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投稿かなり遅くなりました。

お題もらえなかったんで今回は書きたいように書きました。

 

 出られない?


 入ってきた入り口は割れていたガラスが修復されていて、扉も固く閉じられ微動だにしない。


「どうしてだよ⁉」


 こうしている間にも私にしか聞こえてない足音は近づいてくる。


「たしか4階の西非常口!あそこずっとドア閉まらないって言ってなかったか⁉あそこなら空いてるかも!」

「急ぐぞ!」


 智也が叫び4階の西非常口を目指すことにする。

 4階の西非常口はドアの鍵が壊れていて半開きの状態で放置されている。

 この建物でもそうであるといいが。


「琴葉足音は⁉」

「まだ聞こえる。西階段の方からだと思う」

「東階段から回らないと足音の主と正面衝突か」


 2つの建物を1つの廊下でつないだ工のような形をしているこの病院には階段がどちらの建物にも東西の端にしかなく現在いる受付のある中央から上の階を目指すとなると階段のある東西どちらかに進まなければならない。


「その音の正体がわからない以上無闇に近づくのは危険よ」

「同意。遠回りでも東から行くか」


 スマホの電源が入らないためそれぞれ手持ちの懐中電灯を使い照らしながら進む。


「……廊下ってこんなに長かったっけ?」

「確かに。こんなに歩いたことはなかったと思うけど」

「ちょっと怖いから体感時間が長く感じてるだけよ」


 暗闇の中を僅かな光だけで進むとどうしても長く感じてしまう。

 早く終わってほしい授業のような感覚だ。


「琴葉足音は?」

「ん……今は聞こえないみたい」

「そもそも足音ってどんな感じなんだ?」


 智也に言われて今まで聞こえた足音を思い出す。


「えーと……いくつか重なって聞こえたから多分1人じゃないと思う。5人分くらいの足音だったかな」

「5人くらいか……バスケはできそうだな」

「それはもういいから」

「5人だと交代枠ないからちょっときついかな」

「お前もか……」


 涼介の仕事(ツッコミ)が多い。


「そんなに速い歩きじゃなくてゆっくり歩いてるみたい」

「だから俺らもこんなゆっくりでいいのか」

「それはただ暗いし走ると危ないから……」


 廃墟であるこの病院の廊下は水溜りや亀裂があったりと走ると危ない。


「ついた……2階に上がるぞ」


 やっと2階に上がるための階段にたどり着いた。

 やはり階段の上は闇が深く先が見通せない。


「ちょっと怖いかも……」

「ちょっとじゃないでしょ?」


 廊下を歩いている間も結花の後ろにピッタリくっつきながら隠れるようにしていた。

 階段は鉄筋コンクリートが腐っているのかミシミシと軋むような音がした。


「こういうとこもボロくなってるのか……」

「このまま3階にも行くか?」

「そうね。進めるだけ進みましょうよ。早くここから出たいし」


 先頭を進む大輝と結花はそのまま階段を登ることを選んだ。


「待って大輝、結花。なんかねそのまま進むのは良くないと思うの」

「何言ってるの琴葉。早くここから出たいでしょ?」

「そうなんだけど……うまく言い表せないけど嫌な予感がするの」

「琴葉が聞いた足音は今1階にいるんでしょ?大丈夫よ」


 進んじゃいけない気がする。現に私の身体は3階へ続く階段を登ることを拒むように歩くことさえ出来ない。


「俺は琴葉の勘を信じる」

「涼介……」

「足音が聞こえるのは琴葉だけなんだ。琴葉が怖く感じてるのはそれに関係しているのかもしれない」

「俺もそれに同意。俺も早くこっから出たいけどわざわざ危ない橋渡りたくないし」


 涼介と智也が私に賛成してくれる。


「……そうね。わかった琴葉についてく。大輝戻るわよ……大輝?」


 結花は振り返って階段の踊り場まで登っていた大輝に声をかけるが反応がない。


 ブシャッ!


 何かが弾けるような音が階段の上から聞こえた。


「大輝?」


 私が声をかけると大輝は落ちてきた。

 血液や内臓をぶちまけながら。


「ひゃっ⁉︎」

「なんだよ……おい」


 大輝は……大輝だったものは身体の右半分が抉られたようになくなっていた。


「だ……大輝?」


 もちろん返事はなく断面からは今も絶えず真っ赤な血が流れ続けてる。頭部からは脳味噌らしきブヨブヨした物体が飛び出ている。


「近寄るな琴葉。もう死んでる」

「なんなのよ一体」


 結花は血をもろに浴びたのか服の一部が赤く染まっている。


 一体何が?


 カツン


 音に振り向くと結花が懐中電灯を落としている。


「結花?」

「…………れ」

「え?」

「向こうの階段まで走れ!喰われるわよ!」

「!琴葉行くぞ!」


 涼介に手を引かれ反対側まで走る。

 後ろを振り返ると私の2倍以上はありそうな犬っぽい獣が赤く染まった牙を向けて走ってきていた。


 追いつかれる!


