猫と私。
日曜日 灰崎宅
昨日Twetterにあげた、ドロシー様をモデルにした絵のコメントやいいね数を見て、私は満足した。次は何を描こうかな…と想像しながら私はビタミンCジュースのストローに口を加えた。美味しい。
ドロシー様は本当に美人。めあるも。凄く可愛い。私もあの二人みたくなりたかった。どうして神様は美人とブスの差を生み出したんだといつも思う。
一抹の悲哀が私の心に広がっているのを察してくれたかのように、愛猫のマロンがこれまた珍しく、擦り寄ってくれた。気まぐれなだけだろうけども。にゃあ…と鳴いた。
…猫は良いなぁ。可愛くない猫なんていないし、年をとっても可愛くて。飼い猫も、野良猫も、みんな人間に可愛い、可愛いって言ってもらえる。私だって言われてみたい。そりゃあ、猫にだって大変なことも沢山あるだろうけど。
でも“私”よりずっと良いじゃないか。私だって、誰かを羨ましがるのは本当に飽き飽きなのに。私は来世、猫になりたい。
私は気晴らしにまた絵を描くことにした。愛用のタブレットと絵を描く用のタッチペンを机の上に用意して、アプリを開いた。真っ白の画面にざっくりとどんな構図にするかを考える。
構図を考えるのは、最初は面倒くさいと思っていたけれど最近は意外と楽しい。どんなに綺麗なイラストが描けても、構図が良くないと勿体無いので、これも、結構大切な作業。どんな風にしたらフォロワーさんの心を射止められるか想像するのかあれこれ考えるのが私は好きだ。
ビタミンCジュースを飲み終えて冷蔵庫に取りに行こうとすると、リビングに乱雑に置かれたクリスマスケーキの、明るくて派手なチラシが目に入った。ショートケーキや、チョコレートケーキに、Merry Xmasとデコレーションで描かれている。飯テロすぎる。
あぁ、そうか。もうすぐクリスマスかぁ。
クリスマスに因んだイラストにしようかな。うーん、無難にサンタコスした女の子とか? よくある発想だよなぁ……。どうしようかなぁ…。
…クリスマス、か。私には良い思い出がそんなに無いなぁ。…毎年クリぼっちだし。太りそうだからケーキもあまり食べないし。プレゼントだって、当然もう届かない。
マロンが何処かに行ってしまったのを遠目で眺めながら私はタッチペンを動かすのだった。




