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【書籍化】庭に出来たダンジョンが小さい! ~人間は入れないので召喚モンスター(極小)で攻略します~   作者: フーツラ


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プライベートダンジョン

「遅いぞ! 晴臣!」


私鉄の改札を出るやいなや、聞き慣れた声が飛んできた。まだ待ち合わせ時間の30分前だというのに、この言いよう。鮒田よ。どれだけダンジョンを楽しみにしているんだ。


「お前が早すぎなんだよ」


「ダンジョンについて調べていたら、興奮して眠れなかったぞ! 早く行こう!」


スマホで地図も確かめずに鮒田は歩き出す。もしかして、道順まで覚えているのか? 下手すると一度実際に行って確かめた、まであるぞ。これは。


「しかしよく予約が取れたな。プライベートダンジョンはどこも一杯だって聞いてたのに」


「ふはははっ! 鮒田不動産のパゥワーをなめるなよ!」


うん。ムカつく。躊躇なく殴れる程度には。


スタスタと先へ急ぐ鮒田を無視し、今日行くダンジョンについてスマホで確認する。


『段田ダンジョン』は最近世田谷区にオープンしたプライベートダンジョンだ。出現するモンスターはコボルト系らしい。鮒田には最初は難易度の低いダンジョンにしろと口を酸っぱくして言っていたところ、ここに決めたようだ。


「水野晴臣!」


結構離れた位置からフルネームで呼ばれた。当然のように周囲から視線が集まる。あの野郎。


「いっ! くっ! ぞっ!」


「分かったよ!」


大股で後を追った。



#



段田ダンジョンは比較的新しい民家だった。『段田』の表札に『ダンジョン』が付け足されていて、いかにも急造という感じ。


「予約の鮒田だ!!」


インターホンの向こうから「ひっ!」と聞こえた。鮒田の気迫に押されたようだ。



少しして現れたのは気弱そうな男。40代後半か。


「よ、ようこそ段田ダンジョンへ」


自信なさげに接客する様子はこの人の性分なのだろう。鮒田とは真逆に見える。


「お客様は召喚石はお持ちですか?」


「勿論だとも! ダンジョンオーナー!」


待ってましたとばかりに指輪を段田氏に誇示する。


「お客様は?」


ああ。俺もか。


「持ってます」


なるほどと段田氏は頷き、説明を続ける。


「当ダンジョンの入り口は2センチ程度です。大型の召喚モンスターでダンジョンアタックする場合はシャベルで少し掘ってから挑んで下さい。20センチぐらい下に掘れば大分穴は大きくなりますので」


今まで意識してなかったが、出現するモンスターも違うのだ。ダンジョン毎に入り口のサイズが違ってもおかしくない。


「料金は前払いとなり、本日の18時まで滞在可能です。ダンジョンの横にテントと仮設トイレがありますので自由に使ってください」


「分かった! 早くいこう!!」


「はっ、はい! では、案内します」


気弱なダンジョンオーナーは強気な鮒田に押されて歩き始めた。

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