第六十話 爆発四散はしますか?
草食動物の群れを潰している内に、中心部にたどり着いたようだ。そこには丘があり、真ん中に洞窟らしきものがある。それが次の階層への入り口のようだ。階段を一歩づつ踏みしめて行くと、眩しい光の先の景色はまたもや草原であった。
だが、先ほどと違うのは魔物が草食系の動物から、雑食系の動物に変わっていたからだ。草食系よりも闘争本のがあるのか、凶暴性が増しているようである。早速、近くに居た大きなネズミが襲ってきた。ただ、群れてはいても草食系よりも数は少ない。…あの群れ等が、異常な数であってのは否めないが。
今回の群れは十匹程度である。だが、それでも厄介なのは変わりはない。しかし、相手の実力不足は否めないだろう。ネズミの肉は旨いようなので、味には期待が持てるだろう。つまり、牛肉やマトン以外の種類が増えるということだ。野菜や魚肉などのラインナップが無いのは、悲しい事ではあるが。
「黒き力よ【召喚術・召喚:黒の武者】切り捨てていいよ」
そんなネズミ肉であるが、鴉狐の召喚獣により切り捨てられ食材や素材となった。だが、一行には休む暇など与えないかのように、次々と雑食系が襲う。
今度はアルマジロの群れのようである。ただし、それは体格があまりにも大き過ぎた。巨石が転がり下るさまを想い起させる。それが壁の様に連なっているのは壮観であり、恐怖である。だが、ただただ相手が悪い。
「いくわよぉ。吹き飛びなさぃ!」
巨人になったルバリアさんの巨鎚による一撃で、一匹が粉砕され飛んだ。比喩でもなく文字通りにだ。トンは有りそうな巨体を、ゴルフをやるように全てを吹き飛ばす。それにより全壊や半壊を多々占める。この戦闘で他の面々が手を出すことは無かった。
「惨状が酷すぎると思いませんか?」
「お前は素材のことしか、考えてないよね?」
「ええ、まあそうですが?」
休憩を挟み進むは中心。この層も次への入り口が、真ん中に有ると予測されたからである。休む暇はあるが、次々と襲ってくる魔物には辟易するが。ここでは雑食系でも主に、平原や草原に生息する動物がモデルのようである。可愛らしい姿の者から、凶悪な姿に変化しているのも居た。
ネズミはネズミでも二足歩行をし、武器を振り回している。短パンを履いている姿は別の意味で危険を感じる。他にも、爪から毒の滴るアリクイや鱗甲板がスパイク状になっているアルマジロ等、実に多様である。しかし未だ上層階であり、レオナさんやアオナガさんからさんざん扱かれた一行には、楽々と突破していった。
順調に進んでいたが、大きな障害に当たってしまった。雑食系の合成獣が現れたからだ。アルマジロの体にアリクイの腕、ネズミの頭の巨体は、今までの厄介特性を盛り合わせたかの様相を呈している。毒に濡れる牙や爪、ネズミの頭部以外はアンキロサウルスを思わせる。毒を纏い、転がる攻撃を仕掛けてきた。
「白き八の力よ【召喚術・召喚:白の武者】防いで!」
「守りなさい。礎とするは土 築くは四つの人の形〝クリエイトゴーレム〟。重ねるのは土の層〝クリエイトウォール〟ッ!チッ削られるのが早い。増えなさい!増やすのは石の層 追加防壁〝アディショナルウォール〟!」
それを鴉狐の〔白の武者〕とネクロのゴーレムと壁で防ぎ、勢いが削がれたそれをルバリアさんが打つ。だが、あのアルマジロのように爆発四散はしなかった。
「硬いわねぇ!追撃に―――ッ!」
それに加え毒の反撃を受けてしまい、防具の大半を失ってしまう。予備の装備はあるのだが、着替える時間はないであろう。
「避ければ問題は無いわねぇ!」
「うわ、脳筋的発想だよね!」
「後で覚えておきなさあぃ。行くわよぉ!」
「ヒェ」
あの装甲には銃弾や斬撃は効かないため、衝撃を与えるルバリアさんが相手をするのが一番いいのだが、装備が壊れている。だがそれでも果敢に攻める。攻撃なぞ避ければ問題無いかのように。
一当て二当てと、攻撃を与えていく内に動きが鈍くなっている。
「〝投影開始 対象 徹甲弾〟〈連続射撃〉ッ!隙間狭くないですかねぇ!無茶言わんといてくださいよ」
さらに装甲の隙間を数が少ない弾種で狙撃し、痛手を負わせる。出血の量がかなり多くなっていくところで、戦闘が終了した。
アイテムボックスに入りきらない大きさであったので、解体行う。その時間を暇な者の休憩時間に当てた。腹ごしらえが済んだところで、移動を開始。先のような魔物に襲われながらも、長時間の間阻む者は居なかった。そして、今度は丘の頂上に入口を見つけ進む。
次の階層も同じようだが、魔物が雑食系から肉食系に変わった以外に変化はない。強いて言うなら凶暴性、残忍性が上昇したことだろう。…製作者の手抜きなように感じるが。気のせいである。断じて考えが無かったとかの理由は無い。
今度は主な魔物は群れではなく、個体として現れる。偶に群れも見られるが、少数派であった。ライオンやサーバルキャット、チーター等が見えた中での種類を占めている。
遅れてしまい申し訳ありません。