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三日目朝 1


悲鳴を上げて飛び起きる。

首を両手で掴み、息を吸えることに安堵する。生きている。私は、生きている。


しばらく呼吸を整えることに専念する。涙がとめどなく溢れ、流れ落ちる。冷えきった指先に少しずつ熱が戻る。ドクンドクンと血が流れる音が聞こえ、その激しさにまた安堵した。私は生きている。


心臓と涙腺が落ち着いてきたのでチラッと時計を見る。六時。夢の中で何ヶ月も過ごしたので、今が何月何日なのかが分からない事に気付き、慌ててスマホで日付を確認した。大丈夫、八時間しか経っていない。ほっとした。


無性に人の声が聞きたくて、テレビをつける。気象予報士が天気予報をしていた。今日は雨らしい。出かけないからどうでもいい。別の局に変える。最近はやりのフード特集をしていた。見ていたらお腹がぐぅっと鳴った。そうだ、飯を食おう。温かいものを食べれば心が和らぐだろう。味噌汁、パックの米、卵焼き。オーソドックスな朝食。ああ、美味しい。


頭が少しシャッキリしてきた。水を飲む。さらにシャッキリした。ニュースを見る。とある芸能人の不倫発覚で色々と大変らしい。次はどこかの国のハプニング映像だ。車のフロントガラスにヒビが入って危ない事になっている。こんなことが起こるのか……恐ろしい。


さて、ようやく落ち着いたことだし、出勤前に少しだけゲームをやろう。夢でのあれはたぶん、早くクリアしたい気持ちの表れなんだろう。そうだ、そうに決まっている。我ながらなんてゲーム中毒なんだろう。だが、流石にもう見ないだろう。ただの夢なんだから。


昨日は確か十一月で止めたはず。第二関門の壁は分厚いな。そう思いながらアプリをタップして開始する。が、また最初からになっていた。おかしい……私は途中で止めたはず。なんでだ?


……まあいい。気にしたところで答えは出ない。ならば無駄なことはぜずに進めよう。二年目の初めからだ。えーっと、確か十一月のどこまでだったか……わからん。いや、確かこのルートを潰す所までやったから……ここからか。十一月の二十日目。寒くなってきたねという会話から始まる日だな。


それにしても本当に進まない。選択肢が合ってるのか間違っているのかくらい分かるようにして欲しいもんだ。好感度ゲージくらい搭載してくれよ。本当にさー、クソゲーだよなー……。



あれ?




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