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白龍伝説 ~転生した俺は白き龍となり世界を救う~  作者: 鳥之羽
第一章 冒険都市アドミレス編
10/25

第九話 初依頼

「より詳しく世界観を知りたい!」「よく意味の分からない単語がある。」「エールベンて誰だよ。」

などなど思ってくれた方は「白龍伝説 ~知恵の塔~ 」もどうかよろしくお願いします。(エールベンさんの出番は相当後の予定だけど・・・)


「ふぁ~~~~。よく寝たわ。」


 ユキはベットから体を起こし、寝ぼけ眼をこする。そして寝ている間もつけていたマフラーを整えると寝ていた刀を腰に差し、外にでる。


「--あっ!ユキさん。おはようございます!」

「あぁ、おはよう。テミスレーナさん。」


 外ではテミスレーナが、魔術でだしたのであろう水の玉で顔を洗っていた。


「テミスレーナさん、随分と早いけど·····寝つき悪かった?」

「え?·····あぁ、いえ。日課で元々朝は早いんです。」


 そういうとテミスレーナさんの周りにカラフルな色の光の玉が集まりだす。


「········そ···っか。」

「--?ユキさんはこれが何か知っているんですか?」


 ユキの納得顔に逆にテミスレーナの方が首を傾げる。


「あぁ。ほら。エルフの知り合いがいるって言ったでしょ。」

「--!そうでしたね!」


 ユキの返答で疑問顔から一変、笑顔になるとカラフルな光の玉に意識を向ける。すると玉の光量が上がりテミスレーナの美しさも相まって幻想的な雰囲気が出来上がる。


 これはエルフ特有の儀式とも言うもので使役している精霊と語り合い、その親交を深める、という物である。


 精霊とは自然に存在する「意識を持った魔力」とも呼べるもので、唯一エルフだけが精霊と交信し力を借りることが出来る。


 精霊の力を借りて行使する魔術は精霊魔術と呼ばれ、エルフだけの扱える種族魔術として有名だ。精霊魔術は普通の魔術に比べて魔力の燃費と威力が各段にいい為、魔術の上位互換とも言われている。


 だが実際は意外と弱点や扱いの難しい点もあり、決して精霊魔術は最強という訳じゃない。


 その一つがこの儀式だ。精霊魔術は術者が精霊に命令する訳でも無ければ、術者が術を使う訳でも無い。精霊に力を貸してもらって術を行使しているのだ。だからエルフは常に精霊と親交を深める努力を怠らないのだ。


『ふふふっ。ファル君は本当に精霊が好きね~~』

「·······っ!」


 ユキはしばらくテミスレーナの儀式を見ていたが、しばらくすると顔を背け、再び家の中に戻ろうとする。


「ーーあっ。ユキさんっ!」

「······なんですか?」

「えっ·······い、いえ。その今日のご予定など···」


 テミスレーナは慌ててユキを呼び止める。すると思っていたよりも冷たい声音で返答をされ、たじたじになってしまう。ユキの見えない顔が無性に怖かった。


 しかし、ユキは大きく深呼吸をするとテミスレーナの方を向き笑顔で答えた。


「今日は冒険者ギルドへ行こうと思ってます。少しはお金稼がなくちゃいけませんからね。」

「·······」


 簡潔に答えるとユキはさっさと家の中に戻っていってしまう。その態度は昨日と同じに思えたが、テミスレーナは心の距離を感じずにはいられなかった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「あ·······」

「·········」


 ユキが家に入ると黒い獣の耳と尻尾をもった男が椅子に座っていた。


 ちなみに昨晩は結局ユキ達はアンリ、ボロス邸にお世話になった。アンリ、ボロス邸は城壁のすぐ傍に建っている、そこそこ大きな家だった。大きいとは言っても貴族の屋敷という程では無く、大きめの一軒家というくらいだ。


 家の広さ的には6人くらいなら楽に暮らせるほど広いが、話を聞くにこの家にはローク兄弟しか暮らしていないらしい。なら何故ユキ達の眠れる分のベットがあるのかが謎だが、そこまでは聞いていなかった。


