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Chapter.1ー A 入学式の日

・入学式の日 C1-A 


 桜吹雪が私たちを包む。新入生を迎えるように。桜色の空は青い空よりも遠く感じた。ここからの三年間。私はこの場所で過ごすのだ。あの憧れの先輩と同じ学校で。心の中でそう心に決め門をくぐる。新たな一年の始まりだ。


 入学式は新入生だけが参加し、呼名が行われた。

九重ここのえ れい!」

「はい!!」

誰よりも元気よく、呼名に応答する。周囲の視線が私に集中する。悪目立ちしちゃったかな、、、?顔を赤らめて着席する姿はうさぎのようだったと後に言われた。


 式が終わり、体育館へ急ぐ。

…悠先輩!!

心の中で叫ぶ。今日はバレー部の練習がある。一年間猛勉強してこの学校に入学した。中学の時、先輩は常に私のそばにいてくれた。相談を聞いてくれた。勉強も、バレーも教えてくれた。休日に二人で出かけたこともあった。でも、とことんバカだった私がこの学校に合格することは、雨の中で流れ星を見るようなものだった。でも、私はここにいる。また先輩と一緒に居ることができる。その一心で足を動かす。前へ前へと。体育館の扉は開放されていて中の練習がよく見えた。心を躍らせて中をのぞいた。

・・・。

しかし、そこに悠の姿は無い。

中学の頃は必ず一番に体育館へ来ていた。

高校でも同じだと信じていた。

私に気が付いたバレー部員から不審者を見る目で見られている気がした。

実際はそんなことないだろうに。

「ま、また明日来ればいいよね…!」

自分に言い聞かせ、体育館を後にする。

心には厚い雲がかかっていた。

ただ、体育館へとつながる渡り廊下を歩いていた時。突然太陽が顔を見せた。

「…先輩?」

そこには間違いなく悠の姿があった。しかし、怜の知る悠とはまるっきし違っていた。

ジャージではなく制服を着ている。体育館からではなく図書館から出てきた。バレーシューズではなく数冊の本を片手に持っている。

「せn…!」

声をかけようとしたが、動揺していた時間もあってか間に合わなかった。

私は先輩の後を付けた。

悠は四階まで階段を登り、社会科教室と書かれた札の奥にある部屋へと入っていった。

私はその部屋の前まできてそっと耳を澄ます。

楽しそうな会話が聞こえる。

私も中に引き込まれそうなほど。

受験期に一切友達と会話していなかった私にとっては、懐かしく、心がほどけていくのを感じた。

部屋から意識をそらすと私のすぐ横で大きな足音が聞こえているのにやっと気が付いた。

「なぁにしてんの~?」

急に後ろから声をかけられた。制服でもジャージでもない。先生か?

「うぎゃあ!!!!!」

「いやぁ…そんなに驚かなくても…」

「ごっごっごめんなさい!」

驚きの自分が何を言っているのかわからなくなった。

「ベ、べつに怪しいものでは!!!!」

「いや、それくらいわかるよぉ…」

先生の突っ込みに私が言葉を返そうとすると部屋の扉が開いた。

「なんか大声聞こえたけど、どしたしー?」

「んんんんんんんん!?!?」

怜は声にもならない悲鳴を上げ、硬直した。

「へっ!?」

それに驚いた楓も綺麗に固まった。

「とりあえず中入る~?」

見かねた先生がそう促す。

「はい、、、」

そう言って私は扉をくぐった。

そこは太陽が煌々と照り付けていて、私にとっての楽園だった。

「怜…?!」

椅子に座っていた悠はがばっと立ち上がり、椅子を倒したのも気づかなかったようにこちらを見つめている。

私は先輩に駆け寄る。

「先輩がこの高校に入学したのを知っていたのでついてきました!」

動揺を隠せない悠

「え、、、本当に、怜?」

「はいいい!」

今日一番の笑顔は満月のように明るかった。


お読みいただきありがとうございました。


まだまだ素人なので色々とご指摘いただければ嬉しいです。


これからもよろしくお願いいたします!

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