第二十一話 ハッピーエンド
「ハッピーエンド、だと?」
「うん。ボロスもアンリさんも、冒険者たちもこれ以上誰一人死なせずに、この戦いを終わらせる。」
「私も、ですか?」
「もちろん。そうだね。まずは君の治療からしようか。」
「できるのかっ⁉」
ユキの発言にボロスが凄い勢いで食いつく。
「リスクはある。俺にとっても初めてのことだから、成功するかはわからない。成功したとして意図しない後遺症が残る可能性もある。ただ―――成功すれば、アンリさん、君は今までの苦しみから完全に開放される。」
「それは……。」
改めてリスクを提示されることで、ボロスが不安そうな顔になる。
だが、当事者であるアンリは違った。
「お願いします。」
「アンリ!」
「おにいちゃん、私はおにいちゃんが苦しんででも幸せになりたいとは思わないよ。でも、二人で幸せになれる可能性があるなら、諦めたくない。」
そういったアンリの顔に悲壮的なところは一切なかった。
ただ、ボロスを安心させるための笑みと、少しの緊張があっただけだ。
「というわけで、ユキさん。その、改めて、お願いします。」
「君は強い人だね。アンリさん。」
「え、あ、その、ありがとうございます…………。」
ユキの正面からの言葉にアンリが照れたような顔をする。
―――――その瞬間。一瞬の隙をついて―――――
「じゃ、遠慮なく。」
ユキは、手に持った刀でアンリの心臓を突いた。
「え?」
「あ、アンリィィィィィィ‼」
アンリの顔が驚愕に染まり、ボロスが絶叫と共にユキに殴りかかろうとする。
だが――――。
「はい。終わり。」
「うおっ」
ボロスの拳がユキに届くより先に、ユキがスッっと刀を抜いて、アンリから離れる。
相手をなくしたボロスの拳は誰に届くこともなく、勢いよく空振りして、そのまま転んだ。
だが、そこは流石の四級冒険者。すぐに態勢を整え、次の一撃のために構えをとる。
「よくもっ、よくもアンリをッ!お前を信じた俺がバカだった!お前だけは、絶対に許さないぞ!俺の命をかけてでも絶対に殺す。【咎――――。」
「おにいちゃん!」
「痣―――――、アンリ?い、生きてるのか?」
「うん。なんともないよ。というか、なんでか体ももう痛くない…………。」
「―――――…………。」
確かにユキの刀はアンリの胸、心臓部分を的確に貫いていた。
だが、改めてアンリの体を見てみれば、外傷らしきものは一切ない。胸元の破れた服だけが、先ほどの光景は幻覚ではなかったのだと証明してくれていた。
「はい、治療完了。次行くぞ――――。」
「待て。説明しろ。」
「――って、まぁ、そうなるよね。それが面倒だから、先にすましたかったんだけど…………。」
踵を返して、どこかへと行こうとするユキの肩をボロスが逃がさぬとばかりにガシッっと掴む。
それに対して、溜息をついて心底面倒くさそうなユキだったが、『まぁ、流石に説明責任はあるか』と観念して、今も戸惑い続ける二人に向き直る。
「いいか?あんまり時間がないからざっくりとだけ説明するぞ。今はそれで納得しろ。詳しいことが聞きたければ、また今度教えてやるから。」
「わかった。」
「わかりました。」
「…………簡単に言うと、アンリさんには俺と同じ体質になってもらった。つまり―――、半死人だ。」
「半、死人ですか…………?」
「そう。この世界の生物は通常、空気中の魔素を吸い込み、魔力器にため、それを動力にして稼働している。アンリさんは、この吸い込む能力と器の大きさがあってなかったら、死にかけてたわけだな。」
