第二話 新たなる世界
今回ちょっと短めになる予定。
本編は次回からなので、ここまで読んでくれた人は是非次の話も読んでください!!
お願いします。
気付いたら十夜は、真っ白な空間にいた。
周りにはなにもな·····いや、よく見ると白い光の玉のようなものが浮かんでは砕け、浮かんでは砕けを繰り返している。
取り敢えず動いてみようかと思うが、ここに来て自分の体が無いことに気付いた。さっきから浮かんでは砕けている謎の白い光の玉と同じような存在になっている。
じゃあ、なんで自分は砕けないのだろう?とか、目が無いのにどうやって周囲を見ているのだろう?とか、色々疑問がわいたが·····
一つ、何故だか理解したことがある。
ーー俺は····死んだ、のか····ーー
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自分が死んでしまったことには、案外、そこまでのショックはなかった。あんな生活をしていれば、いつか限界が来ることは目に見えていた。まさかいきなり死んでしまうとは、さすがに驚いたが、それもしょうがない、と割りきれた。
そう、自分のことは別によかった。ただ····残して来てしまった人達のことが少し気になった。
母は俺もいなくなってしまって大丈夫だろうか?
父はこれを期に昔のように戻ってくれたりはしないだろうか?
最後の日、凛との約束を破ってしまった。怒っていないだろうか?
そして·····
あの、心優しい幼なじみは、心を痛めないだろうか?
半分ぐらい自殺のような死に方をしておいて、何を今更とも思ったが、今になって家族や友人達のことが気になってしょうがなかった。
しかし、死んでしまったものはしょうがない。今の俺に、あいつらのことを知る術は無い。
恐らく、ここは”あの世“とかいうやつで、さっきから浮かんでは砕けているのは、所謂“魂”という奴だろう。
何故死んでなお俺に意識があるのかは分からないが、俺も、そのうち砕けて消えてしまうことは容易に想像できた。
ならば、ここは潔く最後の時を待とう·····
···········
········
·····
··
寒い。
寒い寒い寒い
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い
さっきまではこんな寒くはなかった。でも、自分がもう死んでおり、ただ消えるのを待つだけの存在だと理解した瞬間、どうしようもない寒気が襲って来た。
この場所には暖かさがない。
太陽の温もりも、生き物の体温も感じられない。ただただ魂が現れては消えていくだけの空間。その空間にただ一人自我を持って待ち続けるというのは、つまりこれ以上ない孤独だ。
そもそも今の十夜に肌は存在しない。故に本来ならば暖かさはもちろん、寒気も感じれるはずがない。
それでも寒いと感じたのは、その孤独感のせいだ。今の十夜は魂がむき出しの状態。故に彼が思ったことは、そのまま彼の感覚に直結する。
十夜は『孤独』というものが、ここまでつらいものだとは思っていなかった。
彼の家族は昔はとても仲が良く、まさに理想の家族と言ってもいいくらい幸せな家庭だった。
さらには近所には初音という幼なじみが住んでおり、小さいころからよく一緒に遊んだ。
家族があんなふうになってしまった後も、なにかと気にかけてくれる人はいたし、なにより、初音と凛は一緒にいようとしてくれた。
まぁ、その好意のほとんどを十夜は踏みにじってしまったが·····
とにかく、彼はこれまで本当の意味で『孤独』というものを味わったことがなかった。
それ故に、この『孤独』は、彼にとって、とても耐えられるものどは無かった。
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十夜が死んで、本当の意味での『孤独』を味わってから結構な時間が流れた。
とは言っても今の十夜に時間感覚なんてものはない。だから正確にはどれくらい時間がたったのかは分からない。
最初、十夜はひたすら足掻いた。足掻いて、足掻いて、足掻いて、足掻いて、それでも彼の『孤独』は埋められ無かった。
どれだけ探しても、ここに暖かさは存在せず、どれだけもがいても、ここに温もりは無かった。
そうしているうちに十夜の心は少しずつ摩耗していった。
(·····どうしてだろう?)
(なんで俺がこんな辛い目に?)
(誰か助けてよ。)
(いや、助けてくれなくてもいいから、そばに居てよ。)
そして、どれだけの時間がたっただろうか?1日だったかも知れないし、100年だったかも知れない。
しかし、その時は来た。
パリンッ
(·····っ!?)
随分と久しぶりに音、というものを感じたが、それ以前に今、確かに暖かさを感じた。
それは分かりずらく、かすかなものだったが、確かに『暖かさ』だった。
十夜は自分に残された僅かな意識を、無理やり覚醒させ、『暖かさ』の発生源を探した。
それは『亀裂』だった。
最初、見たときは見飽きた光の玉かと思った。しかし、それは、光の玉と同じように光を発しているものの形状が違った。
“魂”は綺麗な球状をしているのに対して、”それ“は細長く横に伸びており、なにより、砕けたりしなかった。いや、既に砕けていると言った方が正しいかも知れない。
そして十夜は、この『亀裂』から随分と感じていなかった『暖かさ』を感じた。それをどうにか手に入れようと、がむしゃらに『亀裂』に手を伸ばす。
そして、その『亀裂』に手が届いた、その瞬間、十夜の目の前は光に包まれた。
(····お兄ちゃん)
囁かれたような、その声は十夜の耳には届かなかった。
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目を覚ました時、久しく感じていなかった『体温』を感じた。それは自分だけじゃない。周りからもいくつかの『体温』を感じた。
そして、宙に浮いた感覚がし、驚いて前を向けば、そこには自分を抱き上げていると思われる二人の男女がいた。
女性の方は、綺麗で柔らかそうな緑色の髪を腰まで伸ばした絶世の美女。その瞳はエメラルドのように輝いており、垂れ目で優しそうな風貌をしている。さらには、包み込まれるような胸部をしており、若い見た目に反してとてつもない母性を感じる。
だが十夜が何よりも気になったのは髪の隙間から覗く、明らかに人より長い耳だ。
また男性の方はツンツンとした白い髪をしており、透き通るかのような綺麗な青い瞳をしている。その体はしなやかで細いものの、筋肉質であり、無駄が一切ない体つきをしていた。
ただ、こちらの男性はチラリと見えた首筋に鱗のようなものが見えた。
「お、おい!こっちを見たぞフィエナ!ど、ど、どうすればいいんだ!?」
「ふふふ、落ち着いてください、あなた。ほーら、ファムちゃん、お母さんですよー」
だが、今の十夜は、彼らから感じられる、その『暖かさ』と、なにより、確かに二人から感じた『愛』に、胸が張り裂けそうになり、
「おぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
この新たなる世界で、産声を上げたのだった。
そうして、この日
父、龍国バイルドルト国王にして最強の龍王
ブルムス・デル・バイルドルトと
母、森国リースハル元第三王女にして精霊の巫女
ファルスエナ・ファナ・リースハル
二人の間に元気な赤ん坊が生まれ、こう名付けられた·····
龍国第一王子にして、龍族とエルフ族の友好の証
ファルムス・デル・ファナ・バイルドルト····と。
後にこの名は、世界中の人々にとって英雄の代名詞と言われるほど有名になるのだが、
それはまだ先の話·······
あ、あれれれれ~~~~?
も、もう少し短くなる予定だったんだけど·····
なんか書いていくうちにどんどん長くなっていったんだけど····
まぁ、いっか。
次回!
ファルムス、急に大人になる&なんか変な所に気づいたらおるし!という変則スタートとなりますが、頑張れファルムス!
ファルムス「は?え、ちょっと待てよ。すごい不安なんだけど!?」
が、がんばれ····