 ちなみにこの話はアンリから聞いたもので、ボロスは昨日アンリに殴り飛ばされて気絶したっきり昨日は起きてこなかった。


「えーーとぉ·······。ボロス···君?」

「·····お前に『君』呼ばわりされる筋合いは無い。」


 確かに。

 ユキは心の中で密かに思った。


「じゃあなんと呼べば?」

「···普通にボロスでいい。」

「あ、はい。じゃあボロス。今夜は泊めてくれてありがとう。」

「·················チッ」


 どうやらボロスはユキ達のことが心底気に入らないらしく、素直にお礼をされるとあからさまに不機嫌な顔になった。


「えっと·····ボロスは冒険者なんですよね?」

「········」


 ユキはどうせ暇だし、とボロスの正面の椅子に座ると、笑顔を心掛けて話掛ける。しかし、ボロスはそっぽを向いたまま返事をしようとしない。


「俺も昨日冒険者になったんですけど、なんかアドバイスとかあります?」

「··········」


 無反応

 これはダメか、とユキが諦めかけた時、遂にボロスが口を開いた。


「お前のような()()が冒険者になれる訳ないだろう。」


 それは、ユキに対する挑発だった。


 カチンッ

「ほ、ほ~う。雑魚ねぇ····。昨日は俺の殺気にびびっていた奴が言うねぇ!」


 カチンッ

「あ゛ぁ!?誰がびびっただと!?」


「お前だよ。お前!ちょ~と殺気放ったら耳と尻尾がビクビクっとしてたぞ!」

「ハッ!それは警戒と言うのだっ!そもそも俺の槍をかわすことも出来なかった雑魚がっ!」

「それは、お前の槍なんか効かないからだしぃ~」

「嘘つけっ!お前こそ驚いていただろうがっ!」


 ユキとボロスの口論は少しづつヒートアップしていき、その声は周囲に響き始める。


「ど~したんですかぁ·····」

「ユ、ユキさん!?な、何しているんですか!?」


 寝起きのハルはまだ半分夢の世界にいて、外で例の儀式の続きをしていたテミスレーナは慌てて部屋に駆け込みんできたが、二人の言い争いは終わらない。


 どうしようか。そんなことをテミスレーナは考えた。······が、


「······お兄ちゃん?」

「·····!?」


 しかし、アンリが寝間着姿で部屋から出てくると、ボロスは急に静かになった。


「アンリ。体調はいいのか?」

「ふぇ?····あ、うん。大丈夫。いつもより調子いいくらい。」

「·······そうか。」


 すると目にも止まらない速さでアンリの元へ行くとアンリに体調を聞く。アンリはまだ少し寝ぼけている雰囲気だが質問に対してハキハキと答えた。


「ん···あれ?···········あぁ!?そ、そうでした!お客さまがいるのでした!?え、えっと、えっと、こ、こういう時、ど、ど、どうすればいいんですか!?すみませんっ!すみませんっ!」


 そこで初めてちゃんと目が覚めたのだろう。アンリはユキ達が視界に入ると突然慌てだす。


「アンリさん。取り合えず落ち着いて。」


 ユキはアンリに優しく話掛ける。·······が、


「きゅうぅぅぅぅ」

バタン

「······え。」


 至近距離でユキの顔を見たアンリは許容オーバーしてしまい気絶してしまった。


「え?え?······いや、ちょっと待って。今の俺が悪いの!?待って、テミスレーナさん。そんな目を向けないで!?おい、待て。ボロス。その槍しまえ。落ち着けって、な?だからその槍構えないでっ!」


 ボロスの身体に昨日も見た黒い痣が浮かび······



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「納得いかねぇ····」


 ユキ達はボロスによって強制的に家を追い出された。


「「··········」」


 テミスレーナとハルも不満顔だ。


 テミスレーナは昨晩、少しだけだがアンリと話しており、初めて出来た対等な話相手に今日も楽しみにしていたから。


 ハルは単純に朝食を食いっぱぐれたから。一応昨晩、夕食はご馳走になったのだが、朝食も楽しみにしていたようだ。


 ちなみにハルは昨日からの食事で完全に人間の料理という文化に心を奪われてしまい、アンリによって餌付けされていた。お前、それでいいのか、三大魔獣。


「さ、さてどの建物に行けばいいんだっけ?」


 そう言ってユキは昨日スウィーから受け取った教科書サイズの本を懐から取り出した。


 ここ冒険都市は冒険者の冒険者による冒険者のための街だ。冒険者の数も他の街とは比べられないほど多く、作業の円滑化の為、施設は用途別にそれぞれ存在している。


 初心者用······はさすがに存在しないが低級冒険者用の建物は存在する。低級冒険者が間違って上級冒険者用の建物に足を踏み入れようものなら先輩冒険者から手酷い洗礼をうけることだろう。