「はい。」
「だけど、実は俺、そもそも魔力を取り込んでないんだよ。生きるのに魔力を使ってもいない。」
「え、え!そんな生物いるんですか?」
「いないよ。俺以外は。あぁ、今はアンリさんと俺以外は、が正しいかな。」
「私も、ですか…………?」
「うん。さっきの一撃でアンリさんの体内の魔力器を破壊した。そんなことをすれば普通生きるための魔力がなくなって死んじゃうんだけど―――魔力の代わりに俺の持つ霊力を注ぎ込んだんだ。」
「霊力?」
「霊力がなんなのか、とかは聞かないでよ。俺も知らないし。ただ、魔力とは別のエネルギーで、この世界で唯一俺だけが扱えるものだと思ってくれればいい。この霊力であれば、アンリさんの魔素飽和症も関係ない。だって魔素と違って空気中に存在してないからね。吸い込み過ぎとかも起きない。」
そもそも魔素飽和症は病気ではない。体質だ。
ゆえに根本的な治療が不可能。それは恐らく樹妖精の蜜とやらも同じだろう。どうあっても対症療法にしかならない。
身長が高いものに薬を渡したところで縮められるか?成長を阻害する薬などならあるかもしれないが、既に育ってしまった身長を削る薬など存在しないだろう。それと同じだ。
だから、根本的に治すなら一度殺すしかなかった。一度、その体質を完全に破壊した上で、今までとは違う別の体質を与えてあげねばならない。
だからユキは、自身と同じ体質。そもそも魔力を必要としない体質をアンリに与えたのだった。
とはいえ、霊力を与えることでアンリが生存できるのか、そもそも魔力器を破壊するだけで体質を破壊できるのか、など懸念点は色々あったのだが―――まぁ、結果よければ全てよしである。
「はい、これで説明終わり!まぁ、後遺症とかちょっと怖いけど、それは後でフォローするとして………ボロス!」
「な、なんだ。」
「これでお前がアドミレスを裏切る理由はなくなった。こっち陣営に戻ってこれるな?」
「そんな今更、俺が戻る余地なんて…………。」
「だー!もう、そんなのどうでもいいんだよ!つか長いんだよッ!時間ないって言ってるだろ!いいから、言え!戻るのか、戻らないのかっ!」
ユキは項垂れるボロスにビシッと人差し指を向ける。
ボロスが横を見れば、そこには元気になった(らしい?)アンリの姿。最愛の妹を救うために起こした裏切り。だが、その妹が救われたというのなら―――――
「戻る。俺は―――、街の人たちに恩返しと罪滅ぼしをしなくてはいけない。」
「よしっ!よく言った!これで唯一の問題点が解決した!こっからは一気に終わらせるぞ!」
ボロスの言葉にユキがガッツポーズ。
そして――――高らかに口笛を吹いた。
「おーい!駄竜さーん!」
『だーれが!駄竜よ!この無礼者!』
空から現れたの巨大な竜。
その圧倒的な威容にボロスとアンリが口をあんぐりと開けたまま固まる。
だが、ユキだけは恐れることなく、親しそうに声をかける。
「あはは、悪い、悪い。身重なところ悪いんだけど、街まで送ってくれない?」
『はぁ、古今東西、この私を体のいい運搬に使おうなんて無礼者はあなただけでしょう。』
「だめか?」
『ダメ。って言いたいどころだけど、恩人の頼みを蔑ろにする私でもないわ。今回だけよ。』
「ありがとうな!」
そういうと竜は乗りやすいように身をかがめ、背中の位置を下げる。
