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第5話 遊技場

 俺達は郊外に位置している某ショッピングセンターにいや、ショッピングセンターというよりはショッピングモールにやってきた。建物自体は屋上を除けば4階建てであり4階と屋上自体は駐車場となっているため実質3階建てであるがそれでも横の長さが下手すればトラック2周分ぐらいの距離であるため相当でかい。1階には食料品、レストランがあり、2階には本屋、衣料品を中心に専門のお店が入り、3階には映画やゲームセンター、おもちゃ売り場といったアミューズメント的な要素が大きい。この地域では最大のお店とも言えるので休日以外の日にも多くの人が集まってくる。

 そして、リア充もたくさん来る。

 俺はちょくちょく横を通り過ぎる高校生の男女ペアを睨みながら歩く。今、歩いているのは3階のためゲームセンターがすぐ近くにありその影響でカップルが多いのだ。


 「おいっ、雄一郎。そんなカップルを睨みつけるなよ。俺にまで何かいちゃもん付けられそうだわ」


 隣を歩いている裕也に忠告をされてしまった。しかし、そんなことを言われてもやっぱり、リア充は爆発しろ! と思いたくなるのは彼女を持っていない男子高校生の性というものではないのか。裕也も本音ではそう思っているだろう。なのに、なぜ俺だけが怒られるんだ。俺は悪くない。悪いのはカップルだ。リア充だ。俺はわる──


 「痛ってっ!」


 俺はごちゃごちゃ考えていたら突然裕也に頭を叩かれた。


 「今、絶対俺の悪口考えていただろ」


 「えっ、えぇーと、そんなことないぞ」


 俺は思いっきり裕也に思っていたことを当てられたので顔を横に背ける。しかし、その反応は完全に誤りであった。これでは、俺が犯人だと認めているものであった。


 「……まあ、いいや。それよりも、カップルなんか見ていないでお前もショッピング楽しめよ。何のために来たと思っているんだ」


 「ああ、そうだな。んじゃ、楽しみますか」


 俺は気分を切り替えて、ショッピングを楽しむことにした。相崎と美咲の2人は年頃の女子らしく洋服売り場で長々と自分に合った服を探している。その間、俺達は待っているのも見ているのも暇なので別行動ということでゲームセンターで普通に遊んでいたのであった。ゲームセンターといったらやっぱりは対戦型のゲームだろ。

 俺は、裕也と今はやりのゲームである『シャドウナイト・ドリフティング』というゲームをやっていた。このゲームはいわゆる車の対戦ゲームだ。シャドウナイトという名前からも分かる通りプレイヤーは夜の道路を勝負するというものだ。プレイヤーは最大4人までなのでほかのプレイヤーとも勝負できる。コースは首都高速道路、都心環状線、箱根、北海道、酷道など全部で10種類のステージがある。俺達はその中でも最も難関とされているステージの酷道を選んだ。酷道というのは国道の中でもあまりにも整備されていなかったり、道が通りづらかったりする道路のことを指している。というのを、俺は以前にネットで調べた。それに俺の友達で中村真司という奴がいるのだがやつはとんでもないオタクで──ここでいうオタクというのはアニメやゲームなどのオタクではなく超珍しいと言ってもいい秘境駅オタクでもあり酷道オタクであるということだ。その真司が長々と俺に語ったことを嫌でも覚えている。


 「よおし、勝負だ」


 「おう、負けねえぞ」


 俺は裕也、そして見知らぬ人2人の計4人で勝負をした。その結果というのは……


 「……負けた」


 俺は見事に負けていた。負けたというのは裕也に対してだ。他の見知らぬ2人に対しては圧勝だった。すなわち俺と裕也のレベルが高すぎたというだけの話だ。だから、4人中2位だというのは実に些細な話だ。俺にとって一番重要であり大事なのは今の腹いせを裕也にぶつけることだけだった。なのに俺は雄也に負けた。ショックだ。いつも接戦で負けているので今回も接戦の末に負けたのは悔しい。例えるならば衆議院議員総選挙において小選挙区で数百票の差で落選し比例復活するのと同じだ。2番じゃだめなのだ。1番じゃないといけない。かつてある人が言っていた言葉だがやっぱり2番より1番が人間一番いい。


 「さてと、そろそろ時間じゃないか?」


 裕也がそんなことを言ってきた。時刻は現在6時半。待ち合わせの時間は6時45分に1階の中央入口という話であったから切り上げる時間としては妥当である。俺は裕也の考えに頷くとそのままゲームセンターの端に位置しているエスカレーターに乗って1階まで下りて中央入口に向かったのであった。中央入口に着いた時刻は6時40分。5分前行動を意識することができていた。ただ、そこにはまだ相崎と美咲の姿はなかった。まあ、女子であるから買い物をしていて時間を忘れてしまうことがあるんだよなと、姉貴の買い物の荷物持ちとしてこき使われた時の記憶を思い出し勝手に納得しておくことにした。


 「まだ来ないな。あの2人。まったく、女子って面倒だな」


 裕也はそんなことを言った。しかし、俺からしたらその言葉はとてもイラつかせるものであった。


 「おいおい、女子にモテモテのお前からそんな言葉が出ると恨む以外の気持ちが俺には生まれてこないんだけど」


 「あはは。そんなこと言うなよ。まあ、モテることは否定しないがいろいろとモテるのも大変なんだぞ。毎日校舎裏に呼ばれて全く知らない子に告られてどのようにふるか考えないといけないし。アフターケアのことも考えて優しく対応しないといけないんだから」


 「……」


 何だよ、そのとても思いやりにあふれた行動。裕也がある意味聖人に思えてきた。この正確だからこそ顔の良さだけでなく女子にモテるんだなあと改めて思いさせられる。


 「おい、どうした雄一郎?」


 「……いや、何でもない」


 「今何か考えていただろ。俺には誤魔化せないぞ」


 「何でないって」


 俺はそう言うが珍しく裕也は退くことをしない。何か俺したっけ。今日ほど裕也がしつこかったことがなかったので俺はそんなことを考えてしまった。


 「はあ、まったくどうせ何を考えていたか分かるからいいが、そんなことをしている間に来たぞ。2人が」


 2人が来たと裕也が言ったので俺は後ろを振り返ると両手に大量の買い物袋を手に携えた相崎と美咲がやってきた。


 「ごめん。遅れた」


 「買い物していたら時間を忘れちゃった」


 あいさき、美咲の順に俺達との待ち合わせ時間に遅れたことを謝る。俺達はそのことを特に追求することなく中央入口から出て帰ろうとする。

 しかし、ここにきて問題が起こるのであった──

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