表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】庭に出来たダンジョンが小さい! ~人間は入れないので召喚モンスター(極小)で攻略します~   作者: フーツラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/121

切れ味

これは駄目だ。もう使えない。


綺麗に切れ目の入った湯呑みがその威力を物語る。短剣を振るったゴ治郎も驚いて声を無くし、その手にある短剣を不思議そうにみている。段田ダンジョンの隠し部屋で手に入れた短剣は、想像を遥かに超える代物だった。


ゴ治郎が力を込めて握るとその剣身が発光し、とんでもない切れ味を発揮する。こんなものをSMCで使ったら簡単に相手のモンスターを殺してしまうだろう。この短剣はダンジョン専用だな。


ちゃぶ台の前で腕組みして唸っていると、スマホが震えた。鮒田だ。


"晴臣、大変だ! 武蔵が剣聖になってしまった! 自分より大きな石を真っ二つだ!"


「それは武器が凄いだけだ」


"武蔵の奴、実は剣に関するスキルを有していたとは……"


「同じようなこと、ゴ治郎も出来たから。剣だよ、剣」


"名前が関係していたのかも知れないな! 名付けシステムだ!"


「うるせえ! 勝手にシステム作るな! まさか、この調子であの隠し通路のことベラベラと話してないだろうな?」


"ふはははっ! 俺がそんな愚かな訳ないだろ? あれは後々金になる情報だ! 全力で秘匿する"


ダンジョンの壁はすぐに修復される。俺と鮒田以外、あの隠し通路のことは知らない筈だ。あの部屋については分からないことだらけだが、今のところ誰かに相談するつもりはない。


"ところで晴臣よ! こんな強力な武器も手に入れたんだ。そろそろ挑戦してみないか?"


「挑戦ってまさか……」


"そう! ランダムダンジョンだ!"


ランダムダンジョン。


リアルダンジョンwikiで話題になっているプライベートダンジョンで、第2階層から現れるモンスターがランダムだという。星3以上のモンスターも当然出現する。レアな召喚石を求める者や育てた召喚モンスターの腕試しで人気のダンジョンだ。


「でも、あそこは入ダン料が馬鹿高いから……」


"ふはははっ! 金の心配ならいらん! 俺は仮想通貨でボロ儲けだからな"


くっ。こいつ、本当に金に対する嗅覚が鋭いな。一体どんだけ稼いでいるんだ。


"もし、召喚石や宝箱からレアアイテムが出た場合は俺が頂くが、入ダン料については全て出してやるぞ?"


「お願いします!」


情けないが、ここは甘えてしまおう。自腹だと生活出来なくなる。


"よし、予約取れたら連絡する! 心して待て!"


勢いよく通話は切られ、手持ち無沙汰だったゴ治郎と目が合う。


「ゴ治郎、新しいダンジョンに行けるぞ」


「ギギッギ!」


ゴ治郎は短剣をあげて喜ぶ。モンスターの性なのか。ゴ治郎も敵と戦うことが好きなのだ。


「次のダンジョンは毎回出現するモンスターが変わるらしい。ドラゴンが出たらどうする?」


「ギギッ!」


こうだ! とばかりにゴ治郎は短剣を振り下ろす。力が入ってしまったのか、剣身が青く輝く。


見えない敵に向かって短剣を振るう様子は随分と様になってきた。剣術の動画を見せた甲斐があったというものだ。


きっと、この剣の持ち主は見事な剣の腕前だったのだろう。あの部屋を見る限り、あそこで暮らしていたのはモンスターではない。きっと、人間かそれに近い存在だった筈だ。となると、ダンジョンとの関係は? 分からないことだらけだ。


考え事をしていた俺を、ゴ治郎が心配そうな顔で見ている。


「なんでもない。心配するな。考え事をしていただけだ」


「ギギッ!」


俺の余計な考えを追い払うように、ゴ治郎は再び剣を振るうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 面白い
[気になる点] 召喚石とレアドロ全渡しで入場料だけってただの用心棒じゃん 危険に見合わないでしょう
[一言] レアアイテムが出たらあげちゃうのか… 多少のお金と引き換えにできる物だと後々まで思えればいいですけど。 まあずっと貧乏路線で苦しむ話なのかな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