第百六話 ふぉおおおぉおおおお
「お願い出来るかな」
「そうですか!いや失礼しました。では、こちらに付いて来て頂けますか?」
奥に進んで行く毎に内装が凝っているな。細部まで作り込まれているから見応えがある。必要な設備かどうかは分からないけどな。
「こちらがティタンの整備場です。格納庫や試験場が付近にあるので、便利な場所ですよ」
おおっ!格好いい!本当に良いな!語彙が溶ける格好良さがある。ふぅぅぅ!色彩とかも好きだな。全体的に暗い感じがとても良い。長時間見ていられる。
「こちらにはパイロット用の設備もありますが…大丈夫そうですね」
ティタンには劣るけど、巨大な機械が動いているのも良い。溶接らしき行為をしている部分が火花を散らせているのも浪漫に拍車を掛ける。
ほぼ現実と同じ感度で体感できる、ESOだからこその感動かもな。唯のVR映像だったら驚きだけで終わっていただろうし。
この作業場という空間と伝わる熱気が臨場感を出しているな。うん、うん。語彙が溶ける。俺が一番好きなSFに近いだけはある。あのゲームをリメイクか新作を出してくれないかな。多分やり込む。
「あ、鴉さん。パイロットの装備品も選んで頂きたいのですが、よろしいですか?プロトティタン時のスーツでも構いません」
「使いこなせそうにないからこのままで良いよ。でも、あの密着全身タイツ状態は勘弁してほしい」
「でしたら、この頭部用端末と腕部用端末を装着出来る服装であれば、問題は有りません。あのスーツは他の装備品を追加したりする為の下地ですから」
そうなのか。だったら問題ないのかも。どんな形状にもよるけどな。俺の持っている服装の大半は問題ないかも。そんな派手で重厚感のある物は無いのだし。あるのは軽めのコスプレとか私服に和装だしさ。
「先ずは頭部用端末から紹介していきますね。大きさはヘルメット型と眼鏡型があります。大きい方がティタン操縦時や戦闘時のサポートに富みますし、防御力が備わります。眼鏡型はサポート性や防御力を犠牲にして、軽量化と多様な服飾に合うように作りました。どちらにしますか?」
眼鏡一択だな。ヘルメットは格好良いし、ティタンの世界観的にも正しいのだけど合う服が全身タイツか迷彩系の戦闘服だけだしさ。
「眼鏡で」
「分かりました。次に腕部用端末ですが、大型の肘から手首まである袖型パネル。一見すると腕時計に見えますが、空中ディスプレイを展開する腕時計型があります。どちらにしますか?」
腕時計かな。と言うか分かってて言っているし、物品を提示しているよな?自分達の技術力の凄さを伝えたいのだと思う。自慢かな。
「腕時計でお願い」
「分かりました。調整した鴉さん専用の物を部屋に送りますので、見学はご自由にして下さい。整備場は危険な箇所が多いのでご注意を。ヘルメットを被ると良いですよ。戻すときはこの机に置いて下さい」
細部まで見に行ってやる!
「そのヘルメットでは無いのですが。被るときにきがつく気が付く筈ですね。…視界は悪くならない仕様でした」
はて?ヘルメットを被ったらインターフェースが出てきたな。半透明だけど視界の邪魔に多少はなるけど、よりSFらしさが出て良いな!
ふぅ。堪能した。そろそろ終わっている頃かな。戻ろう。来た道は…大丈夫、覚えている。帰れるよな?
「鋼翼さん居る?」
「おや!戻りましたかっ!ご要望の術式、【仙人の霞】ですが調整し終わりましたっ。対象指定を加えたため、術式以外にも呪文も改変しています!内に集めるは中空に漂う力の素 変えては己が使うに能う物【仙人の霞】から、内に集めるは中空に漂う力の素 変えては己が使うに能う物 目掛けるは我に【仙人の霞】となっています!1文挟む事となりましたが、その分対象指定が楽になりました。変える箇所は我ですよっ!」
「対象指定は名前で良いのか?」
「ええはい。基本的には名前で十分代用可能ですとも!その部分も術式に加えているので問題はありませんっ!次いでに興が乗りまして貴女用に調整もしておきましたよっ!ご自身で使うのでしょう?」
となるとこれで、俺のアバターネームを入れれば魔道具でも使えるようになるかな?…魔道具の作り方をアディルさんに聞きに行こう。作り方をそもそも知らなかった。
作れるなら自作したい。でも、作れないなら作ってもらおうか。多分、やってくれると思う。せ、整備の仕方位は知っておきたいかな。
「あ、鋼翼さんはアディルさんの居場所は知っていますか?」
「ええ、勿論ですともっ!あの扉の向こう側で作業していると思いますっ!居ないときはティタン区画か倉庫に居るかと!」
「ありがとうな」
「では、何か用事があればお会いしましょう!」
それは、用事が無ければ来るなって事では?まぁ、確かに雑談する仲ではないけども。…アディルさんを探しに行こうか。あ、そろそろログアウトの時間では?…部屋に戻ってログアウトしなければ。強制ログアウトとか良い物ではないらしいしな。