表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/294

冒険者一行は見た

冒険者グループから見たお話です

俺たちはこの領内では有名な冒険者グループ「レッドゾーン」だ。

今日は魔獣型モンスターの討伐依頼を受けている。

 このあたりのモンスターは通常レベル20前後であり、今日の魔獣は討伐レベル25と高めのユニークモンスターという事を冒険者組合から報告を受けている。

俺たちは早速、奴隷組合からおとり用奴隷を数人受け取る。


汚いガリガリの女とガキと変な野郎が混ざっているな・・・


男は犯罪者として奴隷になった奴で、女の方は病気やらガキやらで使い物にならねぇ奴隷だな。

戦闘時に不意打ちの成功率が低い場合、こいつらを囮として攻撃させ、魔獣の注意がおとりに行っている時に、俺たちが攻撃をするという昔ながらの良く使う攻撃方法だ。

おとり奴隷だから、栄養状態も悪くすぐに死にそうな奴らなのだが、一人だけ元気そうな野郎が居た。

まぁ、でも見るからに育ちの良さそうな坊ちゃんと言った感じで、どうせどこかの金持ちの息子か何かが盗賊に拉致されて捨てられたんじゃねぇの?みたいななのが混ざっている。

 普通なら野郎は労働奴隷として使われ、労働力にならないガキや女・怪我人病人がモンスターのおとりか餌役と行った最終処分扱いの奴隷だな。


まぁ活きが良ければそれだけ逃げ回れるから、時間稼ぎが出来る奴がいると俺達はラッキーだ


俺たちレッドゾーンはこの辺では一応上位に当たる冒険者グループで名が通っているので一応おとり奴隷も消耗させずに温存させている。

俺たちが死なない為の生贄として最後は切り捨てる予定だ。


時々戦闘もあったが、特に高レベルの魔獣に遭遇せず、組合から報告の受けたポイントへと近づいてきた。

俺たちは明かりを消し、気配を消す。斥候の仲間が状況を確認。俺たちのパーティは完璧だ。

冒険者組合の報告どおり魔獣が3体と不幸にも犠牲になった冒険者達の遺体等が散乱している状態で、魔獣自体は俺たちに気が付いていない。冒険者達の遺体を引きずり餌場に集めているようだ。


鑑定魔法で魔獣レベルを確認すると、レベル25と鑑定される。

レベル25が3体かレッドゾーンメンバーレベルは20~25パーティグループレベルでは魔獣よりレベルが低いがこちらにはスキル持ちもいるので十分対処できるレベルだ。


しかし見た感じ魔獣達の警戒度は高く不意打ちは難しいと判断し、仲間と襲撃方法を相談する。

「ファースト(不意打ち)アタックは無理だろう」

「遠距離攻撃や魔法による攻撃ではダメージが入らなそうなレベルの魔獣だぞ」

「おとり作戦か?」

「おとり作戦だな。奴隷には悪いが討伐優先と俺たちの安全が優先だ」

俺たちはおとり奴隷を放ち、そいつらに意識が集中している所で後方から不意打ちを食らわす作戦を取ることにしたのだ。


女とガキと坊ちゃん男に木剣を持たせ、魔獣に立ち向かうように指示する。もちろん逃げ出せば殺す、お前たちが生き残るのは魔獣に向かい、俺たちが魔獣を倒せば生き残れると説明した。

坊ちゃん男は木剣を軽く振り、何事も無い感じで魔獣の方向に歩いて行く。

女とガキは怯えてほとんど動かないので、盗賊のスキルを持つ仲間が、透明化のスキルで気配と姿を消しガキと女を蹴り飛ばす。

坊ちゃん男と女とガキに魔獣の意識が向く事を確認。

女とガキは悲鳴を上げ都合良く注意がそちらに向く。魔獣たちは良い餌が来たと思っている事だろう。


しかし坊ちゃん男の様子がおかしい。なにも気にせずに魔獣に向かっていく。普通なら逃げるだろう。女とガキの反応が普通であり、坊ちゃん男の反応は変だった。

まぁ、死ぬこと前提だから諦めたのだろう。


次の瞬間、魔獣の頭があり得ない形で変形する。魔獣の頭に木剣が刺さっていたのだ。

本来、木剣は訓練用の怪我をさせない為の剣であり、殺傷能力はほとんどゼロである。一応素手で魔獣に立ち向かう事は奴隷と言えど全く動かないので一応武器みたいな物を持たせているだけなのである。

所詮あいつらはおとり役の時間稼ぎなのだから。


木剣は1体の魔獣を絶命させた後に根本がへし折れていた

レベル25の魔獣を木剣で倒せる訳が無いと俺は混乱している

坊ちゃん男はその後魔獣の顎をを引き裂き、最後の魔獣の頭を蹴り飛ばす。

ある種族に”バーサーカー”と呼ばれる脳筋種族が生身の体で肉を引き裂く強靭な種族が居ると聞いた事があるが、あいつはその種族なのか?と俺は考える。

結局、奴隷が魔獣を討伐してしまったので俺はねぎらいの言葉を言う


「よくやったな奴隷2048号、良い働きだった」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