ユキは感謝の言葉を口にしながら、ぴょんとその背中に飛び乗った。
そして、なおも衝撃から立ち直れずポカンとしているボロスとアンリに左手をあげて―――――
「ほら、帰るぞ!お前たちの街に!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Side テミスレーナ
「右翼、戦士隊後退!前に出過ぎるな!」
「フィセーラ!壁!」
「もうっ、人使いが荒いわねー!『火葬壁』」
「援護します!『精霊結界』」
テミスレーナは現在、前線で精霊術師として援護に徹していた。
『大精霊結界』を朝まで展開しなかったおかげで、あと少しであれば魔力が残っている。積極的に攻撃魔術とはいかないが、【精霊王の守護】を活用して、味方に適宜魔力障壁を生成するぐらいはできた。
【精霊王の守護】による魔力障壁は対魔術特化障壁だ。このバリアを付与すれば、味方の魔術による攻撃を受けることがなくなる。よって、味方ごと巻き込むような魔術を展開することも可能になるのだ。
これを利用して、先ほどから前進と撤退を繰り返していた。
その動きに不満と疑問を抱いている少年が一人いた。
「フィセーラさん!どうして前にいかせてくれないんですか⁉俺は、俺は、おやっさんの分も、あいつらを倒さないと―――!」
ギランをおやっさんと呼び慕う少年、ヒースだった。
少しでも前に出れば、撤退する。こちら側の死者は出ずらいが、代わりに向こうの数を減らすことができない。
そんなむずがゆい状況に我慢がならなくなったようだった。
「ヒース君、まず、君じゃギランの代わりにはなれないわ。」
「ッ!」
「あなた一人が特攻したところで、何もできずに殺されて終わりよ。そんなことしたら、それこそギランの犠牲が無駄になる。そんなの私が許さない。」
「―――――ックソ」
どうしようもない現実にヒースが自らの唇を噛む。その顔は悔しさに歪み、握りしめ過ぎた右手からは血が流れていた。
「だけど、だけどっ!このままじゃジリ貧です!今は魔術でどうにかなってるけど、このペースじゃ魔力が持たないはずです!そうなったら瓦解します。今は魔物側も混乱している、殲滅するなら今のはずです!」
「………そうね。確かに、ヒース君の言うことにも一理あるわ。」
現在、魔物側は樹妖精の統率を失い、かつ低度であるものの【幻狐】の影響により混乱している。
攻勢にでるなら確実に今であり、実際、今攻勢に出れば勝利はできるだろう。
だが――――。
「でも、そうしたら少なくない犠牲もでるわ。ギガントモールもいつ出てくるかわからない。一気に状況をひっくり返される可能性もある以上、安易に賭けにはでられない。」
「それは、そうかも知れませんけど…………。」
「…………それにね。どっちにせよ賭けにでないといけないなら、私たち、もう賭ける相手は決めてるのよ。―――ね?テミスレーナさん。」
「はい。ユキさんは必ず来ます。」
残り魔力という話なら、テミスレーナが一番限界に近い。朝まで結界を張っていた代償は決して少なくない。
魔力が尽きれば【精霊王の加護】も発動しない。つまり、命の危機が近づく訳だが―――、それでもテミスレーナは信じていた。
つい数日前に会ったばかりの少年ではあるが、彼はテミスレーナの幼稚な言葉を『正しい』と言ってくれたのだ。
(なのに、私が先に諦めたら――――それこそ『間違っている』ことの証明になってしまう!)
