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土曜日なのですが!?

 次の日

 …あーーー暇だなぁぁ。霧雨に近い私雨が降り注いでいた。今日は土曜日。学校がないので俺は1時まで寝て、ポテチを昼ご飯に食べて、スマホ見ながらごろごろしていた。twetterを見ると、「グリス」がドロシーに似ている女の子のイラストを11時間前に投稿していた。絵真のアカウントだ。(前にフォロワー稼ぎ!と言われて無理やりフォローさせられた。)

 あー、ほんとあいつ、ドロシーのこと好きだよなぁ。前に「神々しいっ…無理っ…!」って10m位離れたところで言ってたくらいだもんな。最近になってようやく普通の距離に慣れてきた位だ。

 ドロシー(をモデルにしているであろう)イラストは窓から朝焼けが射し込んだ、現実とは比べ物にならない綺麗な天候だった。優しく、にこりと微笑んでいる。

 「綺麗」「グリスさんどんどん絵が上手くなってる!」「グリスさんの絵ほんと好き」といったコメントが付けられていた。…確かに上手だ。グッズ販売もしているほどグリスの絵は人気だった。

 twitterをだらだらと見たあと、YouTubeを見て、ほんの少しだけ勉強をして、テレビをつけた。

 テレビをつけるとたまたま「MERRYメリー HAPPYハッピー」通称メリハピというアイドルグループが今どんどん注目を浴びていると有名なタレントが言っていた。メリハピ、そうめあるが所属しているアイドルグループだ。画面の中のめあるは可愛いうさ耳付き帽子を被って明るく踊っていた。だが、めあるの歌唱パートは殆どなかった。メリハピはかなり大人数なグループで、まだめあるは後ろの方のメンバーだった。

 雨はまだ止む様子なく景色を朦朧とさせていた。めあるもグリスも、ありきたりなことを言うのであれば、俺とは別世界の人間の様な気がしてならなかった。

「悠斗、そろそろご飯にするわよ〜。」

 母の声を聞いて俺は部屋から出た。部屋からリビングの間にある母の作業部屋から油の匂いがした。

「また油絵描いてたの?お母さん。」

「見る?」

 疑問形なのに、既にお母さんは俺に絵を見せていた。俺には名前はわからない管楽器を描いていた。俺の母は実は副業画家だ。

「…どう?」

「うーん、悪くはないけど、水彩の方がやっぱり良いんじゃない?」

「えー…」

 俺の母は水彩画で脚光を浴びた画家だが、本人は油絵でも大成したいと気を張っている。だが、母は油絵はやったことがないので初心者なのだ。

 油絵は水彩画とは全く違う。油絵の具はその名の通り、油に溶かして使う。ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」のような、世界史の教科書に多く見られるヨーロッパの絵画に多く使われているのは言うまでもない。  

 水彩画などと比べ境界線がぼやっとしていて鮮やかさがない作品になる。そして、乾くのに3日は普通にかかってしまうことが多い。だから重ね塗りしたり塗り直しができるのが魅力だ。

 小学生や中学生の頃、せっかく上手く描けたのに、最後に台無しにしてしまった、とか、こっちの色の方が良かったなぁ、と言うような悔しい思いや後悔をした事はないだろうか? 油絵なら、失敗したら布かなにかがあれば完全に拭き取ることが可能だ。このように、油絵と水彩画は全く違うものなのだ。

「今日のご飯は炒飯だよ。あぁそうそう、大学のパンフレットが届いてたよ。」

 …大学かぁ。俺の学校は割と進学校で、殆どの生徒が大学に行く。俺は何処に行こうか、全く考えていなかった。俺は何となく進路のことを考えるのは嫌いというか、苦手なのだ。

 絵を描くのは好きだけど、ドロシー達美術部の皆と比べれば俺の絵に対する情熱はあまり強くないと思う。今日ずっと暇だったのだから、本当に絵を描くのが好きなら、母や絵真のように、絵を描いていた筈だろう。かと言って絵以外に俺が好きと言えるものが無く、格別この教科が好きと呼べるものも無い。

「後で見とくよ、ありがとう。いただきます。」

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