「はい、は~~い☆おっはよー♪」


 しかしユキが低級冒険者用の建物へ向かおうとしたその時、目の前の石畳が歪んだかと思うと水色の髪をした見た目10歳くらいの女の子が生えてきた。


「·······はぁ。なんか用ですか?」

「うんうん♪ユキ君、嫌そうな顔するねー☆」

「········」


 朝からまた面倒事かと嫌な気分になったユキにスウィーがウザ絡みする。もはやまともに返答する気すら失せた。


「ハハハ☆まっ、いいけどね♪今日は君達にやってもらいたいことがあって来たんだ☆」

「······やってもらいたいこと?」


 スウィーの発言にユキは首を傾げる。


 やってもらいたいことがあるならこの街の冒険者にやってもらいばいい。ユキ達の力、いや、たとえハルだけでも一線級の戦力ではあるが、()()()()()()()()()()()ならこの街ならいくらでもいるはずだ。


 それに何より今のユキ達には信用が無い。ユキ達は出身地も不明な完全な不審者だし、テミスレーナも王女ではあるもの、それはあくまで本人の言葉だけで証拠は無い。


 本来なら冒険者になれすらしないのだ。それを指名依頼?普通はありえない。


 だがありえないならありえないなりの理由があるのだろう。


「立ち話もなんだし、詳しい話は中でしようか♪」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「で?どんな依頼なんですか?」

「君達に頼みたいのは~~これ♪」


 そういってユキ達の前に出されたのは一枚の紙。そこにはでかでかと『アイルベット大森林調査依頼』と書かれており、その下には『ウィラ銅貨五枚、成果に応じて報酬上乗せ』と書かれている。これが依頼の報酬だろう。


 ちなみにこの世界の通貨はウィラ硬貨というもので完全に統一されている。


 これは過去に存在したウィラという人物が作り出した硬貨で、凄まじい技術力で作られており絶対に複製が不可能なうえ、本物のウィラ硬貨かどうかが簡単に分かる仕組みが施されている。


 そのためこの世界では国毎に両替するなどは必要ないという利点がある一方で、景気操作などが困難などの問題も存在している。


 ちなみにウィラ石貨、ウィラ銅貨、ウィラ銀貨、ウィラ金貨、ウィラ虹貨の5種類があり、順々に価値が高い。そしてウィラ銀貨一枚で一日の生活費というところだろう。


 ウィラ銀貨一枚はウィラ銅貨十枚分の価値なので、この依頼だけでは一日の生活もままならない。


 しかし冒険者の基本収入は素材の売却である。上位やベテランの冒険者になれば依頼の報酬が爆発的にあがるが、下級の冒険者は信用が無いため依頼だけで食っていけるほどの依頼は滅多に無い。


 むしろ昨日冒険者になったばかりの十級冒険者であるユキ達にとって言えば十分高い報酬であると言えた。十級冒険者の依頼の報酬の多くはウィラ石貨と言えば、その高さが分かるだろう。


「問題は何故俺らにこの依頼を任せるのか、という点だな。」


 ユキは、わざとスウィーにも聞こえる程度の声でそう呟いた。


 何度も言うようだが現在ユキ達には信用が無い。


 そしてこの街は利益云々という話を抜きにすれば、隣にあるアイルベット大森林の脅威から人間を守る為に存在しているのだ。この街にとって魔境の調査依頼は正に生命線。


 それを、信用もさらに言えば経験も無いユキ達に任せるというのはおかしい。そもそも調査依頼というのは異常を感知できて初めて意味がある。元の状態を知らないのでは異常も分からないのは当然だ。


「うんうん♪不思議に思うのは当然だよねっ☆ちゃんと理由は説明するよ♪」


 ユキの態度にたいしてもスウィーは相変わらず子供らしい笑顔を浮かべたまま疑問の答えを口にする。


「まず、一つ目は君達の戦力を望んでさ☆ちょっと事情があって今この街の最上位冒険者は出払っていてね。普通の上位冒険者にも依頼して調査してもらっているんだけど、森の最奥に行くにはちょっと実力不足でね。」