「ヒースさん。」
「な、なんだよ。」
「ユキさんが私たち冒険都市防衛陣営に要求したのは3つです。」
テミスレーナはヒースに教えるように、指を一つ立てて説明を始める。
「一つ目は、冒険都市の防衛、そのもの。」
時間は1~2時間ほど。その間だけでいいから、絶対に防衛すること。
テミスレーナは指をもう一本立てる。
「二つ目は、死者をださないこと。」
その間、魔物の殲滅は必要ない。防衛に全力を尽くし、冒険者側に死者を出さないこと。
そしてテミスレーナは最後に三本目の指を立てる。
「そして、三つ目は―――混戦にしないこと、です。」
「混戦?」
「はい。魔物と人が入り混じる戦場にしないこと。その境界をできるだけしっかり守ることです。」
この最後の要求が、現在の進行と撤退を繰り返す戦い方の理由だった。
冒険者が前に出過ぎれば、当然戦場は魔物と冒険者が入り混じる状況になる。それは避けてほしいというのがユキの要望だった。
そんな要望をされれば、ユキの狙いなど誰でもわかる。
「まさか、戦場全てを吹き飛ばす魔術でも使う気か?」
確かに、戦場に魔物だけの状況にし、その上から殲滅魔術を放てば、状況の打開も可能だろう。
だが―――
「そんな与太話、本気で信じたってのか?戦場がどれだけ広いと思ってる!魔物の等級だって決して低くない。ギガントモール、魔人だっている。それら全てを吹き飛ばす魔術だって?ありえないだろ!」
「…………。」
ヒースの言葉にテミスレーナは反論できない。
彼の言うことは正しい。そんな超範囲の超火力魔術。例え、一級冒険者だって使えはしない。そもそも、魔物が混乱しているのもあって戦場は横に広がってしまっている。魔物が来ている森側に至っては、どこまで広がっているのかわからない。
その端っこまで一匹残らず倒せる範囲攻撃があるとするならば、それは都市を一撃で沈める攻撃だ。
もしかしたら国すら飲み込む一撃かもしれない。そんなものを個人で利用できる人間が存在するわけ――――
「いるよ。」
「え?」
「君達はまだ若いから見たことはないかも知れないけどね………世界にはいるんだよ。一人で国を滅ぼす強者、一撃で都市を沈める化け物、そんな奴らがね。上に行けば行くほど、思い知る。世界は広い。―――――――化け物はいる。私たちはユキ君に、その片鱗を見た。」
「「…………。」」
フィセーラの言葉にヒースとテミスレーナの二人とも黙ってしまう。
化け物。その言葉に込められた憧憬と、恐怖と、畏怖、その他にも色々混じったその感情を読み取るには二人はまだ若かった。
「ほら、来た。」
―――――そして、時はくる。
ハッピーエンドという名の――――化け物の行進だ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Side ユキ
「それじゃあ、あとはよろしく。そのまままっすぐ街まで飛んでくれればいいから。あ。間違っても俺より前にでないでね。」
『え?ちょっ、あんた何を―――――。』
「またあとでねー!」
そういってユキはまだ上空にいる竜の背中から飛び降りる。
パラシュートなしスカイダイビングだ。前世なら恐怖でちびるような体験だが、今更、この程度は怖くない。
どうせ死なないし。
「えーと、どこだっけ…………。あ、あったあった。」
落下しつつも余裕のユキは、懐をまさぐり目当てのものを探す。
そうして出したのは、一匹のスライム。遠隔での通信を可能にするスウィー特製、シンクロスライムだった。
「あーテステス。聞こえてますかー。」
『聞こえている。…………テステスとはなんだ?』
「ボロスとアンリさんの保護完了はしたよ。それじゃあ、手筈通り、『回収』お願いね。」
『…………了解した。』
スライム通信の相手はミレン。
彼の疑問は華麗にスルーして、事前に頼んでおいた冒険者の回収をお願いする。
落下しながら地上に視線を向ければ、前に出ていた冒険者がどんどん地面に吸い込まれていくのが見える。
マザースライムによって回収されているだけということは知っているのだが、それはそれとしてちょっと気味が悪い絵ずらだった。
相手を突然失った魔物が不思議そうにあたりを見回している。
