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ゴブめし!~ゴブリン料理の隠し味は異世界転生者~  作者: コル
第7章 3人のピクニック
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第52話

 空がまだ薄暗い早朝。

 ニワトリも俺も夢の中にいた。


「ゴブ~! おき~~~~~~~~てっ!」


『――ぐふっ!?』


 元気なミュラの声と共に、俺の腹部に強烈な衝撃が走った。

 俺は布団から顔を出してみると、いつもの様にミュラが馬乗りになるような姿勢で乗っかっていた。


「おはよおおおお! ゴブ!」


 俺の顔を見て、ニコリとミュラが笑った。

 前言撤回、いつも通りじゃない。

 いつもよりテンションが高く、目がリンリンと輝かせている。


「…………ああ おはよう」


 今日が楽しみ過ぎて、早く目を覚ましたんだな、これは。


「コヨミおねぇちゃん! ゴブおきたよ!」


「そ……そう……スか……」


 ミュラの元気な声に、コヨミの寝ぼけ声が返って来た。

 扉の方を見ると、細目で今にも寝てしまいそうなコヨミの姿があった。


「……ミュラちゃん……起こす時、優しくしてほしいっス……ウチ、死んじゃうっスよ……」


 そう言いつつ、お腹を擦っていた。

 あれは俺と同じ起こされ方をされたようだ。


「コヨミさん……おはよう……」


「おはよう……っス……ふああ~」


 コヨミが欠伸をする。


「はやく、おべんとうつくろうよ!」


 ミュラが俺の体をユサユサと揺らす。

 こんな朝早くから揺らすのはやめてほしい。


「うう わかった……起きる 起きる から、揺らすな」


 俺はミュラを退かせ、起き上がる。


「さきいってるよ~!」


 そう言うと、ミュラは元気よく部屋から出て階段をおりて行った。


「まったく……」


 目を擦りつつ、コヨミの傍へと歩いて行く。


「……いつも、こんな衝撃を食らってたっスね……」


「……ああ……」


「「ふああ……」」


 俺とコヨミは大きな欠伸をしつつ、階段を降りた。




 朝の支度を軽く済ませ、俺達はさっそく弁当作りに入った。


「まず 米炊き からだ」


「了解っス」


 コヨミは昨日と同じように米の実を手に取り、ぱかっと割る。

 そして、俺達は中から種を取り出し鍋へと入れた。


「米炊き 時間 かかる。その間 色々 準備 する」


 俺は鍋をかまどに乗せ、火をつけた。


「わかった!」


「どんどん作って行かないと、時間が足りないっスからね」


「そうだ。じゃあ、次 ジャガイモ 煮る」


 ジャガイモの皮を剥き、カットして鍋に入れる。

 こうすると若干水っぽくなって、ポテトサラダのような潰して使う料理にはあまり向かない。

 けど、今は時間短縮が重要だ。

 こうすれば5~6分ほどで柔らかくなる。


 鍋にジャガイモがかぶる程度の水と塩をひとつまみを入れて、中火にかける。


「コヨミさん、ジャガイモ 見てて もらっていい? 沸騰 したら 弱火に してほしい」


「まかせてっス」


 これでジャガイモは良し。

 次だ次。


「次、そぼろ 作る」


「「そぼろ?」」


 ミュラとコヨミが首を傾げた。


「おにぎり 中 入れる 具だ」


「おおっ! どんなのだろ~どんなのだろう~」


 ミュラは目を輝かせ、俺の手元を見つめた。


 おにぎりの具材その1は、塩そぼろだ。

 本来なら醤油で味付けをするところだが、無い為に塩そぼろにする事にした。


 フライパンに豚ひき肉を300g、おろししょうがを大さじ1、酒を大さじ2、砂糖をひとつまみ。

 そして、塩を小さじ半分入れ、菜箸もどきの棒4本を使って混ぜながら肉をほぐす。

 全体が馴染んだらフライパンを強火で熱して、菜箸もどきの棒4本を使ってひき肉を混ぜながら炒めていく。

 水分がなくなって、肉がポロポロになれば完成だ。


「米 炊けたら これと 混ぜる」


 そぼろを皿の上に広げ、次の作業へと……。


「じゅるり……」


 ……入ろうとしたら、ミュラはそぼろを見て涎を垂らしていた。


「……おいしそう……たべていい?」


 うん、そう言うと思った。


「……少し ならな。全部 駄目 だぞ」


「わかってるよ!」


 ミュラはそぼろをちょこっと掴み、口に入れた。


「もぐもぐ……おいしい! このままおかずでもたべられるよ!」


 まぁ出来なくはないが、そぼろはやはり他の食材と一緒に炒める方がおいしいと思うな。

 けど、それを言うとそれたべたいとか言いかねんし、ここはミュラの言葉に頷いておこう。


「そう だな。次、ミニ ハンバーグ 作る」


「ハンバーグ! ミュラにまかせて!」


 ミュラが自分で胸を叩く。

 無論、そこは元々ミュラに任せるつもりだ。

 ハンバーグ作りは適任だからな。


 ささっと、ノルンのときと同じように食材を混ぜてタネを作った。


「さっ ミュラ。よろしく」


「うん! まかせて!」


 ミュラに器を手渡すと、一生懸命にタネをこね始める。


「よいしょっ、よいしょっ!」


「出来 たら、この位 サイズ まとめる」


 俺は両手の親指と人差し指を合わせて丸を作った。


「随分と小さいっスね」


「ミニ だからな 大きいと 弁当 入らない。ただ 焼くの 後。今 形だけ 作る」


「りょ~かい」


 ミュラが肉を丸めている間に次の作業だ。


「次 ウインナー」


「えっ!? たこさん!?」


 ウインナーの言葉に、ミュラが手を止めて反応する。


「手 止め ない」


「む~! いじわる!」


 ミュラが頬を膨らませて口を尖らせた。

 俺は無視して、ウインナーをまな板の上に揃えた。

 そして包丁を手に取り、ウインナーの3分の2くらいの位置に包丁の刃先をあてた。

 そこから縦半分に切り込みを入れ、1回転させ同じように切り込みを入れる。

 これで4本足のたこ完成。


『これで終わってもいいが……どうせなら、8本足にしたいよな』


 8本足にするには、足のつけ根の内側からそれぞれ縦2本に切り分ければいい。

 そうなると8本の足になるわけだ。


「えっ、それがたこさん!? ぜんぜんみえないじゃん!」


 ミュラが驚いた様な声をあげた。

 また手が止まっているよ。


「完成 まだ。手 止めない」

 

「や、やってるもん!」


 そう言いつつ、ミュラは慌ててハンバーグを丸めて成形し始める。


「そろそろ、ジャガイモが柔らかくなって来たっスよ」


「おっと。じゃあ 湯を捨てて ジャガイモ 器に 入れて」


「了解っス」


 コヨミは言う通り、湯を捨ててジャガイモを器へと入れる。


「よし、潰す」


「まかせっス」


 ジャガイモを潰してから、皿に広げて粗熱を取る。


『ふぅ……ん?』


 気づけば辺りはすっかり明るくなり、もう朝になっていた。

 作業をしていると時間が立つのが早いな。

 けど、下準備はあらかた終わった。

 残すはメイン達の調理だ。


 俺は大きく息を吸い、気合を入れ直した。

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