召喚免許制
"4月1日から施行する"
これは特定外来生物召喚法に関することだ。召喚モンスターについては八乙女さんの予想通り、管轄は各都道府県の公安委員会となった。つまり運転免許と同じような運用ってことだ。
大学の後期テストをなんとか切り抜け──本当に危なかった──春休みは実家のダンジョン運営を手伝い、そして東京に戻って来たと思えば、もう召喚免許試験だ。
俺は試験の開催初日に免許試験場に来ていた。混雑するのは分かっていたが、これはある種の祭り。乗り遅れるわけにはいかない。
召喚試験は筆記と実技があり、それとは別に召喚石の検査もある。家の外でモンスターを召喚したければ、試験に合格し検査をパスした召喚石を使わなければならない。
免許試験場の中は運転免許の列と召喚免許の列でごった返していた。満16歳以上は召喚免許取得可能ということもあって高校生と思われる男女をあちこちで見かける。中にはチラチラとこちらを見ているグループも。
ふふふ。SMCのM氏といえば都内の召喚者の間ではちょっとした有名人なのだ。今も若いカップルがこちらを見て何かを囁き合っている。高校生かな? 女の子はかなり可愛い。
いやー、困ったな。「すいません! 私、水野さんのファンなんです!」なんてことを言われたらどうしよう。握手でもすればいいのかな? そんなことを考えているとカップルの男の方がつかつかと歩いて来た。
「おっさん! 人の彼女をジロジロ見てんじゃねーよ!」
「えっ、おっさんって誰?」
一体、誰のことを言っているのだ?
「アンタしかいないだろ? モブの癖に鼻の下伸ばしやがって!」
お、落ち着け俺。怒りを抑えるんだ! 今日は免許を取る日だ! 喧嘩なんてしてる場合じゃない。
「テツオ、やめなさいよ! M氏に失礼でしょ!」
駆け寄って来た女の子が男を諌める。そうだ! もっと言ってやれ。てか、M氏呼びなのね?
「黙ってろ! このドM野郎、セイコに色目を使いやがって!」
いや、ちょっと見ただけじゃないか! 言い掛かりにも程があるぞ! あと、M氏はそーいう意味じゃないからな?
「こら、何を騒いでいる!」
試験場の職員が騒ぎを聞きつけてやってきた。
「ちっ。セイコ、行くぞ!」
男は女の子の手を手を取り歩き始めた。職員は腕組みをして2人に視線を送っている。
「君、大学生だろ? 高校生と喧嘩なんてみっともないぞ」
「えっ、いや、俺は何も……」
「言い訳もみっともない」
クソおおおおぉぉぉ!!
ねむむむむい





