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復活

赤い帽子をかぶったゴブリンに遭遇し、命からがら逃げ帰った俺達だったが、その傷は想像以上に深かった。


あの日、ゴ治郎の戻った召喚石の光りは弱く、今にも消えてしまいそうだった。慌てて血を与えたが、なかなか元の輝きは戻らない。


血を与えるのにしても限界があるし、俺の体力の消耗も激しい。無理のない範囲で召喚石を回復させていたら一週間が経っていた。


「ゴ治郎……」


今日こそ復活させる。そう強い意志を持って、安全ピンで指を刺して召喚石に押し付ける。ここのところ、レバーや小松菜等を自分で調理して食べまくっているので貧血は大丈夫な筈。


親指から力が吸い出され、召喚石の輝きが強くなる。よし! これは召喚時の演出だ。


「来い!」


「ギギッ!」


気のせいだろうか? 少し痩せたように見えるゴ治郎が召喚石の横に現れた。その代わり、顔に凄みが増している。敗北を知り、そこから立ち上がろうとする者の顔だ。


「ゴ治郎。あの赤帽子を必ず倒すぞ」


「ギギギッ!」


ゴ治郎の瞳が暗く光った。



#



あの赤帽子に勝利するには足りないものがいくつもある。その一つはゴ治郎の装備だ。今、ゴ治郎の装備は以下のようになっている。


【ゴ治郎の装備一覧】


頭:なし

胴:なし

右手:龍の剣(キーホルダー)

左手:なし

腰:ボロ切れ

脚:なし

足:なし


つまり、ほぼ裸で龍の剣を振り回している状態だ。そりゃ、赤帽子に刺されたら1発で死にかける。


第1階層では無双していたが、このままの状態で第2階層、あの赤帽子に挑むのはあまりに無謀だ。


そこで考えたのが、第1階層の再探索だ。先へ先へと急いだせいで、第1階層には足を踏み入れてないゾーンがたくさんある。もしかしたら宝箱が置かれていたり、武器をドロップする敵がいるかもしれない。なにせダンジョンなのだ。


それに魔石を摂取すればシンプルに強くなる。当面の目標は第1階層でモンスターを倒しながら、武器を探す。これだ。


「ゴ治郎。今日のノルマは魔石100個だ。つまり、100体のモンスターを狩るぞ」


「ギギギッ!」


気合いは充分だな。俺の方もしっかり食料を準備している。コンビニ飯を買い込んだのではない。栄養バランスにまで配慮した食事を作り置きしているのだ。


急に料理をし始めた俺を母親は訝しんだが、元来面倒くさがりや。「まぁ、食事の準備をしなくていいから楽だわー」ときたもんだ。


「よし、行くぞ」


「ギギギッ!」


リベンジに向けた日々が始まった。

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