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お題は

「野犬」「十人」「綿飴」

です。

お題ありがとうございました!

 

「…………幽玄第一総合病院ってあのでっかい病院だよな」

「……うん」


 幽玄第一総合病院は街にある大きな病院で待ち合わせの目印にされるほど有名な場所。

 街の中心にあるはずの病院がなんでこんなところに?


「古い看板が捨てられてるだけだろ⁉ほ、ほら改装かなんかだ外されたやつが放置されてるだけだろ」


 智也がそう言うが気休めにしかならなかった。


「でも……どっからどう見てもあの病院だよね」

『…………』


 蔦が茂っていたりヒビが入ったりしているが幽玄第一総合病院に酷似している。

 決めては建物中央に飾られている大きな時計。針は10時40分を指したまま止まっている。

 細かな装飾がされている時計で同じものじゃないと有り得ない。


「なんか危なそうだし、今日は帰って明日大人連れてこようよ」


 涼介がそう提案する。

 確かに明らかにおかしい光景に恐怖し思わず後退る。


「無理ね。後ろを見てみなさい」

「え?」

「なにこれ?」


 結花の言うとおりに後ろを見るとかろうじて道を形成していたはずの茂みが消えていた。

 代わりに木が立ち並んでいて先が見えないほど深い。


「道がなくなってる……」

「だ、誰か助けを呼ぼう」

「それも無理ね。こんな森の中じゃ多分圏外よ」

「やってみなきゃわからねえだろ……ってあれ?電源が入んねえ」


 私もスマホを出すけど電源が入らない。家で十分に充電してきたのに……。

 どうやらみんなスマホが使えないようになっているらしい。


「ねえ、どうするの?」

「どうするもなにもないだろ。この暗さじゃ懐中電灯あっても森を抜けるのは危険だと思う」

「俺もそれに賛成。なんか雲行きも怪しいし」

「雨が降ったら最悪ね」


 どうしても病院に入らなきゃいけないみたい。

 森には凶暴な野犬も出るって聞いたことあるし、智也の言うとおりさっきまで星が見えていたのに黒い雲が空を覆っている。


「固まって行動すれば大丈夫だろ」

「鍵しまってるよ。扉」


 病院の正面玄関の自動ドアが開かない。


「鍵じゃなくて植物が引っかかてて動かないんだよ」

「そもそも電子センサーが動いてないのかも」


 他の入り口に行こうにも草木が生い茂っていて進めそうにない。


「ガラス割って入るか?」

「強化ガラスじゃなかったっけこれ?」

「割るのにいい感じの石探してくるからそっから離れんなよ」

「私も行く」


 大輝と結花が石を探しに行く。

 石で割れるのかなこんな分厚いガラス……。


 コッチヘオイデ……


「え?」

「琴葉?どうかしたか?」

「今声が……ひゃっ⁉」


 声がしたような気がしてガラスに手を触れると、触れたところからヒビが入りガラスが割れバランスを崩す。


「危ない!」

「琴葉!」


 涼介と智也に支えられなんとか転倒を防ぐ。

 危うくガラスの破片が散乱している地面に身体を打ち付け大変なことになるところだった。


「琴葉!大声出して何があったの⁉」

「大丈夫か?」


 大輝と結花が戻ってきて駆け寄ってくる。



「声がしたのか?」

「私が触ったときは何ともなかったのに……」


 大輝と結花にいまさっき起きた出来事を全て伝える。


「お前らはなんか声聞いたのか?」

『いやぜんぜん』


 涼介と智也には全く聞こえなかかったらしい。

 気のせいだったのかな。


「琴葉にしか聞こえなかったのか……」

「もしかしたら気のせい……だったかも。雨が降ってくる前に中に入ろう?」

「そうだな」


 中は灯りもついてないので懐中電灯で辺りを照らしながら進む。

 建物の中にも植物が茂っているようだ。


「やっぱり内装もそっくりだな……」


 椅子が並ぶ受付ロビーも多少椅子が欠けていたりするが現存する病院と同じように見える。


「私達おそらく今日は帰れないでしょ?」

「ここで寝泊まりか……」


 帰れない状況を考えるとたしかにここから動かないことが賢明。

 だけど……


「ちょっと不気味だし……怖いな……」

「仕方ないわよ……こうなることなんて誰もわかってなかったんだから」

「でも床で寝るのか……体痛めそうだな」

「病室いけば使われてない毛布とかありそうじゃね?」

「でも綺麗なのあるかな」


 天井や床には雨漏りでもしたのかシミができていて黒っぽく変色している。


「比較的綺麗なの持ってくればいいさ」

「じゃ涼介ちょっと近くの病室から探しに行こうぜ」

「わかった。大輝は2人と残ってろよ。女子2人置いてくのはアレだし」

「任せろ。お前らも何があるか分からないから気をつけろよ」


 涼介と智也が毛布を探しに行った残された3人で床を這う植物を撤去していく。

