第一話:異世界への誘い
ご高覧いただきまして誠にありがとうございます。
こちらの小説は12章構成を考えており、一週間に1章終わるペースで投稿をしようと思っております。
大体、日水金ぐらいのペースで投稿を行い1章終わる感じペース配分です。
「……どこだここは?」
こんにちは、小野寺 悠太です。
目を覚ますとそこはなーんにもないまっ白い空間でした。
最後の記憶は何かとてつもなく激しい痛みに襲われて…ダメだ思い出せない。
「ようこそ、死んだ後の世界へ。小野寺 悠太さん……っぷ、あなたは残念ながら死んでしまいました……っぷぷ」
声のした方へ向くとそこには美しい女性が微笑んで?立っていた。
どうやら俺は激しい痛みのあと死んだらしい。というかこいつ笑ってないか?
とてつもなく殴りたい気持ちに襲われるがここは慎重に言葉を選んで…。
「そうですか……俺は死んだのですね…ところであなたは?」
「私は地球の死者の魂を管理している管理者です。生きとし生けるもの、死んでしまった魂はここに集まりそして次の生を受けるのです。」
これはあれだな。今巷で大流行の異世界転生というやつだな!どうやら俺にも勇者として転生し可愛い女の子にチヤホヤされる時代がやってきたというわけだ。
「なるほど…ところで管理者様、俺はどうして死んでしまったのですか?」
「小野寺 悠太さん、あなたは……た…」
「た?」
「タンスの角に小指をぶつけてあまりの痛みに失神し。そしてうつ伏せに倒れてあなたの大好きな抱き枕のせいで呼吸がうまくできずそのまま……」
「うあああああああああああ!!もうわかったやめてくれ恥ずかしすぎるうううううう!!!」
「長年管理者として働いてたけどアンタみたいなダサい死に方をしたのは初めてよあーお腹痛い」
こ、こいつ…!
人が死んだってのに爆笑しやがって、悪魔かこいつは。
「わ、分かった!俺の死に方についてはよくわかったから異世界転生の話をしようぜ?」
「…え?あなた何言ってるの?そんなの無いわよ。っぷぷ」
ん?こいつ今何て言った?異世界転生はない…?というか笑いすぎだろこいつぶん殴ってやろうか。
「ほ、ほらあれだろ?異世界に勇者として転生して魔王を倒すために冒険者になってみんなからチヤホヤされる…あっ、あれか!最強の魔法使いのパターンとか、貴族の息子とかのパターンだよな……?」
「はあ?あんた一人で何わけわかんない事言ってんの?確かにそういうのはあるけど、地球で生まれた魂は基本、地球でしか転生できるわけないじゃない頭おかしいじゃないの。」
俺の異世界ハーレム人生が……
よし、そうしたら次の人生も自宅だけは守り抜こう!うん。
「はあー、そうですか。ならなんで俺はここに呼ばれたわけ?異世界転生がないならもう何でもいいよ早く済ませてくれ。」
「急に適当になったわねあんた、まぁいいわ。ここには死んだ人は全員よばれるのよ。そこで転生してもいい魂なのかどうかを判別するためよ」
なんでわざわざここに呼ばれてまで…と思ったがすぐに理由が分かった。
「えー、あなたの転生先リストは……ミジンコね。それが嫌なら新しい魂として1からやり直しね」
「おい、新しい魂ってのがあるじゃないか、そっちではダメなのか?」
「新しい魂ってのは本当に新しい魂としてからのスタートよ。だから魂として成熟して初めて植物や動物へ魂を宿すのよ。
しかも、人間として魂を宿すには相当な年月がかかるわ。ま、犯罪者とかは結構こっちの道を選ぶわね」
「って事は俺はどうあがいても次の人生ではどうあがいても人間になれないって事か?」
「ま、簡単に言うとそういう事になるわね」
おいおい、なんだよそのふざけた転生先リストは。しかもそれを選択させるためにここに呼ばれたのかよ。
異世界のスライムで最強というのはよく聞くが、現世のミジンコで最強!というのはさすがの俺でも聞いたことないぞ。というかすぐ死ぬなこれ。
「いやその…ミジンコってなんですか?普通に人間に転生とか無理なんですか?」
「はぁー、家に引きこもってるこどおじニートに普通の人間に転生とか無理決まってんでしょあんたバカでしょ」
うぅ、酷い!そんな言わなくてもいいじゃない。スンスン
どうやら、今までの人生によって転生先が変わるらしい。にしてもミジンコって…
「わ、分かった。さすがにすぐ死にたくないから新しい魂コースで頼む」
「あ、そう。じゃあ今の魂を分解してあたr……あ、ちょっと待っててね」
どこからか、着信音が鳴ったと思ったら管理者が空間からスマホのようなものを取り出して話始めてしまった。
うーん……この待ってる間の空気感とかすっげー嫌なんだよなぁ……
あと、共通の友達に呼ばれてそいつがまだ来ていない時とか、すっごい気まずい。
あ、俺友達いなかったわガハハ!
