? あ、そ、そう……かな……ははは……」


 俺は複雑な気持ちになりつつ、ウインナーを焼き上げた。


 これでおかずの四品目、たこさんウインナーの完成だ。



 お弁当のおかずはこれですべて完成。

 残すは……。


「さあ 一番 メイン 作るぞ!」


「「お~!」」


 このお弁当の1番のメイン……おにぎりだ。

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