第百話 さあ、呼ぼうか
記念すべき本編百話目、今回から普段とは違う投稿予定にしてみました。不定期と言ってはいる投稿ですが、ほぼ定期的にあげると言う。まぁ、私の気分になっていますが、ご了承をしてもらいたいです。
あ、完全に忘れてたな。途中までしか使えてないし、アイテムボックスに入れたままだ。遠征用に貰ったバイクだけど、ホークロウに出会ったからな。バイクの速度だと、目的地まで着くのに速度が足りないのだもの。
やはり、あれは可笑しい。大人一人が乗れる大きさと頑丈さで、バイクよりも速いからな。あれを体感すると、ファンタジーだなって感じるよ。
確か、帰ったら状態を確認して、調整をしてもらうんだったな。…道程の大半を使用してないけど、最初の方は使ったし。何なら補充した魔力の七割は消費したし。ま、まあ怒られる事はないだろう。
コンパクトになったバイクを取り出して、鍵を差し込むと展開する。いつの間にか括り付けられていた、メモ書きに書いてあったことだな。そのままだと入らないけど、この行程を行うとアイテムボックスに収まる。ほんと入るサイズの間際を基準にして作ったのか?と思うほどだ。まぁ、便利な事には変わらない機能ではある。
それじゃあ、格納庫に移動して渡すか。ただ渡すのは味気ないな。そうだな…注文を付けたい。戦闘支援とかティタンに乗っていても使える機能がほしいとでも言おうかな。無理なら無理で良いよ?を付け加えれば、実現一歩手前まで頑張ると思う。
「誰か居るか?」
「ええ、居ますよ。要件は…バイクの検査や調整ですね。何か、気になった点やご要望はありますか?」
「今のままでも十分使えるのだけど、戦闘支援とかティタンに乗っていても使える機能があると嬉しい」
「そうですね。時間を頂ければ出来ますよ?」
「ええ!?出来るのか」
技術力が足りなくて不可能かと思った。いや、時間が空いたとは言え、そんな技術力が上がるものか?急な開発は地盤が磐石でないと、成立しないらしいけども。いや、〔竜国〕の協力があれば、無理ではないのか? な、謎だ。生産系に関わっていないから尚更だな。どうなっているのやら。
「勿論ですとも。では、ご要望の通りに調整と改造をしておきます。出来上がり次第ご連絡しますので、受け取りに来て下さい」
「…っああ、宜しくな」
「どうかされましたか?」
「いや、行く前は無理だって聞いていたからさ」
「ああ、そうでしたか。それなら、鳥兜さんのダンジョンが試験運用をしているからですね。まだ手探りの段階ですが、少しずつ資源が増えているので作れる物も比例しています。それに、基礎研究は前々からしていましたし、〔竜国〕の技術をお借りしている為ですね」
なるほど?俺が知らないだけで、進めてはいたのか。一様は納得が出来たかな。でも、〔竜国〕の技術力が高い理由が分からない。これだけ工作レベルの差が他の国とあるのは何故だ?一部は匹敵する様にも見えたけど、ここまでではなかった筈だ。
それに、個人の仲が良いだけの、外部な一組織にそこまで協力して良いものなのか。秘匿技術も在ると思うしな。…納得するための材料が足りない。一旦、これは隅に置いといた方が懸命かな。
「それではまた、お会いしましょう」
「宜しくな」
さてと。少し寄り道をしたけど、英霊召喚の準備をしようか。先ずは魔力が籠っている杖や書く物で、魔法陣みたいな術式を描く。その次に、俺の魔力を注いだ純水に、魔石を細かく砕いた物を入れる。
それを魔力を込めながら混ぜつつ、粘性があり魔力を多く含む特殊な草を千切り入れていく。粘り気が出て棒が動かし難いこれを、色が全て変わるまで混ぜて作った液体。
これを描いた術式の上に、形を崩さぬように塗る。塗り残しが無いようにしたら、余った液体を専用の容器に注ぐ。そして術式の四方に等間隔で並べて置こう。それは、万が一俺の魔力が足りなくなったときの保険だな。
この作業が終わったら、魔力の回復を早める吐きたくなる薬を飲んで、満杯になるまで片付けをしながら休もうか。
もうそろそろかな。良し、問題は無い。中央に触媒となる遺物を置いて呪文を唱えようか。
「星の記憶を此処に 出れ 秩序を守りし力の証 出れ 中庸を保つ均衡の秤 出れ 混沌を招く標の象徴 我は凡てを見据える者 我は全てを崩さん者 我は総てを貶す者 我は己の正義を貫ぬく者 我は己の厳正を信じる者 我は己の願いを叶える者」
魔力の減りが速すぎる!?危険域に入る前に使用対象が保険に移ったけど、大分気怠く感じるな。止めれば失敗するだろうから、このまま終わらせよう。
「鍵を持ち 門を開け 鎖を放ち 楔を打つ 来たれ記憶の再現 来たれ記録の映写 来たれ鬼録の影法師よ 汝は切り開き守り抜く力 門の寄るべを用い 契約の誓いを此処に成す 共に歩むならば手を握ろう 汝が力を貸すならば 我も汝の力とならん 此処に誓約の証は創られた 特殊召喚術式 英霊契約ヴァウォース」
け、結構危なかった。保険に置いた液体が、一つの容器で一割と少ししか残っていないからな。でも、成功した。何とか、彼を召喚できたんだ。
「君の呼び掛けに応じ、参上した。割り当てられた役割は騎乗する者だ。真名はまだ教える事が出来ない。そこは勘弁してくれ。呼び名が無いと不便だろうから、
まっライダーとでも呼んでくれ」