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第47話 再告白

 17:30を過ぎた。

 本来ならば帰らないといけない時間だ。下校しろと見回りの先生がそろそろやってきて怒られてしまう時間である。しかし、俺らは動くことがなかった。


 「あ、相崎……」


 「野田君、もう帰らないといけない時間だよ。それなのにまだいたの?」


 相崎は呆れるような表情で俺に言ってきた。

 呆れるなよ。

 俺はきちんと約束を守っただけなのだから。

 そう思ったが口に出すことはしなかった。


 「いいだろう。待つって言ったんだ。俺はちゃんと律儀に守ったんだ。それをとやかく言われれる筋合いはないぞ」


 誤魔化す。

 呆れられても俺の方がしっかりと守っていたんだ。

 それだけはきちんと伝える。


 「はあ、まあ、いいわ。まさか本当に待っていたとは思ってもいなかったけど。で、私に用事があるんでしょ。何?」


 本題に入ってもいいようだ。

 相崎は俺がこっぴど断ったためか完全にいら立っているというのが言葉からわかる。言葉に棘があるからだ。俺のメンタルが弱かったら、す、すみません。相崎さん。とか、言って逃げているのが関の山だ。しかし、俺にはきちんと話をするだけの勇気はある。

 だから、大丈夫だ。

 足がちょこっと震えているような気がするけどそれは本当に気のせいに違いない。

 ああ、それは気のせいだ。そうに違いない。


 「ああ、用事がある。話だ。相崎よ、俺は総裁にもう一度会いたい。やはり、あの組織を作ったのは俺だ。俺はあの組織の存在を認めない。だから、俺の手でしっかりと解散させたいんだ」


 俺は素直に言う。

 あの時、断られてしまったが俺の気持ちは変わらない。総裁にはならないと言った。あの組織の存続を俺は認めない。だからこそ解散させる。

 

 「俺の手で解散させる……って、実際にはどうやってするつもりなのよ」


 俺の手で解散させる。

 それはかなり難しいことであることが分かっている。あの総裁に頼むと考えるとかなり難しいことに違いない。でも、1つだけ考えがあった。

 どうすれば解散をさせることができるのか。

 ただ、1つだけある。


 「それは決まっている。俺が総裁になるんだ」


 俺が総裁になる。

 総裁になれば組織を解散させることができるはず。俺はその可能性に気づいた。

 あの時は総裁になりたくないと断ってしまったが、今となってみればきちんと受けておけばよかったと後悔している。


 「……なるほどね。総裁になれば組織の長ということで自身の権限で組織を解散させる。その手はずということね」


 「ああ、そういうことだ」


 「わかったよ。あなたの考えはね。でも、その考えを持っている人に総裁になってもらおうとする人はいると思うの?」


 「うぅ」


 確かにそうだ。

 組織を潰そうとしている人に長になってもらおうとは普通は考えない。全力で阻止に行くはずだ。


 「私は少なくとも阻止するよ」


 「相崎が味方になってもらうにはどうすればいいんだ?」


 俺は相崎をこちら側にしようとする。

 そうすればうまく事を進めることができると考えたからだ。


 「ねえ、野田君。前に私はあなたに告白をしたよね?」


 「ああ」


 だいぶ昔のことだ。

 昔というか少し前か。ここ最近すごい出来事が多すぎてかなり昔のことのように思えてしまった。


 「私と付き合ってくれたら考えるよ」


 相崎は再び俺に告白をしてきたのだった。

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