 そういうとスウィーはわざとらしく溜息をついた。


「俺たちにその最奥へ行って欲しい、と?」

「ま、そういうこと♪九尾のハルちゃんは勿論、君もそれくらいなら余裕でしょ☆王女様は······ちょっとわからないけど、別に嫌なら街に残ってもらってもいいしね♪ほら?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()♪」

「っ!?なんで知っているんですか!」


 テミスレーナはスウィーの言葉に驚きを隠せなかった。


 しかしスウィーは笑顔を崩さず、そのまま答える。


「それは、ほら。昨日もユキが言ってたと思いますけど、この街は(スライム)そのものなんですよ?この街の中で私に知らないことはありませんよっ☆あ、でもさすがに家の中までは見てないので安心してくださいね♪」

「そういうことじゃなくて·······」

「――もしかして『何で見てたの?』てことですか?ハハハッ!それは見るでしょう♪()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「·······っ」


 テミスレーナはそのもの言いに唇を噛みしめるが何も言い返すことが出来ない。ユキはその光景を見て溜息をつくとスウィーに言った。


「はぁ·····。あんまりいじめないであげてくれますか?」

「ハハハ♪ごめんごめん☆えーと、で、何の話だっけ?」

「俺たちに最奥へ行けっていう話ですよ。」

「ああ!そうだったね☆で?行ってくれる?」

「それは、まぁ、いいとして。一つ目がある以上、二つ目があるんですよね?」

「あっ!危ない、危ない。忘れる所だったよ☆おーい、入っていいよ~」


 ユキの指摘にスウィーは思い出したとばかりに手をポンッと叩くと、扉に向かって呼びかける。


 ガチャリと音がして入ってきたのは一人の男だった。というか······


「またお前か······」

「こっちのセリフだ。」


 今朝話したボロスだった。どうやらかなり不機嫌のようである。


 というのも仕方ない。彼は今朝倒れてしまった妹の看病がやっと一段落ついた所で至急の呼び出しを受けたのだ。誰だって不機嫌になろう。


「今回の依頼は君達とボロス君に行ってもらいます♪」

「「嫌です」」

「ハハハッ♪仲良しだね~☆」


 スウィーの言葉にユキとボロスは声を合わせて否定するが、スウィーを余計笑わせるだけだった。


「まっ、別に冗談でもなんでもなくてね?さっきも言ったけど、今、ユキ君達はお世辞にも信用出来るとは言えないよね?だから依頼を受けるにしても監視は必要だと思うんだ☆」


 スウィーの話はこうだ。


 スウィーの推薦で冒険者になった以上、ユキ達に問題を起こされるとスウィーが困る。だから依頼を受けるにも監視が欲しい。


 しかし、半端な監視ではいざという時簡単にやられてしまうだろう。それこそボロスのような、それなりの戦闘力が無ければ対応出来ない。


 だが、最上位冒険者が街にいない以上、上位冒険者を遊ばせておく余裕はこの街には無い。それを抜きにしても今この街は、()()()()()()()()()()ので大変なのだ。


 だったら、ユキ達も含めてまとめて調査に行ってもらおうということらしい。


「う~ん。話は分かりました。みんなはどう?」

「······私は大丈夫です。」


 事情を聞いたユキはそういうことなら仕方ないと納得し、テミスレーナとハルにこの依頼を受けるか聞いてみる。テミスレーナはさきほどのやり取りがまだ納得いっていないようで不機嫌ではあるが、首を縦に振った。