 あらかた綺麗に出来た頃に涼介と智也が戻ってきた。


「あったぞ人数分。余分にいくつか持ってきたから」

「遅かったな。なんかあったのか?」

「いや……何もなかったぞ」

「探すのに手間取ってただけだぞ?なあ」

「まあ……そうだ」

「そうか。じゃもう寝ようぜ。これ以上遅くなるとなんかでそうだしな」


 毛布を敷き、簡易布団モドキを作る。


「男子はそっち側。この椅子の列越えてきたらアウトだからね」

「それになんの意味が……」

「いいから!」


 結花と隣合わせで寝る。


「…………すぅ」

「寝るの早⁉」


 疲れていたのか毛布にくるまりすぐ寝てしまう結花。

 余った毛布を使って男子と女子の空間を分断するカーテンを先程増設したので、結花が寝てしまった今1人で心細い。

 そもそもこんな不気味なところじゃ眠れないよ……


 ◇◇◇◇


「んん……」


 身体になにかが纏わり付いているような気がして目が覚める。


「はう⁉結花⁉」


 目を開くとゼロ距離に無防備に眠る結花の顔。

 結花に抱き枕にされていた。

 あと少しキ、キスできそうなくらい近くてちょっとドキドキしてしまう。


「ちょっと……ごめんね」


 起こさないようにそっと結花の拘束から逃れる。

 すると結花の手が何かを探るように宙をさまよいだしたので毛布を丸めて私の代わりの抱き枕として結花のもとへ。


「ん?琴葉寝れないのか?」

「涼介。今起きたとこ」

「まだあれから4時間くらいしか経ってないぞ。ショートスリーパーか?」


 男子は涼介しか起きてないらしく寝床からそれほど離れていない椅子に並んで腰掛ける。


「なあ琴葉、ここってほんとにあの病院なのかな」

「わからないよ。わからないけどそっくりだよね……」


 幽玄第一総合病院の廃墟と言ってもおかしくない。

 実際はおかしな光景だけど。


「智也と毛布を探しに行ったときのことなんだが」

「それって戻ってくるのが遅かったときのこと?」

「そうその時。その時見つけたものがあって理由あって持ってこれなかったがこの病院はな……」

「⁉ちょっと静かにして。なんか足音がする」


 カツンカツンと1人分でなく何人分もの足音が聞こえる。


「何も聞こえないぞ?」

「でもこの上から少しずつ大きくなって聞こえるの」

「……もしアレが本当のことだったら?琴葉!急いでみんなを起こそう危険かもしれない!」

「わ、わかった!」


 涼介が血相を変えて叫ぶので指示に従う。


「結花起きて!」

「むにゃう……大きなわたあめだぁ……すぅ」


 寝言がかわいい。


「じゃなくって起きて!」

「んん……朝?」

「説明してる暇ないからこっち来て!」


 カーテン代わりの毛布をはらって涼介のほうへ向かう。


「大輝、智也起きろ!」

「……涼介。10人いりゃあサッカー出来るだろ……だから俺寝てる」

「出来ねえよサッカーは11人だし。寝ぼけてないで起きろって!」

「涼介……野球にはあと1人足りないぞ……」

「足りるだろ野球は9人だ。というかお前らさっさと起きろ」


 こっちも寝ぼけてた。

 涼介が大輝と智也を文字通り叩き起こし事情を説明する。


「また琴葉にしか聞こえなかったのか……」

「琴葉って霊感強いの?」

「今までこんなことなかったのに……」


 時計は既に12時を過ぎている。


「もし琴葉の言っていることが本当だったとしたらここから出ないと取り返しのつかないことになるぞ!」


 酷く焦る涼介。普段冷静な分焦っている涼介は新鮮だった。

 そんなこと思ってる場合じゃないけど。


「それなら入ってきた入り口はこっちだったな、走るぞ!」


 智也がそう言い未だ寝ぼけている結花を大輝が背負って割れた自動ドアまで走る。


「な⁉……ガラスがもとに戻ってる」

「俺に任せろ。ちょっと結花を頼むぞ」


 結花を涼介に預け大輝がガラスに体当たりを食らわす。

 ガラスはビクともしない。


「琴葉!入ったときみたいに触ってみてくれ!」

「わ、わかった!」


 ここに入ったときのことを思い出しガラスに触れる。


「お願い……割れて!」


 ニガサナイヨ……


「ひっ⁉」


 再び寒気のする不気味な声が聞こえ、反射的に手を離してしまう。


「開かないか……それにまたなんか聞こえたんだろ?」

「逃さない……って聞こえた」


 出口のない不気味で不思議な病院にどうやら閉じ込められてしまったみたい。

 その間にも足音は近づいてくる…………


 転ヘ続く。

ホラーって書くの難しい……


再びお題募集です。

期限は今から一週間後の8月7日11時59分までとします。

お題はジャンル問わず3単語でお願いします。


完結まであと2話

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