冬休み明けなのですが!?
冬休みって何でこんなに短いんだぁぁあ!!
冬休みはあっと言う間に過ぎ、もう三学期になってしまった。始業式の校長先生の長広舌をBGMに、俺は冬休みが何故こんなに短いのか、もっと長くしても良いんじゃないか、と真剣に一人脳内会議をしていた。
次に、進路指導部の先生が話を始めた。少しだけ聞いたところ、進路をぜひ考えよう、と主張していた。
✎ 放課後…
俺はまた、あの絵を描こうとしていた。絵真のタブレットを壊してしまった日に……いや、あれは無かったことになっている出来事か。それはともかく、あの日に塗って以来、あまり気が乗らずに進めていなかった絵だ。
一人で、美術室で絵を描いていると、変に時間感覚が狂ってしまう。没頭する時は本当に時はあっという間に過ぎてしまう。
「おー良いじゃん。」
「うわわっ! 朱華先輩いつからいたんですか!?」
「ついさっき来た。」
朱華先輩はそう言ってにっと笑った。
「その一、最近はどう? 大丈夫か?」
「いやあ、全然駄目ですよー。この前も怒らせちゃいまして……。」
朱華先輩もまた、美術部員を怒らせると爆発する、この迷惑なシステムに巻き込まれている一人なのだ。
✎
「えー、美術部顧問の黄蘗です。これから3年間頑張りましょう。……では私からは以上です。」
いや、先生の話短っ……。これは校長も見習ってほしいものだなぁと心のなかで思いつつ、他の新入部員の顔をちらりと見た。同じクラスのツインテールの女子と、同じクラスのハーフのHR委員に、マスクをつけている女子の3人しか俺 以外にいなかった。
「部長の紺野華恋です。困ったことがあれば、いつでも言って下さい。」
「副部長の朱華颯でーす。よろしくお願いしまーす。」
「銀園桜です。よろしくお願いします。」
その後も、何人かの先輩たちが名前を述べた。
「では、新入生も時計回りで名前をお願いします。」
紺野先輩はそう言って俺の目を見た。どこか儚さを感じるような目であった。
「あ、えっと淡藤悠人です。よろしくお願いします。」
「黒瀬 芽愛瑠です!よろしくお願いします!」
「水名・ドロシーです。よろしくお願いします。」「は、灰崎絵真です。よろしくお願いします。」
「では、今日はパレットとかを渡して解散! 明日から頑張ろう! 先生、今日ちょっと早く帰りたいから。」
…凄い私情交じりだなぁ。そう思っていると、耳もとで囁かれた。
「淡藤くん、えっと、みんなが帰った後、少し話したい事があるんだけど、良いかな?」