 もともと足の遅いから涼介の足も引っ張ってしまう。


「琴葉あと少しだ!」


 前を見ると結花と智也が防火扉を閉める用意をしていた。


「今だ!閉めろ!」


 私がギリギリ防火扉の内側に入ったと同時に防火扉が閉まる。


「助かった……」

「引っ張ってくれてありがと。涼介」

「大丈夫だ気にするな。大輝が死んでしまったからこれ以上誰かに死んでほしくない」

「階段まであとちょっとだ。急ごう」


 3階は手術室と資材室がある階。

 いつも薄暗いところだがより一層不気味になっている。


「あと1階登ればすぐよ」

「何回か来たことあるけどほんと不気味だよな……」


 大輝が死んでからみんなの意識は死への恐怖が締めている。


「早く上がろ」


 階段を登ろうとすると視界の隅に赤い光が映った。


「今ここって電気通ってない……よね?」

「ああ……」


 手術室の使用中を表すランプが点灯している。


「近づかなければ気付かれないはずだ。音を立てないように行こう」


 涼介、私、智也、結花の順に階段を登って行く。


「わっ⁉」

「おっと……琴葉気をつけろよ」

「ありがとう智也」


 つい足を滑らせてしまったが智也に支えられなんとかバランスを保つ。


「ふわっ⁉」

「結花⁉」

「何かが足に……ひゃ⁉」


 結花の足を照らすと白く細い腕が結花の足を掴んでいた。


「結花から手を離しやがれ!このっ⁉」


 智也が結花の足を掴んでいた手を踏みつけ結花を救う。


「ありがと。智也」

「なんだったんだ今のは……」

「結花智也!後ろ⁉」


 1度、腕が退散したと思うと階段の下から無数の腕が伸びてくる。


「速い⁉」


 無数の腕の大群はあっという間に結花の足を捉えた。


「結花!」


 智也がギリギリのところで結花の手を掴み引きずりこまれるのを阻止する。

 涼介と私も智也の腰を掴んで引っ張る。


「結花……手ぇ離すんじゃねぇぞ……」

「智也……」


 無数の腕は更に結花に纏わりつき力を増していく。

 階段という足場も相まって圧倒的に不利。


「うわ⁉」


 唐突の浮遊感が襲う。

 気づけば4階の壁に叩きつけられていた。


「ぐ……」


 隣には同じく壁まで飛ばされた涼介がいた。


「結花!智也!」


 なんとか立ち上がって階段の下を覗き込むがもうすでに2人の姿も無数の腕も見えなくなっていた。

 階段には2人の懐中電灯が転がっているだけである。


「結花と智也まで……」


 足に力が入らなくなりその場に座り込む。

 頬に涙が伝わるがどうすることも出来ない。

 そのまま座って動けないままでいると横から光が差し込んでくる。


「涼介……」

「琴葉帰ろう」


 非常口が開き月明かりが差し込んでくる。

 立ち上がろうとしたとき手に何か当たった。

 ちぎれたカルテの一部のようだ。


「……え?」


 幽玄町小松周辺でバイクの轢き逃げ事件。

 被害者は永井(ながい)琴葉さん12歳。

 病院に搬送された後、内蔵破裂のため手術を行ったが術中に死亡。


「どういうこと?」


 小松というのは三日月の祠がある場所の近く名前で永井琴葉というのは間違いなく私のことだ。

 カルテに書かれているのは大輝が肝試しをしようと言った日。つまり今日。


「琴葉。読んだのか」

「涼介……涼介は知ってたの?」

「それは俺が持ち出したものだ」

「私死んでるんだ……。ねぇどうして?どうして黙ってたの?」

「琴葉……」


 涼介が手を伸ばすが私はその手に触れるのが怖かった。

 触れることが出来ない気がして。

 涼介の手を避け非常口を抜ける。


「来ないで!」

「琴葉……」

「私怖いの!みんなには聞こえない音が聞こえて大輝が化物に殺されて結花も智也も連れてかれて……最後に私が死んでいた?私はみんなに触れた。転びそうなとき支えてくれた。なのに……死んでたなんて……」


 もう訳が理解らないよ。


「琴葉お前は死んでいない。ここに来るまでだってバイクなんて見てないだろ」


 確かにバイクは今日1度も見てない。


「それに俺は琴葉に触れたし……琴葉が死んでるなんてありえない」


 涼介は一歩ずつ近づいてくる。


「来ないで!……っ⁉」


 非常階段の手すりが腐って崩れ落ち身体が宙を舞う。


「琴葉⁉」


 涼介が手を伸ばすが届かなかった。

 私の意識は階段から手を伸ばす涼介の姿を最後に途絶えた。


 

 結に続く

次回最終回。

今回詰め込みすぎた感はあるよね……


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