種明かしなのですが!?
「まぁ食べてみて♪」
ドロシーがそう言って微笑むので、俺達は言われるがままに椅子に座っていただきます、と言ってケーキを口に運んだ。
「…! 美味しい! けど、ほんの少しだけ違うような…。」
「何だと思う?」
濃厚で凄く美味しいな…という全く答えになってないことを考えていると、めあるが真っ先に手を上げてこう言った。
「はい! まろやかな感じがするので卵が入ってます!」
「いや馬鹿か!? ケーキなら普通卵入ってるだろ! …アレルギーの人用じゃなければ!」
「卵は…そりゃ入ってるけどね。残念! マイナス5点」
「え、これ点数付けられるの?」
絵真が自信なさげにこう言った。
「チーズが何種類か使われているとか……?」
「残念!マイナス5点!」
「いや、めあるの珍回答と同じはちょっとどうなの……。」
「…え、私の回答そんなに珍回答だった?」
「「うん。」」
ドロシーと俺は声を揃えて言った。
「正解は……」
俺まだ答えてないけど。もしかして俺じゃどうせ当てられないと思われてます? まぁ確かに分かんないけどさ。
「チーズ、生クリーム、油全く使わず、無糖のヨーグルトを使って作った、でした〜。 だからすっごくカロリー低いし、健康的だよ!」
「えー! まじで!? チーズ使ってないの? 生クリームも? ていうかヨーグルト!?」
「ヨーグルト感全然しねー!」
「ド、ドロシー様凄い…!」
ドロシーは、完全にドヤ顔であった。
「はっ、もしかして、私のために…?」
「うん、これならめあるもなーんも気にせず食べれるかなって。」
「…!」
めあるは感激してドロシーに抱き着いた。何故か絵真も目をキラキラさせていた。
「ドロシー、ありがとう…! あぁは言ったけど、実は少し気にしてたんだよね〜嬉しい!」
「さ、さぁ食べよっか! ね!」
さっきまでドヤ顔だったのに、少し照れて髪を触るドロシーは何だか、不思議な感じがした。
俺達はケーキを存分に味わった。少し焦げ目のついていて、あのヨーグルトの白など、全く連想させないものであった。俺は、この不思議なケーキと、照れたドロシーという、2つの珍しさを味わうことが出来たのであった。
「「「「ごちそう様でした。」」」」
俺たちはこのケーキの作る過程をドロシーに尋ねたりなど、雑談を交えつつケーキを食べた。
「この後、何する?トランプとか、ジェンガでもする? 勿論負けた人は罰ゲーム付きで。」
ドロシーは小悪魔の様な笑みを浮かべた。
「それも良いけど、私、あのドロシーの本、まだ読みたいな。」
何というか、パーティーで本を読むって風変わりな気がする。しかし。
「正置、俺も他の絵の本読みたい。」
「わ、私も。」
「クリスマスパーティー感ゼロだけど。…でも何だかんだ言ってふとした時に、絵の方向に行ってしまうのが美術部、という感じがするのよね…。」
「分かる。綺麗な景色とかも、普通の人は綺麗だねーってなるだけなのに、美術部に入って絵に夢中になっていくとさ、この景色描きたいなって言う方向に思考がいくとか。」
「日常的にふっと絵の事を考えちゃう。絵は色々なところにあるから。」
「そうそう。」
結局、俺達は話しながら、絵のコツとか、ドロシーの絵のテクニックとかを本から捜索していくクリスマスを過ごしたのだった。本当に、風変わりで…クリスマスという感じはしなかったし、他の人が見たら面白くなさそうかもしれない。けれど学生くらいしか中々出来ない、こういう風な友達との時間が、何だかんだ言って楽しいものなのだと思う。