 一方、ずっと静かにしているハルだが······


「すぴーー」


 ············ぽいっ


「依頼受けます。」

「ハハハ!ボロス君もいいよね?」

「·······ギルマスがそう言うなら仕方ありません。」


 ボロスは凄く嫌そうな顔をしながら、けれど何故かスウィーには逆らえないようで渋々頷いた。


「でも調査依頼って具体的には何するんですか?」

「細かい所はボロス君が教えてくれると思うけど···。そうだね、これだけは。『この街の脅威になる何か』は見逃さないでね☆」

「『脅威になる何か』·····?」


 スウィーのあまりに曖昧すぎる言葉にユキは首を傾げる。


「さっさと行くぞ。」

「え?······ちょ、待てよ!」


 しかし、スウィーに聞き返す前にボロスがさっさと行ってしまう。置いて行かれる訳にはいかないとユキとテミスレーナは慌ててボロスの後を追った。


「頑張ってね~♪」

ガチャン


 スウィーはユキ達が出て行ったのを確認すると背もたれに体重をかけた。


『随分と王女様に冷たいじゃないか』


 するとまたも虚空から声が響いてくる。ミレンだ。


「そうしてるつもりはないんだけどね~☆」

『では、無意識のうちに、というやつか?』

「ハハハ♪どうかねっ☆」


 前回、同様スウィーとミレンは二人(ひとり)で会話をする。しかし、ある程度話したところでスウィーの顔はいつもの子供の笑顔が消え、真剣なものに変わる。


「で?ミレン君。なんか手掛かりあった?」

『いや、残念ながらそれらしい情報は無いな。』

「そう······か···」


 ミレンの報告にスウィーは難しい顔をするが、すぐに真剣な表情に戻る。


「やっぱりユキ君なのかな?」

『現時点では分からないが怪しいことは確かだな。』

「でも彼だとしたら()()とは少し違いすぎる。まぁ、取り合えず引き続き監視をするしかないね。」


 スウィーはそう言うとテミスレーナの衣服に付着させておいたシンクロスライム(身体の一部)と意識をつなげる。


 シンクロスライムは二体一対のスライムで、スライム間で見ている映像、音、感覚などを共有できるスライムだ。攻撃力も防御力も無いうえ、片方が死ぬともう片方も自動で死ぬので第十級に分類される雑魚中の雑魚魔物だが、諜報に便利だ。


 そうしてスウィーが意識を共有すると、そこには·····


 ハルとユキが喧嘩していた。


 どうやら、先ほどギルドの窓から投げ出されたことにハルが怒り、話し合いの最中に寝てる方が悪いとユキが言い返しているようだった。テミスレーナは、その光景を慣れた風景のように端から見ていた。


 ボロスはいないようだが、スウィーが急に呼び出したから荷物でも家にとりに行ったのかも知れない。


·········


「監視·····しなきゃダメかな?」

『··········』


 執務室に沈黙が下りた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ボロス、結局俺らは何すればいいの?」


 ユキ達一行は準備もほどほどに早速アイルベット大森林の中へと入って行く。しかし、そこでユキは結局自分達は何を調査すればいいのだろう、と思いボロスに尋ねた。


 ちなみにユキは基本的に誰にでも敬語を心掛けているが、今更ボロスに対して敬意を払う気が置かず敬語で話すのを止めた。


「基本的には魔物の増殖だな。他にも強力な魔物が生まれていないか、などだ。」

(意外に普通教えてくれるんだな)

「まぁ、お前はただ俺についてきてればいい。」

(でも一言多いな·····)


 ユキはボロスの言い方にイラついたが文句は言わないでおいた。方向オンチのユキは森の中で置いてかれると困るから。


「凄い量の樹木ですねぇー。私初めて見ました。」


 テミスレーナは、生まれて初めての森というものに感動していた。


 ちなみにテミスレーナは、今、冒険者らしい動きやすい服を着ており、腰には護身程度の短剣を持っていた。


 本来魔術師は魔術書または杖を持つものだが精霊魔術には両方とも必要無い。精霊魔術に必要なのは精霊だけなのである。逆に言えば精霊がいない所では精霊魔術は絶対に発動できない。(そんなところほとんどないが)精霊魔術が普通の魔術よりも優れている部分である。


 またハルはテミスレーナとあった時と同じようにユキの頭の上に居座っていた。今は起きているが暇になったらそのまま寝てしまいそうである。


「ん?」

「あれ?」

「ふみゅ?」

「どうしました·········え?」


 しかし、そうはならなかった。


 ボロスとユキとハルはいち早く異常に気付き、テミスレーナも一足遅く使役している精霊に教えてもらう。


「あ、あの、精霊さんがこっちに大量の魔物が来るって········」


 そしてテミスレーナは精霊に教えてもらったことを全員に伝えるが、当然それは他の三人も気づいており既に臨戦態勢だ。


 そして······


「来るっ!!」


 ユキが掛け声をかけると同時、四方八方からユキ達に魔物が襲いかかった。


 長い······ホントに無駄に長い戦いが始まる。





やっと戦闘シーンに入れるぅ~~~~!!

おっしゃぁ頑張ろう!!取り敢えず知恵の塔のほうを書かなきゃだけどね。

でも初、戦闘シーンちゃんと書けるか不安だわぁ。暖かい目で見守って下さい。

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