第九十五話 私用で使用してはいけません
何度目のミスだろうか。済みません。修正を忘れて投稿してしまいました。今、新人賞に投稿しようと、推敲している原稿があります。それの作業やら何やらでミスが多発していますが、ご了承して頂きたい。
「話を戻そう。世界再編事象の起爆剤や要因の特定は出来ていない。そもそも、何が原因で起こるか解明されていないからな。当時の少な過ぎる資料で、よくやっている方だとは思う。私の調べた情報で、過激派思想の人類と言ったな。目星を付けたのだが、如何せん数が多くて困る。そこで君の出番だ。少し探ってきてくれないか?何、君に調べてもらいたいのは犯罪組織だ。潰して貰っても構わん。今すぐにとはいかないが、道具や装備の補充、改造に機器の追加をしてからで良い。どうだろうか?」
これが彼の話し方なのだろう。矢継ぎ早に言葉を発するが早口ではないため、聞き取り理解は出来る。しかし、こちら側が話すタイミングが無いのだ。彼が質問を投げ掛ける瞬間しか。
「分かり、ました。受けますよ。その代わり」
「ああ、私の研究室兼工房は、使用して貰っても構わない。君のガレージも近くに移動してある。好きに使い給え。ただ、何時もの様に、鍵付きは弄らんでくれ。何か必要な物があれば、私の権限が及ぶ限り手を貸そう」
言いたい事が言われてしまった為か、少々拗ねたようだ。要求を通そうとしたのに、それが既に実行されている。楽ではあるのだが、釈然としないのだろう。それが言葉の端々から伝わってくる
「ありがとうございますー」
「心が籠ってないが、その言葉は受け取っておこう。私も君が担当しない者は情報収集をしておく。何、侮って貰っては困る。これでも何千年かは生きた身だ。君より手札が多い自信は有るぞ?まぁ、私自信に戦闘センスがないから、他の者頼りになるがね。あぁ、君は知らなかったか。ふむ、そうだな。少し覗いていくと良い。君にとって有用ではないかも知れないが、何、知っていて損はあるまい。少し付き合ってくれ。無論、ビース君も来給え。悪いようにはせんさ」
やはり彼には人と価値観が違うのだろう。一人で物事を決め、相手に考える余地を与えない。…詐欺師の常套手段だろうか。それでも、お世話になっている相手だからだろう。朧谷は多少苦い顔をしたとは言え、話さずに付いて行く。ビースは言わずもがな、情報を分析するために追い掛ける。
「GMS7、少々実験場を使いたいのだが、良いか?ああ、場所は開けている方が良い。地下でも良いが、耐久性が高ければ高い方が良い」
『少々お待ち下さい。検索中…。現在、該当する場所はショウロウ教授及びマッティア教授が使用中です』
「ふむ、そうか。いや、ショウロウは兎も角として、マッティアは使わんだろう。あいつは何の為に使用している?」
『マッティア教授は、久方ぶりに空を飛びたくなりましたっ!と。趣味ですね』
「そう、か。確かに、飛行制限が在るせいで自由には飛べない。しかし、実験場を使う話でもないだろう?街中の広場でも使えば良い。許可を取れば使えるのだしな。何か話してなかったか?」
『唐突だそうです。予約も有りませんでした』
アルマンドはその色白な頬を引き攣らせる。そして、そのマッティア教授の行動に対し、二の句が継げないようだ。何とか思考を再開しようと声を出すも、彼が先程から使っている言葉ではない。聞き取れはするが、こちらは彼の話している言葉自体を知らないので分からない。
「…少し、取り乱した。彼が私用目的ならば、我々は特段使用しても構わないか?」
『はい。乱入に関して、マッティア教授は何も仰っておりませんので。寧ろ、お灸を据えて頂きたいです。幾ら教授資格を持つとは言え、共有実験場を私用目的で使うのは憚れますから』
「ああ、確か研究施設のAIは、案内と物品管理の仕事以外は出来なかったのか。そうか、私に出来るならやろう。丁度、家のエースがいるしな。私自身の力が不足しても大丈夫だ」
「え?」
自分の意思に関係なく物事が決まり、唖然としている。話を聞き流していたようで、事態を飲み込めていない。ビースから話の内容を聞いて理解したが、それ故に身長の低いアルマンドへと掴み掛かる。体格さによって、アルマンドが浮かび上がる程だ。
「何勝手に物事を決めているんですか!」
「君なら実力的に問題ないだろう?それに、最初は私がやるしな。そこで方が付けば問題はない。ああ、手を離してくれないか?服が食い込んで痛いのだ。おっと。格闘戦は苦手とは言え、私には私なりの戦い方がある。近づかれれば一巻の終わりだがね。ハハハハハハ!」
「わ、笑い事ではないよな?それに、空飛ぶ相手は苦手なんですけど」
「何、マッティア教授は相性的にも悪くない。ショウロウ教授やクロノ教授なら話は別だがな。特にクロノ教授との相性は最悪だ。二度と手合わせをしたくない。あの血は魅力的なのだかね」
「師匠と手合わせをしたんですか?無謀ですね」
「いや何、戦うなら血をくれると言われたのだよ。私にとって血は嗜好品でしかなくなったが、強力な因子を取り込むのは有用でね。あの教授の血は至高なる竜だ。物欲が略無いと言っても良い私でも、欲しくなる代物だぞ?あの飲んだときの多幸感は忘れられない」
「今の言葉の一部を抜き取ったら、変態発言ですよ」
「おや?私に何の用だ?」
後ろから音を立てずに、一人の女性が現れた。黒い翼や尻尾、角が生えている。腰には剣を佩いており、背には槍を背負う。ただ、服装は珍妙だ。青い袴と着物を着て白衣を羽織っているからだ。
「貴様は我と手合わせをしたいと?フッ何時でも受けて立つぞ。貴様との手合わせは楽しいからな!ん?何だ、弟子も居るではないか!久方ぶりに稽古を付けても良いぞ?ん?」
「え、遠慮しときたいです。はい」
「何、遠慮する事はないぞ。貴様の腕が鈍っていないか確認もしたいしな。GMS7!実験場は開いているか!」
『現在、該当する場所はショウロウ教授及びマッティア教授が使用中です。マッティア教授は、久方ぶりに空を飛びたくなりましたっ!と。趣味ですし唐突です。予約も有りませんでした。そして実験場を修練場にしてほしくはないです。すみませんでした。はい』
「あ?チッ。ちと締めてくるから其処で待っとれ。何、一分も掛からん」
案内AIを謝らせる程に怒気を強め、クロノは外に在る実験場へと殴り込みに行った。その後ろを、アルマンド達が追い掛けて行く。彼女の心配よりも、施設の方を案じての行動だろう。




