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この話のお題は

「病院」「チョコフレーク」「消臭剤」

です。

 

「今夜肝試し行こうぜ!」


 太陽が真上まで昇り猛暑真っ只中の夏休み。

 幽玄(ゆうげん)町の空き地に5人の少年少女が集まっている。

 野球部で5人の中で一番体格がいい大輝(だいき)がみんなに向かってそう言い放った。


「ねえみんな夏休みの宿題やった?」

「僕まだやってない」

「やってねーわ」

「あたしは半分終わったよ」

「私は全部終わらせたよ」

「まじか!」

「おいお前ら無視すんなよ!」

「で?今日何する?」

「そうだな……」

「…………もうやめてくれ……」

「あはははは。冗談だよ、泣くなってば」

「泣いてねえし!」


 いつもやってるやり取りを済ませる。

 最初に大輝が提案し結花(ゆか)智也(ともや)涼介(りょうすけ)と私が無視して大輝が拗ねたら智也が笑って大輝を茶化す。


「それにしても琴葉(ことは)は真面目だなー全部宿題終わらせたのか」


 大輝が宿題の話に入ってくる。肝試しの話はもういいのかな?


「琴葉はあんた達と違って優等生なのよ!」


 陸上部で男勝りな性格の結花は私とは幼稚園からの付き合いで大親友。

 もちろん一番足が速い。


「ならお前とも違うよな」


 サッカー部の涼介も幼稚園からの付き合い。

 ちなみに大輝と智也とは中学校に入ってから出会った。


「な⁉︎何ですって⁉︎」

「言えてる。結花は琴葉と違って清楚が感じられないからなぁ」

「おー?智也、殴らないから寄っておいで?」

「出たよ。そうやって暴力に走る。暴力女め!」


 バスケ部の智也はいつも明るいムードメーカーだけど結花とはちょっとだけ相性が悪い。

 喧嘩するほど仲がいいって言うけどね。


「そんなことより肝試しだよ肝試し!」

「さっきから肝試しって何なのよ」

「まあまあ、結花ちゃん落ち着いて」


 智也を捕まえヘッドロックをかけていた結花をなだめ涼介と協力して智也を開放する。


「肝試しって言ってもこの辺心霊スポットとかないだろ?」

「ちっちっちっ、あるんだなそれが」

「は?」


 噂になるような心霊スポットは幽玄町にはないと思う。

 学校に七不思議すらないんだもん。


「俺さ、この前森に行ったらすげえもんみっけたんだよ」

「それが心霊スポットってことか?」

「そうだ」

「森ってどこの森?」


 幽玄町は四方を山に囲まれた盆地なのだ。森の範囲が広い。


「三日月の祠の奥の森」

「三日月の祠ってなんだよ」

「幽玄町の北東にある祠でしょ?」

「三日月の模様があるから三日月の祠」

「何だよみんな知ってんのかよ」


 知らなかったのは智也だけだった。


「このあたりだと結構有名な場所だけど」

「初めて聞いた」

「まあいいや、で?何があるんだ?」


 ずいぶん勿体ぶる大輝に涼介が聞く。


「行ってからのお楽しみって言いたいところだが教えてやる。そこになでっかいボロボロの建物があったんだよ」

「ボロボロの建物?」

「そうそう。蔦とかビッシリ張ってて暗いんだ。出そうな雰囲気だろ?」

「1人で探検するのが怖くて肝試しと称してみんなで探検に行こうということね」

「そうとも言う」


 大輝怖くて1人でいけなかったのね……。


「集合は7時三日月の祠前!智也は俺が迎えに行くから待ってろ!じゃ解散!」



 ◇◇◇◇



「ただいま」

「おかえりなさい琴葉」


 家に帰るとお母さんが出迎えてくれた。


「今日7時からみんなと肝試しすることになった」

「晩御飯は?」

「食べてから行く」

「誰と行くんだって?」

「いつものメンバー」

「そう、結花ちゃんいるから安心ね。補導されないように早めに帰ってきてね」

「はーい」


 自分の部屋に行き必要なものを揃える。

 懐中電灯を2つ、替えの電池2セット、ペンライト、防犯ブザー、軍手。


「あと虫除けスプレー」


 玄関に戻り消臭剤の隣にある虫除けスプレーも回収。

 これで大体準備完了。


「何処に肝試し行くかって聞いたっけ?」

「聞かれてないよ」


 キッチンからひょっこり顔を出したお母さんにそう答える。


「三日月の祠の奥になんか建物があるんだって」

「三日月の祠の奥?あそこには特に何もないと思うけど?」

「大輝が見つけたんだって」

「ふうん?まあともかく気をつけなさいよ」

「はい……お母さん⁉フライパンフライパン!」


 奥から煙が出てたからすぐに伝える。


「あちゃー」


 駄目だったみたい。


「ハンバーグ黒焦げだわ。……食べる?」

「遠慮しときます」

「じゃあお昼ご飯はリビングにあるのを適当に食べてて。晩御飯のおかず買いに行ってくるから」

「はーい」


 冷蔵庫から牛乳を取り出し、コーンフレークとチョコフレークを混ぜ合わせたものにかける。

 その上にバナナを切って乗せる。

 日曜日の朝によく食べる料理(?)だけど美味しいから昼食に食べる。



 ◇◇◇◇



「遅いぞー琴葉」

「ごめんごめん」


 晩御飯のリベンジハンバーグを食べ、時間通り7時に三日月の祠へ行くともうみんな集まっていた。


「じゃあ行くぞ」


 祠の奥は草が生い茂っていて歩きにくい。道の名残みたいなところを歩いている。


「こんなとこ通るなら長ズボン履いてくるんだった」

「確かに虫さされ嫌だし」


 文句を言いつつ歩く智也と涼介に虫除けスプレーを差し出す。

 結花と私はこういうこともあろうかと長ズボンを履いている。

 大輝は細かいことを気にしないから半ズボンだけど。


「琴葉虫除け持ってんならもっと早く出してくれよな」

「同意」


 タイミングの問題だね。


「ついたぞ。ここだ」


 そこには大輝が言っていたとおり壁に蔦が巻き付いていて外壁が少し砕けている建物があった。


「何よここ」

「あそこに看板ぽいのがあるよ」


 壁に埋め込まれたこの施設の表札にも蔦が巻き付いていて読み取れない。


「僕に任せろ」


 涼介がウエストバックから十徳ナイフを取り出す。


「どうしたのそれ?」

「父さんに借りた」


 ナイフで蔦を切り裂いていく。


「『幽玄第一総合病院』?」


 それは幽玄町の中心にあるはずの病院の廃墟だった。



「承」に続く……

登場人物紹介


琴葉  本作主人公。優等生でおしとやか。

結花  琴葉の幼馴染で親友。陸上部で足が早く何故か力が強い。

涼介  琴葉の幼馴染で親友。サッカー部だけどおとなしい性格。

大輝  幼馴染ではないが親友。野球部でリーダー基質。

智也  幼馴染ではないが親友。バスケ部でムードメーカー。


まだ始まったばかりだからかホラー感一切ないですがここからホラーになります。

と自分で首を絞めていく。


お題を募集しますのでいただけたら幸いです。

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