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エピローグ2

 はるか上空から銀河を見渡す。

無数にある銀河、無数にある星、しかしどの星もつまらないものだ。

何千、何億年間もの間代わり映えのないものを見ているのは暇を紛らわすのにも満たない。

だが、暇を紛らわしてくれるものさらに、私を夢中にさせてくれるものが存在する。

それは、ごくまれに生命が存在している惑星だ。

そもそも惑星に生命が存在するための条件とはかなり複雑なために、なかなか存在しない。

そんなSSRのような価値を持ったものに興奮を覚えるのは必然ではないだろうか?

・・・そうでもないか......。

しかしながら、生命が存在する惑星「地球」を数億年と見てきているが、そろそろつまらなくなってきているのだ。

生命が誕生した瞬間、恐竜時代、そして人間が生まれた時、様々な瞬間に出会い、興奮を覚えた時が懐かしく思える。

人間が誕生し、急激な成長、発展を遂げていく人類に目が離せなかった。

しかし、そろそろ限界だ。

生物界の一番の頭脳を持ちながらも無益な争いしかせず、何の発展もない無駄な行動をかれこれ1000年近く眺めてきた。

優れた頭脳を持ったゆえに、自分の地位、権力、欲望を求めて争いを行うのは必然なのかもしれない。

そんな世界にスパイスを加えてみよう。

今生まれた子、ブルーに特殊能力を授けた。

この子は転生者であり、人間への憎悪と特殊能力を合わせるとどんなことになるかは私にも想像できない。

このスパイスがこの世界をどう調理していくか楽しみだ。



 ブルーは神経を研ぎ澄まし、周りの空気を感じ取る。

普段はあまり気にならない、足元の草が揺れる音、自分の体に当たるわずかな風、地上の草木に紛れ生活している小さな昆虫、様々な物を感じ取ることができる。

ブルーは神経を研ぎました時に、時がゆっくり流れ自分の周りを自分の手で掌握しているこの感覚がたまらなく好きらしい。

そこから、空気中に微量に含まれる魔素を自分の中に吸収する。

そして、体に吸収した魔素を手に力を込め、エネルギーへと変換させる。

すると、自分の手に高さ10センチほどの赤い炎が現れた。

ブルーはさらに技を展開させるために魔素を自分の体に取り入れる。

「はぁぁ!!!!」

15秒ほど魔素を取り込み、叫び声とともに高さ10メートルほどの火柱が立つ。

さらに、ブルーが技をやめたかと思うと、半径5メートルにわたってすべてを焼き尽くすような爆発が起こる。

鼓膜が破れるような爆発音と立つのもままならないほどの爆風が襲う。

「ふぅ」

大きく息を吐きだし呼吸整える。

魔法というのは非常に体力を使う。

極限まで自分の意識というのを研ぎ澄ませたうえで、外界からエネルギーを自分の体に吸収し放出する。

普通の人間であれば、料理ができるレベルの火や少し空を浮遊するぐらいが限界である。

そう考えると、今ブルーがやった強力な魔法にどれだけのエネルギーが消費されたかも想像できない。


「ただいま。」

大きな声を発して、家の中に入る。

「おかえりなさい、ブルー」

そう答えたのは母親である、コメッタだ。

父親はいない。

父は都市部へ出稼ぎに行っているため、母との二人暮らしだ。

「今日は都市部からのお客さんが来るわよ。準備はできてる?」

「もちろんだよ。さっき魔法の練習してきたから。」

今日はブルーの14歳の誕生日であり、子供から大人へと変わる大切な日だ。

今日は都市部から役人が来るそうだ。

その役人はブルーの能力を見込んで都市部の魔術部隊へと入団させたいとのことらしい。

ブルーの魔法適性は農村部だけにとどまらず、世界で有数の都市「ケイオス」のトップ魔術師の耳まで伝わっていた。

魔法適性、魔素吸収量、属性適正など魔法のあらゆる面において、ブルーは超越していた。

特に優れているのは、14歳ながらにして人類史上最高といわれる魔素吸収量だ。

魔素吸収量は魔法の威力を決める指標であり、ブルーは魔素吸収量の測定では測定不能という結果をたたき出した。

また、魔法適性や属性適正に至っても素晴らしい結果が出ており、すべての属性において適性があることが検査で発覚した。

ここまでの結果をたたき出した例は少数であり、神童、神からの使い、転生者など様々な異名がつけられた。

それだけではない。

今までの研究で、人間の体が成長するとともに魔法能力も成長するとわかっている。

つまり、ブルーに二次成長期が来た場合にさらに魔法能力が格段に上昇することがありうるのである。

すでに十分すぎるまでの魔法能力を持っているブルーがこれ以上成長すると考えると、どうなるか想像もできない。

そんな貴重な人材を大都市ケイオスが見逃すはずがない。

ブルー自体はこの農村部から旅立ってもいいと考えている。

出稼ぎに行っている父がそろそろ帰ってくるから、母親の生活を心配する必要もない。

魔術部隊に入れば給料も良く、家族に何割は仕送りをすれば、生活に困ることもないだろう。

魔術部隊といっても危険な仕事ではないらしく、あくまで都市の秩序維持が主な職務だとのことだ。

まあ最初の何年かは魔法学校なるところに入れられるらしいが、そこを卒業することができれば魔術士官になることができる。

いわゆるエリートコースだ。

この村も1級の魔法能力者を輩出したと考えると悪くは思わないだろう。

むしろたたえられ、英雄とまで呼ばれるかもしれない。

ただそんな期待とは裏腹に、ブルーには別の目的があるのをみんなは知らない…知られてはいけない。

『こんこん』

ドアをたたく音が聞こえた。

役人のお出ましのようだ。


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