第五十七話 怖いのは味方の方
三人称多めです。
迷宮に入場ってね。階層の一番最初は、洞窟みたいだね。この広さだとパーティー戦闘が出来ないねぇ。横に二人が並べるぐらいだからさ。ルバリアさんが前衛でアレクとルクハ、八咫、ネクロが中衛、俺が後衛だね。挟撃はないかもしれないけど、一様ね。備えあれば憂いなしだからさ。
●◆●視点変更●◆●
イベント迷宮の第一階層、入り口から程なくした場所で戦闘が起きていた。イベント迷宮は混雑回避のため、パーティー毎で探索が出来るようになっている。しかし、予め設定をしておくことで、一定の階層に達したら合流しレイドにすることが出来るようになっている。
開幕の相手はゴブリン。種族的な強さは弱いが、猿並みの狡賢い知恵を持つため、注意が必要な魔物である。だがこの迷宮は出来立てのため、身に付けている量は少ない。ただ、子供と同じ大きさのため、閉所の戦闘では梃子摺るだろう。
ルバリアさんの新しい武器の手鎚で戦い、横をすり抜けたのは八咫の短弓で殺されている。他の面々は後方で警戒している鴉狐を除いて、素材の収集に勤しんでいる。何故か、狭い場所では活躍出来ないからである。パーティメンバーは、承知済みなので問題は無い。それに、狭い通路でわちゃわちゃと戦うよりは、ましであろう。
「こっちかしらぁ?」
「うんにゃあ、そっちじゃねぇ。そっちゃあある程度は進める、けどよ行き止まりにぶち当たっちまう。オススメはしねぇ」
「理由はありますか?」
「勘とスキルになっちまう。森の中とは違うからさぁ、間違ったそんときゃ戻りゃあいいさ」
「判断材料が少ないわねぇ。他の人の意見はあるかしらぁ?」
ルクハがアイテムボックスから、レーダー装置が付いてある大型機械を取り出した。地面に置き、ボタンを押すと変形を開始し、四脚のロボになった。それは自律自走型調査兵器、名を調査機弐型と言う。その背部にあるキーボードを操作し、その上に配置してある画面で数値や文字を見ながら言う。
「こちらで調査をしているのですが、迷宮内の情報が足りてないので何とも。サーチャー本機を起動してから、間もないのも原因ではありますが。携帯型の子機は皆さんにこのまま、持ってもらって構いませんよ」
他に声が上がらないようで、八咫の意見を基に進む方向が決定した。
「あらぁ。こちらが正解の道だったようねぇ。データは取れたかしらぁ?」
「十分ではありませんね。数階層繰り返せば、算出可能な分は溜まりますね。ただ状況が変化すれば、また集めなくてはなりませんが」
目の前には下り階段が見える。この先からは難易度が高くなることは自明の理、その分の成果も比例的に上がる。人によっては地獄とも天国とも言えるイベント、このゲームではどの様な体裁なのだろうか。
戦闘も採取も特に見栄えはない。そのため、今は階層主が居る、五階層に着いたところである。そこにはオークが居た。その肉質は豚肉のようで美味しい、と評判のオークだがその体は二メートルに達する高身長の体格が良い魔物の為、その体から予想される膂力は脅威になる。ただこのパーティには、食材のレパートリーの一つに加えられるだけである。その後、メンバーが美味しく頂いたそうだ。
ルバリアさんに頭を叩き潰されて、終わってしまった。その後も順々に進み、十階層に来たところで雰囲気が変わった。階層主はオーガ、筋肉が隆々としており顔も厳つく、見るも者を圧倒させる三メートルをも超える巨躯も特徴である。素材としては皮や角、爪が主な物で肉は筋張ったものでとてもじゃないが、食えたものではない。
それがいる空間は張り詰めた空気で満ちていた。しかし鴉狐が入ってきた瞬間、咆哮をしそれが自らの威圧を消し飛ばしてしまった。だが、その分畏怖が生まれるであろう思惑だったが、その行為よりも恐怖の際限がないアオナガさんの息吹に比べれば、マシである。息を吐くように繰り出される、唐突な攻撃は恐怖でしかない。
ルバリアさんが戦鎚を取り出し、薙ぎ払う。当たりはしたものの、その頑強な皮膚と身体強化により、痛痒に値しなくなっている。八咫が眼球を射ようとするも、手ではたき落されてしまう。サーチャーが内蔵型機関銃を起動させ
「黒き六の力よ【召喚術・召喚:黒の武者】」
と鴉狐が唱え、召喚した〔黒の武者〕に援護をさせた。
「礎とするは石 築くは二つの人の形〝クリエイトゴーレム〟」
それに加え、ネクロの迷宮の壁で作成された、二体のゴーレムが殴り掛かかる。ルクハはスピンコックが出来る銃で牽制をし、アレクは投擲武器で相手を怯ませる。だが、相手も負けずに木製棍棒で殴り掛かるが、接着型の爆弾で破壊されてしまう。
「解析結果が出ました、属性は火です」
ルクハが攻撃中のサーチャーを用いて、属性の分析をしていたようだ。その結果から、水属性主体の攻撃が始まる。
「有利なの俺だけかよ!与えるは水の一撃〝水弾〟!」
「サーチャー、弾種変更【属性弾・水】」
水属性の宿った弾で脳天を撃ち抜かれ、鈍い大きな音を立てたところで戦闘終了となった。
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