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第53話 報告中

 俺はどうやら小沢、そして相崎にたばられたらしい。

 総裁になるには総裁選挙で勝ち上がり当選しないといけないらしい。

 何でこうなった。

 もっとも出馬するための推薦人には小沢がなってくれるらしい。そこは問題ないぞと言っていた。しかし、出馬することができても当選することができないと意味がない。


 「くそおおおおおおおおおおおおおおお」


 この日、一回俺は家に帰った。

 そして、自分の部屋でどうすればいいんだとジタバタしていた。

 ベッドの上で。

 いや、どうすればいいんだ。

 俺はあの組織を潰すことだけを考えていた。総裁になれば解散させることができる。そう思っていた。それなのにどういうことだ。どうして俺はわざわざ総裁になるための選挙に立候補し主張を話さなくてはいけないのか。そんな難しいことができるだろうか。

 俺が当選するためにはどうすればいいんだろうか。

 難しい。

 本当に難しい。

 とりあえず、俺は今日は寝よう。

 この日、俺は諦めて寝ることにした。


 ─翌日─


 「はぁあ」


 朝、起きてまずはため息をつく。 

 あくびではなかった決して。

 また憂鬱な一日が始まる。

 総裁選をどうするか。

 俺にとっては困ってしまうほどの難題が多くあった。

 ああ、早く組織を無くしたいだけなのに。


 「おはよう、雄一郎」


 「ああ、おはよう美咲」


 学校に向かっている途中に先に歩いていた美咲がこっちに気づいたっぽくて挨拶をしてきた。


 「なんか顔色が悪いけど大丈夫」


 俺の顔色が悪かったっぽく美咲は心配してきた。


 「ああ、……大丈夫だ」


 「全然大丈夫じゃないでしょ。な、何その変な間は」


 俺の様子がおかしいことはすぐにばれてしまった。

 と、いっても美咲には俺の過去についてあまり話していない。政治のことについて俺は嫌いだということは美咲に言っていたがその経緯までは話したことはない。

 諦めてすべて話したほうがいいのだろうか。


 「うぅーん。ちょっとね」


 「何かあったらすぐに相談してよね」


 美咲は俺の聞いてほしくないことまで聞こうとはしなかった。その優しさがとてもうれしかった。しかし、いつまでも美咲に黙っているのは悪い気がしてきた。

 そろそろ話すタイミングが来たか。

 俺は覚悟を決めて美咲に相崎とのことをすべて話すことにする。……訂正。相崎にキスをされたことだけは隠しておく。相崎に告白されたことは話したけどキスされたなんて言ったら美咲がどんな気持ちになるのか。絶対嫌になる。

 あと、俺からしたわけではないから浮気ではない。

 うん。そうだ。

 俺はクズ男じゃないぞ。

 俺は嫌だったのにされたんだからな。


 「美咲、俺が何を不安にしているのかすべて話すよ」


 「……うん」


 俺は、美咲に右翼団体の事、相崎とのこと、そしてこれからその組織を壊すため総裁にならないといけなくなっていることをすべて話したのだった。

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