そんな一人でしょうもない事で時間を潰していた時、
「はあ?急にそんなこと言われても無理なんですけど!というか今何時だと思ってんのよ?もう定時前よ定時前!労基に……」
どうやら、この管理者の上司からの連絡らしい。
なるほど、あれが所謂定時前に仕事を振ってくる漢字の上司なのだろうか?俺、改めて引きこもりでよかった。
「そこをなんとかって言われてもね……え?ボーナスの評価を…えぇ!はい!分かりました!私にお任せください!はい、はい!それでは失礼します」
……これが社会か。というかこいつちょろ過ぎないか?
「…ふう、ところで悠太さん~あなt」
「だが断る」
「なんでよ!私まだ何も言ってないじゃない!」
っふ、俺はNoといえる日本人なのだ。
だてに親の説得をすべて振り切って引きこもり生活を満喫していないのだよ
「ねぇ、お願いよ!もうすぐボーナス支給日なの!!あたしのボーナスの評価に関わってくるの!!!あなたの大好きな異世界転生の事だから真面目に話を聞いてよ!!」
「はいはい、異世界転生ね異世界転生…ん?おい待て異世界転生といったな詳しく聞こうか」
「ふ、ふん分かればいいのよ分かれば、最初からそうしてなさいよ」
こ、こいつ……!いや、よそう。まず話を聞いてからだ。
「パンパカパーン!おめでとうございます!小野寺 悠太さん。あなたはたった今、補充ようい……厳正に抽選された結果、異世界転生へのチケットを手に入れました。」
「いや、ちょっと待て、今補充要員って言いかけてただろうが!あと何が厳正に抽選された結果だよ!適当すぎるだろうが!」
「うるさいわね、細かいこと気にしてたら禿げるわよ」
余計なお世話だよ全く。いつか絶対引っ叩いてやる
しかし、なんだろうな凄い胡散臭い
「あなたにピッタリのところなの!少し手続きがめんどくさいけど寛容で優しい私はそれぐらい問題ないわ!」
うん、嘘だな。こいつの目には金の事しか見えてない。
「っで、俺にピッタリってのはどういうことなんだ?」
「それはね!あなたが本当にどうしようもないぐらいクズで引きこもりでオタクで子供部屋おじさんのヒキニートって事ですごくぴったりのところなのよ!」
っふ…どうやら世間がようやく俺の事を理解し始めたようだな。というかヒキニート言うな。
「ずばり、ダンジョンマスターよ!」
「だ、ダンジョンマスター…!」
き、きたああああああああああああ!!!
ダンジョン系も異世界転生ものでは王道のジャンルの一つ!
これだよこれ、俺が待っていたのはこういう展開なんだよ。
「さすが管理者様!俺、信じてましたよ!!もう靴でもなんでも舐めます!」
「ようやくあんたも分かってきたようね!悪くないわ!平伏しなさい!!」
「ハハッー!……ところで管理者様、補充要員というのは?」
「あ、それはねー、どっかの魔族のダンジョンマスターが死んだからその変わりって事よ!」
ん?魔族?
