第十六話 筋肉ムッキムキのムーチョムーチョ
よし、買い物が終わった事だし、ランクアップ試験っていうのを受けてみようかね。
「すみません、ランクアップ試験というのを受けたいのですが」
「はい、確認をするため冒険者カードをご提示してください」
「はいどうぞ」
ファヴ達は何処に預けておこうかね?
「すみません、此の子達を預けられる場所ってありませんか?」
「・・・試験は訓練場で行われるので、そこの観客席に連れてかれるのが良いかと」
凄い「はぁ?何言ってんの此奴」って感じの声だけど、素直に有り難いよね。
「有難う御座います」
「これも業務ですので。冒険者カードをご返却しますので、ご確認ください。後、訓練場への行き方はご存知でしょうか?」
「いえ、知りませんが」
「訓練場に行くためには、あそこの訓練場と書かれた引き戸を開け、真っ直ぐに進んだ先にあります。観客席に行くためには、先ほどの引き戸の先を少し行った処に、観客席と書かれた引き戸が有るので、そこを開き進むと付きます。今、試験官が居るので着いたら直ぐに試験が出来ますよ」
「分かりました。本当、何度もすみません」
えーと、あそこの事かね?訓練場って書かれてるし。
お、あれが試験官かね。・・・何か筋肉ムキムキマッチョでムーチョ、ムーチョのなっがい太刀を装備している漢なんだけど?それに、体脂肪率五パーセント以下にしか見えない、巌のような人だよ?
俺って見た目は、美少女だからプチってやられそうなんだけどねぇ?体格差とか質量差が理不尽すぎません?まぁ召喚術使えば良い話なんだけどね!
「お、お主が試験を受ける冒険者か?女子ではないか」
うるせぇ、落胆の声出してるんじゃねぇよ。良いじゃんか、美少女。
「まぁ、Fランクに足りている実力だったら、文句は無いがな!」
なんだ、見た目が幼いから落とされるかと思ったよ。落胆の声が酷過ぎたからね!是非もないよネ!まぁ、そんな事をやられたら、慰謝料をせびりますがね。
「んじゃ、早速始めるぞ?」
「分かった」
今のうちに出現位置の指定をしておこうか。はぁ、これが一息で出来るように為ったら、もっと出来ることが増えると思うんだけどねぇ。
「ふん!」
「よ!」
相手が大振りだから、隙ができたな今ので。
「【召喚術・召喚:黒の武者】」
一拍おかなきゃ戦闘中は召喚が未だ出来ない!
「【召喚術・召喚:白の武者】」
「くっ!」
ち、避けたか。結構、召喚位置を死角と思う所狙ったんだけど。っと、攻撃を流しながら隙を見つけるとしますか。あ、左から来るな此れは。アブね、今の本気だったぞ。
「おらぁ!」
てか、強いなぁ山賊の比じゃないよ。当たり前か!うわ、掴んできた。
「避けるか此れを」
「試験でしょうが!」
ほんとに何なのこの人?あ、動き止めた。
「ふぅ」
なんだその満足げな顔は、試験だぞ。首狙うぞこら。
「合格だお主。ギルドに伝えておいてやるから、後で窓口に来い」
「分かりました」
●◆●視点変更●◆●
面白い女子が居たもんだな!耳と体格からして長耳族か竜人族、龍人族か。いや、長耳族にはあんな身体能力が高い奴は居ない筈だ、竜人族か龍人族か?だけども、本気の攻撃を混ぜながら打ち合いをしたら、本気のだけを的確に流しやがってなぁ。召喚術も使えるとはなぁ、いやはや久しぶりに滾ったわい。有望な新人が居ると聞いたらいい運動ができたわい!でも何で、観客席に〔竜国〕の王女が居るんだ?
「殿!いきなり飛び出さないで下さいませ。後、角を隠すのをお止め下さい。角は我々にとって誇りでも有るのですから」
「いや、なに。我が感に従ったまでよ。角はまぁ、身バレが怖いしな!」
冷たい目線で見んでくれ。心にグサッとくるぞ。
「・・・仕事、溜まってるのですが?」
「う、うむ。そんなに怒らんでも」
「奥方に監視を頼みますよ?」
い、嫌だ。あれだけは本当に勘弁。
「はぁ。ただ、仕事をしてくれれば良いのです。勝手に抜け出されては、此方に迷惑が掛かるのです。其れがお分かりです?」
「・・・スミマセンデシタ」
「奥方に付いて貰いましょう」(ボソッ)
「何か言ったか?」
「いえ、何も。さぁシャキシャキ仕事してもらいますよ?」
はぁ、身分と言うのは辛いものだなぁ。戦場で戦ってた頃が懐かしいわい。
「早くして下さい。しばきますよ?」