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龍人な少女の召喚記~一人一人が主役な舞台の世界~  作者: スカイア=ライメト
第三部:建国編 第一章:傍観者足る過去の映像
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第九十四話 対象事象WR

「これで全部か?」

『肯定。但し機械化された者は記録の保持が出来る為、破壊を推奨』

「そうだったな。死体は…別に放置で良いだろう」

 太腿に固定していた拳銃を取り、数発敵の頭部に撃ち込む。ビースも機関銃であるが、同様の行動をした。両者とも念を入れている。

『行動の是正を推奨。魔導技術研究院及び魔導大学の上層部に対し、印象が悪化する恐れがあります』

「チッ。機械化した奴は、ジャンクパーツにでも使えるか。生身の奴は・・・燃やすか」

 男の言葉以外は前触れもなく火が上り、生身の構成員を炭になるまで燃やしていく。機械の方はビースが元に戻った姿に入れていくが、どう見ても入り切らない量だ。一方の鴉狐たが、上空で街を眺めたり先の戦闘を見ていた。彼が観戦者でしかないためか、一種の娯楽として考えているようだ。画面の中や彼の仲間が繰り広げるような戦闘をしていたせいだろう。

 男がバイクに乗り、また走り去る。その時点で次の場面へと変わっていく。今度は超々高層ビル群地帯を抜け、様々な様式の建物が乱立する地帯に着いた所だ。その場所は壁で囲われており、何かしらの広大な敷地である事が窺える。男は巨大な門の前に止まり、近くの警備室へと声を掛けた。

「すまんが、開けてくれないか?」

『身分証の提示をお願いします。…承認。門解錠。中へお入り下さい。朧谷(おぼろや)様、アルマンド教授から伝言をお預かりしております。朧谷、帰ってきたのなら私の部屋に来い。以上です』

 中に居たのは機械だけで、生身の生命体は居ないようだ。門であっても、巨大な物が動くのは中々に壮観である。男、朧谷はその先へとビースと並びながら進む。

「うへぇ。面倒臭いな」

『発言の是正を推奨。対象者名アルマンド教授は、マスターに助言をすると推測される』

「分かってるさ。何時もお世話になっているからな。でも、それとこれとでは話は別だろう?俺は依頼で疲れてんだからさ」

『解。マスターは識別名称ビースに乗り、移動をした方が良いかと。今回の行動は迅速にした方が、結果的にマスターの行動評価が向上すると推測』

「はいはい」

 朧谷は肩を竦めるも、ビースに股がり走らせる。高速道路での速度とは違い、速さは抑えているようだ。幾つかの建物を通り抜け、彼らが着いた先は如何にも研究所といった外観の、白い建造物だ。それの周りには、垂直型のタービンや集光型太陽電池が稼働している。

 その施設には白く金属質な塀があり、門らしき物が見当たらない。しかし、意匠が違う部分が門のようだ。そこに彼らは移動した。そこを中心にして、塀から光線が出て彼らの全身を走る。

『認証完了。識別番号1277、名称:朧谷慎都及びビース。門解錠。ようこそ。アルマンド教授がお呼びです』

「分かってるさ」

 緑が多い敷地を歩く。彼らの他には、白衣を来た多種多様な種族が居た。鱗や尾を持つ者や肌が青く角を生やした者、体格が他の者よりも遥かに大きい者等だ。そう、人間は居るものの、同じ形をしていない者の方が多い。

「朧谷慎都、帰省しました」

『識別名称ビース、マスターと同じく帰省完了』

 他の扉よりは多少装飾が凝っている場所に着いた。扉の上には所長室と表示されているので、偉い人物の部屋だと分かる。彼らが呼び掛けると、自動で両引き戸として開く。

「よく来てくれたな。全く、学園長殿も困ったものだ。いくらエースと言えど、若者に任せるとは」

「そうですかい」

「ああそうだとも。少なくとも、私の方が君より年上だろう?」

「まぁ、長命種族で幻想種な吸血種と比べたらそうですが。見た目は俺より若いんですけどね」

「仕方あるまい。あまり少ないとは言え、弱点を抱えているしな。さて、雑談はこれまでにしよう。私が呼び出した理由はただ一つだ。世界再編事象は知っているか?」

 教授の言葉が少し以外だったようだ。彼は何時も雑談が長いのだろう。そんな人が話を短くした。朧谷にとっては厄介事であり、凶兆だろう。

「あーっと。概要だけです」

『解。世界が外的要因、内的要因によって創り替えられる事。現代に至るまで既に一回起きています。現状での最有力説は上位存在、別名神が産まれた時ないし神が力を加えた時。何れも上位存在の意図ないし偶然介入した事とされる』

「そうだ。それが起こる可能性は低い。しかし、シミュレーションシステム。オブザーバーによって、低いとされながらも起こると出された。私の方でも調べてみたのだが、過激派思想の人類に寄って起こるだろう」

「っ!?それは、本当ですか?」

「ああ。しかも、君らの世代が生きている時にだ」

 彼は狼狽えた。足元が崩れ去る感覚がしたのだろう。片手を使い、平衡感覚が乱れた頭を押さえている。彼以外は動じてはいない。AIを積んでいるとは言え、機械であるビース。悠久の時を生き、事前に知らされているアルマンド。その一人は話を続け、一つは情報を収集し分析している。

「そう、ですか」

「やはり、君でも堪えるかね?」

「愛着のある世界ですから。独り身とは言え、大切な物は多々ありますし」

「そう言うものか。我々には分からない考えだ」

「それは、そうでしょう。死生観がそもそも違うのですし」

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