第四十七話 喰らい尽くせ
うー頭痛い。ああ、読まねば終わらない、頭が痛くて読む気がまったく起きないね。何てこったい!
「やっほー!元気にしているかな!皆のアイドルレオナさんだよ!」
これは・・・酔ってるかね?
「酔ってる様に見えるだって?そんな時は解毒の魔術を使えば良いよ!〝解毒〟鴉ちゃんにも〝解毒〟っと」
おー!頭が冴えてきたね。こんな感じの生活に密着した、魔術ってリアルでも使いたいなーって思うね。
「『「『「定刻なり 汝が命は尽きた」』」』」
「『「『「時戻し」』」』」
え?何が起こって・・・グ。痛い、痛い、痛い胸が苦しい。
「ガハッ」
「あれ?如何したのよ胸を押さえて」
息が出来ない?何で・・・だろうね。疑似的な死の体験が、不協和音が聞こえて苦しくなるだけで始まるとはね。
「あれ?寝てた?」
一回起きて、鳥頭に会って、部屋にレオナさんが入ってきて。何かが起きた気がするんだよ、寝落ちでもしたかね。
何故か分からないけど、ステータス見たらさ全体的に弱体化していたよ。起きようとしても体が重く感じて動けない理由かね。死亡判定の時為るんだけど、死んだ記憶が無いんだけどね。二日酔いは死亡になるんですかねぇ?
・・・は!?こうしちゃいられない、読まねば終わらぬ。
「やっほー!元気にしているかな!?皆のアイドルレオナさんだよ!最近アオナガに冷たくされて泣きそう」
酔ってる様にしか見えないよ。頬が紅潮してるし、目がトロンになってるし、絡み方がウザいのは・・・今に始まった事じゃなっかたよ。
「酔ってる様に見えるだって?そんな時は解毒の魔術を使えば良いよ!〝解毒〟鴉ちゃんにも〝解毒〟をかけてあげよう。はーすっきり・・・飲み足りないしアオナガを漁りに行こうかしら?あ、鴉ちゃんは解毒の魔術もかけたし読んでよ?魔術本」
テンションの乱高下が激しいからね。仕方が無いよネ!
やっと三分の一終わったかな?だんだん慣れて来たのか読み易くはなってるけど、その分難しくなってるからペースは変わんないって言うね。だけどワクワクしてくるんだよなー。儀式級魔術って音の響きだけで興奮しない?え!?しないって?そんなー
「興奮してないで早く読んだらどうだ?レオナが此方に襲撃してきて厄介なんだがな」
何でさー心が読まれるのかね?
「魔術は使って無いからな?はぁ、終わりそうに無いなら手伝ってやろう。あいつ等は師匠の所に放り込んできたから暇だしな」
お?何をしてくれるのかね?
「そんな魔術を使う事はしないさ。少し紅茶でも淹れてやろう茶菓子もあることだし、な。リラックスでもすれば多少は能率が良くなるだろう」
あれ?この流れは嫌な予感がするぞ?
「レオナに関しては心配しなくても良いぞ?睡眠の魔術で強制的に眠らしたからな。だがそのせいで魔力がゴッソリ消えたがね」
ホヘー
「さっさと読め。そうだな、偽・竜墜剣以外の武器の一つを鳥兜との模擬戦で見せてやろう。これでやる気が少し出ただろう?」
よし、頑張るぞい!いやーアオナガさんの戦ってる姿って、下手なアクション映画よりも凄いからね。
や、やっと読み終わった。どれだけの時間が経ったかは分からないけど、結構経ったと思うよ?アオナガさんが何時の間にか消えてるんだもん。
「やあ!読み終わったと思ったから来たわよ!さあ、アオナガが模擬戦の準備しているから行くわよ!」
あれ?襟の部分が何時の間にか掴まれて運ばれてるぞ?やー服が汚れるー!
「安心して、修理と洗浄の魔術をかけてあげるから。投げ飛ばされるよりかはましでしょう?」
逆に思うよ?投げ飛ばすってどうやるのさ!?
「行くわよー」
「あーれー」
●◆●視点変更●◆●
「宜しく。付き合わせて悪いな」
「いえ、此方こそ。実戦でこそ分かるものがあるので」
「始めようか」
「はい」
五重遺失城壁で客席が守られた場所で向かい合う二人の男。片方はラ〇ザップも驚嘆する変貌を遂げた鳥兜。向かい立つは鴉狐の為と自分の為に一肌脱いだアオナガ・クロノ。
鳥兜は両の手に脱力しながら、機剣を持ち準備をしている。
「〝半竜化〟〝出れ 我が槍よ〟〝複製 開始〟〝穿ち貫け〟〝喰らい尽くせ〟ふん!」
アオナガは四つの詠唱を素早く唱えた。遠目から見ると人の形をした小さい竜に変化し、空中に術式が展開。展開した術式から漆黒の長槍が放たれる。それをアオナガは左手だけで掴み、地面に刺した。
その槍を複製し、投擲の構えをした。複製した槍に、速度を速め飛距離を伸ばし、貫通力と切味の強化をする魔術を付与した。
魔術の付与が完了した直後、掛け声と共に投げた。鳥兜に当たる瞬間、複製した槍は無数に同じ大きさの槍として分裂し、降り注いだ。
「障壁、全力展開!」
鳥兜の詠唱により障壁が展開し、無数の槍を防いだ。だが、安心したのも束の間。加速の魔術を唱えていたアオナガが突き出した槍に貫かれそうになる。
鳥兜は機剣を穂先に沿わせ、貫かれる結末を掠るだけに済ませた。
「はあ!」
裂帛の気合いを叫び、二振りの機剣でアオナガを切ろうとする。しかし、アオナガは後ろに跳び、切っ先を掠らせずに避けた。
「喰らえ」
アオナガはそのまま槍を突き出し、槍から指向性を伴った属性付の高圧にした魔力を放出した。その魔力は黒と白、蒼が入り乱れた光の奔流となって鳥兜に襲った。
「二型障壁、全力展開!」
丸みを帯びた盾の様な障壁で、光の奔流を別ち凌いだ。鳥兜は跳び上がり、足場変わりの障壁を展開し跳ぶ。
アオナガの頭上を周り駆けながら、二振りの機剣の機構を変化させ、機銃にし連続で撃った。
だが、アオナガは手にしている槍で全て剃らした。
「槍弾 全射出」
剣弾の槍版で狙い、障壁の隙間を跳んでいた鳥兜を落とした。
「ふう。■■が■き祝福は ■光の奔流と■りて 光は■れ ■み■■■転し ■■に■■り ■■い■く ■を■■み ■■よ ■■封鎖 ■■封鎖 ■■封鎖 威力■■ 範囲■■ ■■■■■■■■■」
槍から放たれた白い光は、奔流となって鳥兜に襲いかかり、以前の模擬戦と同じ様に障壁が展開し防いだ。そこて今回の模擬戦は終了となった。
アーチャーとランサーの戦いですよ。イメージは。