表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】庭に出来たダンジョンが小さい! ~人間は入れないので召喚モンスター(極小)で攻略します~   作者: フーツラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/121

怒られた

ねむむむ

「水野君。私、怒ってるからね」


八乙女さんは玄関を開けるや否や、そう行ってプリプリとして見せた。いつも黒い服ばかり着てクールに見えるけど、実は感情が豊かだ。特にダンジョンや召喚モンスターが絡むと俺なんかよりも子供っぽい。


「えー、なんの件でしょう?」


「とぼけないで! なんで召喚石をかけた闘いなんてしたの?」


「いやー、成り行きで?」


「鮒田君が煽ったんでしょ? あのオーク野郎ぅぅ」


ちなみに八乙女さんは鮒田のことが嫌いだ。いや、八乙女さんに限らないな。大体の女性は鮒田を苦手にしているな。


SMCでも鮒田に話し掛けるのは同じオークの召喚石を持っている奴等ばかりだ。オークの召喚者はちょっとオークっぽい奴が多いので、鮒田の周りにはそういう集落が出来る。


「今度私が口汚く罵って立ち直れなくしてやるわ」


「いやー、無理だと思いますよ。鮒田は心臓に毛が生えているタイプですからね」


「ぬぬぬぬ……」


「あの、上がっていいですか?」


「……いいわ」


いつの間にか用意されていた俺用のスリッパを履いてお邪魔します。



#



「で、これが酒呑童子の角です」


「3本はえてた内の真ん中の1本……」


「です」


八乙女さんはテーブルの上、小さなジッパー袋に入った角を真剣に見つめている。知らなければただのゴミだが、俺からするとあの強敵の体の一部。凶々しく思える。


「普通のオーガは角2本。酒呑童子は3本。水野君はこの角が進化アイテムじゃないかと考えているのね?」


「はい。なにか確認する方法はないかと……」


「確認したいポイントは2つね。進化アイテムを失ったモンスターは退化するのか? モンスターから奪った進化アイテムは他のモンスターの進化に使えるのか?」


「一つ目についてはダンジョンのモンスターで確認出来ないですかね?」


「どうかしら。ダンジョンのモンスターと召喚モンスターで同じ結果になるとは限らないし。確かめるならやはり召喚モンスターで。例えばハイオークの牙を抜いてみるとか」


そ、それは武蔵のことを言っている!?


「……ハイオークですか」


「ええ。そうよ。召喚者もろとも牙を抜いてやりましょう!」


大分怒ってるなぁ。


「あの酒呑童子がどうなったか分かれば1番早いですけどね」


「もし退化していたとしたら……。水野君、気をつけてね。筋違いとはいえ恨まれているかもよ」


うーん。なくもない。


「2つ目については成長限界まで達しているオーガの持ち主がいれば確認出来るけど、知り合いにはいないわね。水野君、いる?」


「いえ。オーガが召喚されるのは動画でしか見たことないですね」


「とりあえずは保留ね。この件は」


「やはりそうなりますか……」


「ふふふ。そんなガッカリした顔しないのよ。……そうだ、お鍋でも食べに行きましょう。近所にいい店があるの」


「えっ!?」


「祝勝会よ。お姉さんがおごってあげるから」


そう言って八乙女さんは奥に引っ込み、アウターを着て戻ってきた。すっかり冬の装いだ。


「もう夜は寒いから。さ、行きましょう」


半ば強引に引っ張り出されると、外の空気はすっかり冷たい。ちょうど鍋が美味そうだ。


「こんなことしてる内に、すぐに年末になっちゃいそう。水野君は実家に戻るの?」


そういえば、裏庭ダンジョン大丈夫かな? 親は何も言ってこないけど。


「そうですね。年末年始は実家です」


「……いいわね」


八乙女さんは少し寂しそうな顔をした。

おやすみなさい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 進化は魔物にしか起きないのかな 酒呑童子を切った武器が進化するとしたら・・・
[一言] 面白い
[良い点] おやすみなさい(聖句) [一言] 鬼の面被ってるた奴ら実は盗っ人の集団だったりして 名前は幻影旅団(HUNTER×HUNTER並感)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