~異世界召喚~
子供の頃、異世界召喚されたいなぁと思っていた時期が俺にもありました。
…思っていたのですが。
「え、…ここどこ?」
そこは見知らぬ場所、都市?
建物はやけに近代的、なぜ見知らぬ場所だと断言したのかというと
「…見間違いじゃねぇよなぁ。…飛んでるし。」
そう、人が飛んでいたのだ。しかもかなりの速度で
「ここ、どこなんだよ。夢じゃねぇしな…。本当に異世界にでも来ちまったのかよ…」
俺は平成生まれの一般人だ。特に秀でた能力もなく、容姿もいいという訳ではない。あえて言うのであれば、あちらの世界では起業を行い、会社の代表取締役となっていたこと。業務内容的には近代的なネットワークビジネス。…断じてねずみ講などではない。
そんなこともあり、俺はスーツ姿。
周りを歩く住人と思われる人はとてもラフというか、未来的なデザインと称すればいいのか、やけに幾何学的な模様の入った服だった。
「なんなんだよ…、仮に召喚されたとしたら何が目的だよ…。
というか、これからどうしよう…。」
いきなり召喚されたのだ。現実的には、すぐに受け入れられる訳がない。
しかも、何が目的で召喚されたのか分からない。
「くそ…、こういう時はとりあえず誰かとコミュニケーションを取ってみるしかねぇな。」
そこらへんを歩いている人に話しかけてみるか。
「あの…すいません。ここってどの辺ですかね。迷ってしまいまして、交番とか駅とかって近くにありますか?」
話かけたのは男性。無難な会話で現在地と案内をしてくれそうな場所を問う。
「こうばん?えき?それってなんでしょうか…。そんな店あったかなぁ。あぁ、でも迷ってるってことは旧型ですかね?ならここを真っ直ぐ行った所にアクセススポットありますよ!」
知らないワード。なんだよ、旧型って。しかも駅と交番がないっことは…、確定だ。ここは少なくとも俺の知る『日本』ではない。ここで不振な行動を取る訳にもいかない。
「では、行ってみますね!お忙しい所ありがとうございます!」
男性に指で案内された場所に行ってみる。そういえば、言葉は通じたな。ありがたい。
しばらく歩くと『アクセスポイント』という文字の書かれた看板が下がっていた。