今は混乱しているが、そのうちすぐに街に向かって攻撃を始めるだろう。その前に、全て終わらせなければ。
「おっと、そういえば、…………帰って来いッ―!ハル!」
忘れる前に、自分の従者の名を大声で叫ぶ。
こっちはシンクロスライムなど必要ない。ただ自分が大きく呼べば、あの狐が気づかないわけがないのだから。
そうしてパラシュートなしスカイダイビングも終わり、地上に大きな砂埃を上げて着地する。
本来なら全身骨折して余りある衝撃が体に走るが、事前に霊力で体を保護していたのもあってどこか傷を負うこともなかった。
そして、すっと立ち上がれば、いつの間にか手のひらサイズの狐が頭の上にのっていた。
「おかえり、ハル。」
「はい。ただいまです。」
「樹妖精は?」
「むむむー、はぁー、殺しきれませんでたぁー。50回は燃やしたんですけどねぇー。」
「あはは!まぁ、樹妖精は雑草みたいにしぶとい魔人だからなー、ちょっと時間が足りなかったか。」
「【幻狐】と併用は流石に難しいですぅ。」
頭の上の狐とユキが談笑する。二人は和やかな雰囲気だが、周りは決してそんなことない。
ユキが着地したのは、アドミレスの門。そのすぐ前。
そこには噛みつく相手が突如消え、暴力の行く先を失った魔物たちが少しずつ集まってきていた。
その数は優に数百は超える。どれもアイルベット大森林産の強力な魔物ばかり。
さらには――――
「ギャアアアァァァァァァァァオオオオ!!」
「行きなさいッッッ!あのクソ狐を喰い殺すのよッッッ!」
現れるのは都市サイズのモグラ、ギガントモールと樹妖精
樹妖精は体を構成する花や茎がところどころ焦げており、その怒り心頭具合からも、随分と手ひどくやられたことが見て取れた。
同じくギガントモールも昨夜、ハルにある程度燃やされたはずだが、こちらは地中で回復したのか随分と元気そうだった。
樹妖精の怒りと共に、その場に花粉がまき散らされる。この特殊な花粉に導かれ、今まで数が多いだけの烏合の集だった魔物たちの動きが突如機敏になる。
できあがるのは軍隊と化した、魔物の集団。一匹でも都市をも沈めるギガントモールに、植物魔術のエキスパート、樹妖精。
都市の中の冒険者たちの多くが、その脅威を再確認し、恐怖した。手に持つ武器を捨て、逃げたいと足が震える。上級冒険者も、街を救ってくれと、祈るように手を合わせる。
――――ただ一人と一匹。ユキとハルだけが、愉快そうに笑っていた。
「でも、いいんですか?その力を使えば最後、平穏とは程遠くなりますよ。」
「いいさ。これは俺とおやっさんとの『約束』だから。」
「そうですか。なら私から言うことは何もありません。―――ただ、主様の望むがままに。」
「――――ありがとうな。」
もう、会話は必要ない。覚悟は、既に決まった。
ユキは自らの刀―――『霊刀 天之白雪』を鞘から抜くと、地面に突き刺す。
これより振るうは呪いの力。禁忌の力。
誰よりも忌嫌われ、かつて己の故郷を滅ぼし、母を殺した。
世界すら侵食する、あってはならない力。
一度、振るえば取り返しの尽かぬ、不可逆の力。
叶うなら、いつか――――――この力を否定する者が現れますように。
「殺しなさいッッッ‼」
「ギュアアアアアァァァァ‼」
「ブギーッ」「ウラォォォォ!」「オ、オオオオ」「クリィィィヤヤアァァァア」「シュワ―――」「ズギャギャギャギャギャ!」「プルプルプルゥゥゥゥゥゥ」「ダー」「オーーーーーーーン」「ガガガガガ」「ダビリャリャリャゥゥゥゥ」「アアアアアアァァァァァアアアアア」「フゥーン」「ララララララア」「ピピピピピ」「ウウウウウウオオオオオオオウォォォォォォ」「フォフォフォフォフォフォフォf」――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「【白く凍える孤独の王】」
―――――――そして全ては白く染まり、凍り付いた。
魔物も、ギガントモールも、樹妖精も、一切の例外なく、漏れもなく――――噴き出した冷気に為すすべもなく―――――ただ等しく、溶けぬ氷の中へと消えた。
こうして5万体の魔物による侵攻は――――――冒険都市側の勝利で終戦した。