まぁダンジョンマスターってわけだからそりゃ人間側サイドではないか。
そしてこの管理者、おだてれば何でもペラペラしゃべるんだな
「さすが管理者様!ところで魔族というのがいるのですね。ちなみに魔族に見つかった場合は…」
「確実に殺されるわね!」
「ハハハ……って、あほかー!誰がそんな難易度高そうな所に行くか!もう少し難易度イージーのとこにするかチートスキルをくれよ!」
…こいつマジでヤバい。金の為なら犠牲を問わないタイプのやつだ。
もう痛いのは嫌だ!
「ったくうるさいわね、チートスキルは無理だけど、特別に人間はスキル3つが限界だけど、4つに増やしてあげるわ!あと、本来はランダムでスキルは振られるけど転生後あんたが自由に選んでいいわこれで文句ないでしょ!」
おやおや?
これは人間としてはかなりチートなのではないか?
だが、もう一声だ…!
「あのぉ~管理者様~、わたくし引きこもりのヒキニートなんでとっても弱いんですぅ。だからぁもう一声欲しいといいますかぁ~チラッチラッ」
「うえ、気色わる……っておいやめろ!私の足にしがみつくな!そんなキラキラした目で私を見るな!!」
どうだ!これが俺の必殺技”おねだり”である。
これで数多の奇異な視線で見られながらも今まで生きてきた俺の最終奥義である。
想像してほしい、成人しているヒキニートが足に絡みついてる様子を。
つまりそう、相手は死ぬという事だ。
「わ、分かった!分かったから早く私から離れろ!…ったく、アンタ本当にどうしようもない奴ね」
「いやぁ~それほどでもありますかね?へへっ」
「褒めてないわよ!!はぁ……ほら、じゃあこの剣を持っていきなさい」
そういってどこからともなく空間から剣が姿を現した。
「この剣は伝説級の剣で聖霊剣 (せいれいけん)って言われるものよ。こんだけあればいかに貧弱なアンタでも生き残れるでしょ」
「おぉ!名前を聞いただけでも分かる。その剣、絶対強いやつだよな!いや~さすが管理者様!話がわっかる~」
「ま、まぁね……そ、それよりも、これで異世界転生する気になったわよ?そろそろ時間も残り少ないしちゃちゃっと転生させるわよ!」
この管理者何を焦っているのだろうか…
さっき定時前とか言ってたし、見たいアニメでもあるのだろうか?
ま、チートを手に入れた俺には関係ない話だな!!ガハハ!!
俺が勝ち組だと勝利を確信し内心大笑いしていると、管理者が近づいてきて悠太に一つの鍵を渡してきた。
「はい、これがあんたのダンジョンのマスターの証よ。これがないとダンジョン内の操作ができないからね」
そういって受け取った淡い光のようなものを受け取ると消えてしまい、俺の左手の甲になんだかよく分からない紋章が刻まれた。
てか、これ痛くもかゆくもなかったんだけどどういう原理なんだ?
さすがに擦っても消えないか。
「ん~なんだかよくわからんけどありがとうな!よぉーし!じゃあ異世界へよろしく頼むよ管理者さんよ」
「はいはい、分かったわよホント現金なやつねあんた…それじゃ」
そういうと、俺を中心として神々しく光る魔法陣が形成されていく。
おぉ!これが異世界召喚の魔法か!うむ悪くない、悪くないぞぉ!
そんなことで一人テンションが上がり騒いでいるとだんだんと光が強くなってきた。
あまりのまぶしさに目を細め手を当ててるとふと、声が入ってきた。
「あ、そうそう。せめてもの慈悲として……あんた、スキルで”鑑定眼”だけは取得しときなさい。多分すぐ死ぬと思うから」
は?
あいつ今何て言った?
すぐ死ぬっていったか?
「は、はあ?、おい、ちょっと待て!それってどう……」
全てを言うまえに俺は白い光に包まれ意識を失った。