アルフォンス・フォン・ヴェルティガ
ハッキリと、前世の記憶だと認識したのは2才の時だった。
前世の記憶を思い出した時は現状が夢かと思い、色々と戸惑うこともあったが「まぁいっか~」と気楽に現状を楽しむ事にした。
で、この現状が夢で無い事は分かったのだが、という事は前世の自分は死んだって事?
最後の記憶がバスツアーで前日徹夜してたのでバスに乗ってすぐ寝たのだが、もしやそのバスが事故ってた?
寝てる間に死んでたとなると、ある意味幸せ者?
でも、確か20人ほど乗ってたけど他の乗客もこっちに転生してるのかな~?
まぁいっか
「・・・ま」
「・・・様」
「アルフォンス様~!」
「うぉ」
「何ぼ~っとされてるのですか 今は算学の勉強中ですよ問題は解けたのですか」
声をかけてきたのは、王国学院の講師をしているハルザー子爵だった。
「問題全部解いてるよ」
そうアルフォンスが答えると、
「本当にですか」
「答え合わせしてみたら」
これは中等部の子でも30分はかかるのに ぶつぶつと言いつつ答え合わせをしていくハルザー子爵だったが唖然とした表情で
「ぜ、全問正解です」
「じゃあ、騎士団のとこに行ってもいいよね」
「はい、本日の座学はこれで終わりで結構です」
じゃあね~ と言葉をかけて部屋を出ていくアルフォンスを見送りながらハルザー子爵は、もう少し難しい問題にすべきでしたね しかし流石神童と言われるだけの事はある など一人納得しているのだった。
数日後の夕刻、王は執務室にてアルフォンスの教育役から報告を受けていた。
「はっきり言って座学に関して教える事がありません 王子殿下は天才を通り越しております」
隣にいる近衛騎士の男は、きっぱりと言うハルザー子爵の言葉に頷きながら
「剣技も剣術も5才児とは思えませんな~ 体術もどこで覚えたのか使えますし、武の面においても問題ありません。」
「模擬戦でもしたのか?」
王の言葉に近衛騎士の男は
「当然のことながら実戦はまだですが、模擬戦レベルでは新人の騎士では勝てません。」
「そんなにか」
「学力、知識では宮廷魔術師クラスと考えても良いかと」
「言い過ぎではないのか」
「いいえ陛下、アルフォンス殿下は既に第5階位魔法も使えます。」
「我が子ながら末恐ろしいの~」
「お言葉ですが、殿下は力を無為に使用したりしませんし配下の騎士や侍従達からの評判は大変良いのです、それに王都の民からも絶大な人気を誇ってますから」
「どういう事なんだ」
近衛騎士の男とハルザー子爵はお互いを見て頷き申し訳なさそうに
「実は、アルフォンス殿下が城を抜け出して城下に出没しているという話が・・・」
「なっ 本当の話か」
「はい、城の出入りの商人からの話ですと空を飛んでるとこを目撃したとか」
「荷馬車の車輪が壊れた時に魔法で直してくれたとか」
「新商品の開発にアイデアをもらった商人もいましたな~」
「そういえば、王都で流行っている食べ物も殿下のアイデアと言う話も聞きましたぞ」
次々に出てくる王子関連の話に王は開いた口がふさがらない状態になっていた。